opera 50mm F1.4 FF|トキナーレンズで旅写真 - 藤井智弘


» 藤井智弘 TOP » opera 50mm F1.4 FF

opera 50mm F1.4 FF

opera 50mm F1.4 FFトキナーのフルサイズに対応した標準レンズ、opera 50mm F1,4 FFを持って、台湾の最大都市である台北を旅してきた。50mmが標準レンズと呼ばれる理由は諸説あるが、画角が47度前後と肉眼に近い雰囲気で撮れるのがそのひとつだ。望遠レンズの圧縮効果や、広角レンズの誇張した遠近感は望めないものの、自然な印象の写真を撮ることができる。

かつてはレンズの王道と呼べた50mmだが、ズームレンズが中心の現代では、撮影者の個性を活かす単焦点レンズと言えるだろう。特にズームレンズでは得られない明るさが魅力だ。暗い場所に強いだけでなく、浅い被写界深度による大きなボケが味わえる。

トキナーopera 50mm F1.4 FFは高画素のデジタルカメラに対応した、超高性能標準レンズだ。ガラスモールド非球面レンズ1枚と異常分散ガラス3枚を使い、絞り開放から高解像力と高コントラストを実現。さらに新開発のELRコーティングと新多層膜コーティングの2種類のコーティングにより、優れた低反射特性も可能にしている。そのため絞り開放から素晴らしい解像力だ。F1.4の大口径レンズともなると、絞り開放では収差でソフトな描写になりやすい。しかしopera 50mm F1.4 FFは贅沢なレンズ構成のおかげで、絞り開放でも画面周辺まで甘さがなく実にシャープだ。また周辺光量低下が目立たないのも見事。そして自然なボケ味も見逃せない。円形絞りを採用し、絞った状態でも美しいボケを維持している。絞りを開けても絞っても優れた描写性能を持つレンズだ。また逆光に強いのも特筆したい。まさに文句なしの描写力だ。

描写性能を重視したレンズのため、50mm F1.4としてはやや大柄だ。重量も950gもあり、手にするとずっしりした重みが感じられる。旅写真は長時間歩くため、一見すると不利と思うかもしれないが、24-70mm F2.8クラスとほぼ同等の重さ。今回使用したNikon D750とのバランスも良く、旅写真にも十分対応できると感じた。

旅写真で単焦点レンズを1本選ぶとなると、28mm~50mmの間で選ぶ人が多いだろう。旅先の様子を捉えるには、広角レンズが向いていると思いがちだが、私は50mm派だ。引けば広角レンズ的な表現ができ、寄れば大口径レンズらしいボケを使った写真が撮れる。極端な遠近感の誇張もないので、肉眼の印象を形にしやすい。旅写真はズームレンズが有利と感じそうだが、単焦点レンズはズームとは異なる表現力を持っている。私にとって50mmは、旅写真の万能レンズと呼べる存在なのだ。

台湾は日本から近くて気候も温暖。台北市内は移動しやすく、日本とは異なる街並みも歩いていて楽しい。そして食べ物が美味しいのも魅力。気軽に海外を訪れたいならおすすめの街だ。
opera 50mm F1.4 FFは、台北の日常をシャープに、そして情景豊かに表現してくれた。


 

Index

 

作例01

About

台北の裏路地に入ると、下町を思わせる光景に出会う。並ぶスクーターや干された洗濯物が、そこに暮らす人たちの生活が感じられる。opera 50mm F1.4 FFの高い描写性能は、路地の空気と光をリアルに伝える力を持っている。


Nikon D750、絞り値:f/4.0、シャッタースピード:1/320秒、ISO感度:ISO400、露出補正:-1.3EV


 

作例02

使用カメラ:Nikon D750、絞り値:f/2.0、シャッタースピード:1/80秒、ISO感度:ISO200、露出補正:-0.3EV


About

海外の街を旅すると、必ず訪れるのが市場だ。市場を覗くと、人々の暮らしが見えてくる。台湾では、鶏肉は1羽まるごとの状態で吊り下げられる姿を見かける。頭も付いた状態なので、初めて見たときは驚くが、それもここでは当たり前の光景なのだ。ボケが自然なので、背景のまな板や包丁の形もわかり、立体感のある作品になった。

 

