小河俊哉 - トキナーレンズの高画質をより引き出す技術

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TOKINAレンズで撮るレース写真 AT-X 14-20 F2 PRO DXで撮る街の桜写真 トキナーレンズ秋の作例集 トキナーレンズを使った花火撮影

AT-X 116 PRO DX(作例集2)

作例1
作例1
原寸実写画像

夜明けのモンサンミッシェルを撮る


夜明け前の美しい空を大きく入れ込みモンサンミッシェルと共に撮る。 焦点距離11mmの超広角ともなれば、周辺が流れたり、こうした水平線やスカイラインを真っ直ぐにすることがむつかしいのだが、AT-X116PRODXは、広角端11mmでも周辺が流れることなく、水平線が真っ直ぐになるレンズだ。


この一枚のレタッチであるが、空の色を見た目に近くするためカラーバランスをブルー側に+2メモリ振り、若干コントラストを上げ完成とした。


焦点領域11mm(35mm判換算16mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード10秒、絞りF7.1、ISO200、WBオート、カメラD300


 
作例2
作例2
原寸実写画像

美しい並木道をスナップする


アオリ構図で葉の茂った夏の並木道をスナップする。 AT-X116PRODXは、細かい葉の一枚一枚をキチンと解像している。 また、トキナーレンズらしい色抜けの良さで並木道の葉の緑色はにごり無く再現されている。


この一枚のレタッチであるが、こうした一枚でキモとなるのが木陰感である。 強い日差しを現すのにあたって、大切な要素となるのは樹に茂る透過の葉、同時に大切な要素となるのが樹の陰である。 この透過の葉、樹の影の陰影が温度感を一枚の中で演出してゆく。 今回は、トーンカーブの左端を切り詰めることでシャドウ部分を暗くし完成とした。


焦点領域11mm(35mm判換算16mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/80、絞りF8、ISO200、WBオート、カメラD300


 
作例3
作例3
原寸実写画像

夜の街をスナップする


青から藍、漆黒へと変わってゆく空と大きな教会を撮る。 暮れてゆく街の中で、小さな照明に浮かぶ大きな教会。 こうした、大きな被写体も超広角11mmは切れることなく撮影が可能だ。


焦点領域11mm(35mm判換算16mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/2、絞りF8、ISO640、WBオート、カメラD300


作例3
原寸実写画像

また、こうした大きな建造物を広角レンズで撮影する際には、撮る建物の中のどこか1ポイント目線を誘導する「真っ直ぐな基準になる線」を入れて撮影を行う。 今回は、画面中央の教会の角の部分に基準となる線を置いて撮影した。 画角内で歪み無く真っ直ぐで伸びやかな線の引けるAT-X116PRODXは、こうした目線を誘導する基準の線が引きやすい広角レンズである。


この2枚のレタッチであるが、特に補正する部分はなかったが、隠し味程度コントラストを上げ完成とした。


焦点領域11mm(35mm判換算16mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/2、絞りF8、ISO800、WBオート、カメラD300


 
作例4
作例4
原寸実写画像

パワースポット天安河原(あまやすのかわら)を撮る


天岩戸神社近くにあるパワースポット天安河原。 ここは、天照大神が天岩屋に隠れてしまった際、この屋根の下で八百万の神々が天照大神を迎え出す方法を話し合ったとされる神話の舞台になった場所である。 ここでも超広角11mmと言う焦点距離は、屋根も入れ込んで撮影することが可能だ。 撮影に関しては、洞窟内外の明暗差があるため後処理のことを前提とし「飛ばさず潰さず」というところで撮ることとした。


この一枚のレタッチであるが、明暗差がある洞窟内の部分を範囲指定し、「明るさ」のシャドウ部分のスライダーを、見た目に近くなるように動かし完成とした。 こうした明暗差がある一枚の場合、暗くなった部分に精度の高い情報を送り込んでくれるレンズであれば、明るさを調整するだけで見た目に近くできるので後の作業も非常に楽である。
レンズが撮像素子へ送り込んでくれた情報が精度の高いものであれば、一見暗く沈んでしまって見える部分でも洞窟の岩肌や積み上げられた石のディティールもキチンと情報として送り込んでくれているため、明るさを調整するだけで完成とすることが出来る。 こうしたところも高い解像力をもつAT-X116PRODXの強みの一つであろう。


焦点領域11mm(35mm判換算16mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/10、絞りF5.6、ISO400、WBオート、カメラD300

