TOKINA
高橋良輔 通称「カメ高」。1960年、愛知県出身。広告写真スタジオ、出版社勤務などを経てフリーランスフォトグラファーとなる。また経済誌記者の経歴もあり、その独自の観点からカメラ専門誌などに寄稿、著書も多数ある。広告からエディトリアルと活動のフィールドは広く、撮影では中米から地中海までラテン諸国を数多く歩く。また各媒体で精力的に作品を発表するとともに、個展・グループ展も数多く開催している。
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AT-X 165 PRO DX

AT-X 165 PRO DX

35mm判換算で約24〜75mm相当となる標準ズームがこれ。現在のこのカテゴリーは24mmスタートがほぼ一般的となり、 28mm からのものはやや旧型のものといえるだろう。24mmと28mmの差は数値上では僅か4mmにしか過ぎないが、 実際に覗くとその差は歴然であり、24mmがもつ画角とパースペクティブは、28mmとはまるで別世界だ。 またそれに加えて望遠側を75mm相当としたことで、日常的 で被写体となるほとんどの領域をカバーしたことになる。 このレンズの最大の魅力はその画角に加えて、F2.8通しという明るさだ。ズーミ ングによるF値の変動がないため 絞り優先オートでの撮影がしやすい。また望遠側で開放値を組み合わせることによって、美しいボケ味 を楽しむこともできる。 カラーパランスの正確さでも同類のレンズにない性能をもち、各収差を補正しながら色の濁りや偏りがない。AT-X 165 PRO DXは 各収差の補正とカラーバランスを含む高画質の両立という点でも、稀代の名玉ということができる。

キヤノンEOS30D 2336×3504 AT-X 165 PRO DX 50mm域で撮影 1/30秒 F2.8 ISO100 AWB

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大口径レンズ特有の口径食がなく、背景の光源がほぼ真円となっているところに注目したい。ボケのきれいさは様々な要素で決定されるが、まず第一に口径食の少なさは大切な要素のひとつだ。たとえ開放F値が明るくても口径食によって点光源が歪んでしまっては、イルミネーションなどをボケに使った表現はできない。ボケ量の大きさに加えて口径食が少ないことが、上位標準ズームにとって必須の条件といえるだろう

キヤノンEOS30D 2336×3504 AT-X 165 PRO DX 16mm域で撮影 1/100秒 F9 ISO100 AWB

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広角側での描写は周辺光量も豊富で、四隅までくまなく使える。フルサイズにも対応して同種のレンズでは周辺光量の不足がしばしば見受けられるが、APS-Cサイズに特化したイメージサークルをもつAT-X 165 PRO DXは、光学系を新規設計することで諸問題を解決している。また周辺光量不足とともに問題となる周辺画質も安定。中心部はもとより、画面全域で高い解像力を発揮している。広角側の描写は名品AT-X 124 PRO DXにも通じ、シャープでありディティールの表現がうまい。

キヤノンEOS30D 2336×3504 AT-X 165 PRO DX 25mm域で撮影 1/10秒 F4 –0.7EV補正 ISO800 AWB

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中間域では開放F値の明るさを活かした、スナップ撮影も得意だ。開放F値が明るいことはすべてにおいて有効であり、デジタル撮影においてはISO感度をコントロールしやすい。ISO800程度の感度は最新のデジタル一眼では常用域になってきたが、それ以上に上げすぎると画面全域にノイズを併発し、写真としての品質に大きな影響を及ぼす。そんな時にでもレンズ側の開放値が明るければ、ISO感度を無理に上げる必要がなくなる。明るいレンズにはすべてにおいて余裕がある。

キヤノンEOS30D 2336×3504 AT-X 165 PRO DX 30mm域で撮影 1/400秒 F2.8 +0.3補正 ISO320 AWB

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街角のショーウィンドーを手持ちで撮影した。マネキンのシャドー部にノイズが発生しないようISO感度を設定。絞り開放としてシャッター速度を決定した。イメージ通りにピントがアウトフォーカスした部分もきれいに描写され、シャープな部分との対比により面白い味を出している。繊維のケバ立ちまでが写す像力がありながら、カリカリした雰囲気にならないところが、AT-X 165 PRO DXの本当に凄いところ。

キヤノンEOS30D 2336×3504 AT-X 165 PRO DX 16mm域で撮影 1/13秒 F4 ISO320 AWB

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明るい開放F値はカメラの動きも機敏にする。その一例がオートフォーカス機構であり、暗所であっても正確ですばやい測距が可能となる。暗いところでピントが合わずにフォーカスが往復動してしまうのは、ボディ側の性能だけがその原因のすべてではない。レンズからの入射光が多ければ多いほど、測光センサーに当たる光も増し、AF機構の動きも機敏なる。また上位機ではF2.8光束センサーが使えるため、ピント検出がより正確になるという利点もある。

キヤノンEOS30D 2336×3504 AT-X 165 PRO DX 50mm域で撮影 1/250秒 F4 +1EV補正 ISO100 AWB

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AT-X 165 PRO DXの性能の良さはシャープさとボケだけではなく、色の再現性でも同類のレンズを大きく引き離す。発色の鮮やかな被写体ではどのようなレンズで撮っても差はつきにくいものだが、作例のような淡い色合いの被写体は、レンズによる仕上がりに大きな差が出る。プロの写真家がもっとも気にする部分はここであり、実際のレンズ選びでも大きな比重を占める。デジタルでもレンズのカラーパランスは大切な要素で、撮影時に正しく発色させることが画像処理の負担を軽減させることもある。

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