作例03

使用カメラ:Nikon D750、絞り値:f/1.4、シャッタースピード:1/1250秒、ISO感度:ISO100、露出補正:+0.3EV


About

1738年に創建された、台北で最も長い歴史を持つ寺院、龍山寺。ひとりの女性が真っ赤なろうそくに火を着けようとした瞬間を狙った。opera 50mm F1.4 FFは静かでスムーズなAF駆動により、その場の空気を乱すことなく撮影に集中できた。

 

作例04

About

龍山寺の門に提げられていた大きな提灯。日本の寺院では見られない雰囲気が台湾らしい。暗い背景にすることで提灯を浮き立たせた。また手前に緑の葉を入れて、色調のアクセントにすると共に奥行き感も表現。後ボケだけでなく前ボケも綺麗だ。


使用カメラ:Nikon D750、絞り値:f/2.0、シャッタースピード:125000秒、ISO感度:ISO100


 

作例05

About

霞海城隍廟(シアハイチョンホアンミャオ)は、縁結びのご利益があると言われていて、女性の参拝客が目立つ。天公炉に線香を立てている女性を絞り開放で撮影。ボケた背景がその場の賑やかさを感じさせる写真になった。自然な遠近感と大きなボケは、フルサイズの50mm F1.4ならではの表現だ。


使用カメラ:Nikon D750、絞り値:f/1.4、シャッタースピード:1/500秒、ISO感度:ISO100


 

作例06

使用カメラ:Nikon D750、絞り値:f/8.0、シャッタースピード:1/250秒、ISO感度:ISO100


About

清代の街並みが残る剥皮寮(ボーピーリャオ)。まるでタイムスリップをしたような感覚になる。古い建物が並ぶ様子を狙う。50mmはこうした場合に画面整理がしやすい画角だ。歴史を感じさせる赤レンガは驚くほどシャープに撮れている。

 

作例07

使用カメラ:Nikon D750、絞り値:f/2.0、シャッタースピード:1/400秒、ISO感度:ISO100、露出補正:-0.7EV


About

旅では、その街の歴史が感じられる光景を撮りたくなる。剥皮寮で見た木のドアは、時を重ねてきた印象で味わい深かった。ドアノブや鍵穴もレトロな雰囲気だ。極端に被写界深度が浅くならないように1段絞る。空気感が伝わる作品になった。

 

作例08

使用カメラ:Nikon D750、絞り値:f/1.4、シャッタースピード:1/250秒、ISO感度:ISO400、露出補正:-0.3EV


About

台湾には美味しい食べ物がたくさんあるが、そのひとつが胡椒餅。生地の中に胡椒が利いた餡とたっぷりのネギを詰めて窯で焼く。頬張るとスパイシーな熱々の肉汁が口に広がり実に美味しい。台北駅近くにある人気店で、地元の人の行列に混じって並びながら、作っているところを撮った。絞り開放でも解像力が高いので、ネギの新鮮さが伝わる写真になった。

 

作例09

使用カメラ:Nikon D750、絞り値:f/5.6、シャッタースピード:1/640秒、ISO感度:ISO100


About

淡水は美しい夕暮れでも知られる街だ。夕日を見ながら淡水川の川沿いを歩いていると、ひとりの男性と犬が休んでいる姿を見つけた。散歩の途中だろうか。夕日に輝く空と水面を入れて、男性と犬はシルエットにしたことで、ドラマチックな作品になった。強い光が画面に入っているが、フレアやゴーストは出ていない。コーティングの良さがよくわかる。逆光でも安心して使えるレンズだ。

 
opera 50mm F1.4 FF の製品情報はこちら »
 
このページのトップへ戻る

[著作権および画像利用についてのご注意]

本スペシャルページで提供している「実写生データ」の著作権は、撮影者である藤井智弘氏に、使用権は 株式会社ケンコー・トキナー に帰属しています。著作権所有者および 株式会社ケンコー・トキナー への事前の承諾を得ること無しに、その全てまたは一部を、いかな る形式、いかなる手段によっても、複製・改変・再配布・再出版・表示・掲示または転送することは禁じられています。

本スペシャルページの「実写生データ」は、お客様のコンピュータースクリーン、もしくはお客様ご自身のプリンターまたは プリント手段等による、私的な画像確認での利用に限ってのみ、ご利用いただけます。