 
作例5
作例5
原寸実写画像

山里の夕暮れを撮る


日本の原風景の何気ない夕暮れ時。稲穂が続いてゆく収穫前の水田の姿をAT-X116PRODXで撮る。 トキナーPROレンズ全般にいえるのだが、レンズの解像度とキレに開発陣のこだわりが見える。 この一枚も、手前の稲穂から奥の稲穂まで綺麗に解像している。


この一枚のレタッチであるが、夕暮れ感を強調するためホワイトバランスを晴天日陰へ変更し、トーンカーブでハイライト部分を若干持ち上げ、アンダー部分を下げ完成とした。


焦点領域11mm(35mm判換算16mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/100、絞りF8、ISO200、WBオート、カメラD300

 
作例6
作例6
原寸実写画像

桜を撮る1


AT-X116PRODXの持つ11mmという超広角の焦点距離は、花を咲かせ美しく広がる桜の枝を大きく入れ込むダイナミックな構図を可能にしてくれる。 周辺流れが非常に少なく画面の隅々まで解像するAT-X116PRODXは、桜を撮ることにも向いているレンズである。


この一枚のレタッチであるが、逆光で暗くなった部分をトーンカーブで見た目に近くなるよう補正し、その後コントラストのスライダーを不自然にならない程度+に補正し完成とした。


焦点領域11mm(35mm判換算16mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/100、絞りF8、ISO200、WBオート、カメラD300

 
作例7
作例7
原寸実写画像

桜を撮る2


見事に広がる美しい桜の枝。 僕は、桜を撮る時に枝の広がり感を大切にしながら撮るためアオリ構図で撮ることが多い。 こうした広がり感のある姿の構図もAT-X116PRODXの得意とする構図の一つだ。 また、レンズの四隅までキチンと解像してくれるAT-X116PRODXは、桜の花一つ一つを解像し桜の持つ空気感を損なうことがない。


この一枚のレタッチであるが、ほぼ補正する部分は見当たらなかったものの、メリハリ感を出すために若干トーンカーブのハイライト部分を持ち上げ、その後中間調からシャドウ部分を下げて完成とした。


焦点領域11mm(35mm判換算16mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/250、絞りF8、ISO400、WBオート、カメラD300

 
作例8
作例8
原寸実写画像

桜を撮る3-1


夜桜の姿を撮るとき、事の外露出に悩まされる暗すぎてしまうと暗部にノイズが乗り、明るすぎると花びらが白とびしてしまう。 こうした場合も、現像処理を前提とした撮り方にはなるものの、AT-X116PRODXは暗部に精度の高い情報を送り込んでくれるのであまり明暗差を気にせずとることができる


焦点領域11mm(35mm判換算16mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード5秒、絞りF8、ISO400、WBオート、カメラD300

作例8
原寸実写画像

この2枚のレタッチであるが、解説でも書いたとおり花びらの露出を白とびギリギリで撮影し、補正する部分をライティングから外れた暗く沈んだ花びら部分とした。 まず、トーンカーブでアンダー部を持ち上げ暗くなった部分を持ち上げる。 その後、色範囲指定し花びらの色域の露出を指定する。 指定した範囲をトーンカーブで見た目に近くし、最後に「桜」感を出すために若干桜色へ花びらの色を足している。


焦点領域15mm(35mm判換算22mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード4秒、絞りF8、ISO400、WBオート、カメラD300

 
作例9
作例9
原寸実写画像

桜を撮る3-2


公園などの夜桜のライトアップ。 こうしたシチュエーションは、シャッターを切りたくなるシーンだ。 撮影当日も、たくさんの方があちこちで思い思いシャッターを切られていた。 公園いっぱいに咲く美しい夜桜を余すことなくフレームに入れて撮りたい。 そんな時、AT-X116PRODX願いを叶えてくれるレンズだ。


この一枚のレタッチであるが、ミックス光源での撮影のためWBを変更。 スポイトツールでホワイトポイントを指定し、その後カラーバランスでマゼンダーのスライダーを見た目に近くなるまで動かす。 その後、メリハリ感を出すためトーンカーブでハイライト側を若干持ち上げ、シャドウ部分を見た通りの暗さに戻し完成とした。


焦点領域11mm(35mm判換算16mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/100、絞りF8、ISO200、WBオート、カメラD300

 
作例10
作例10
原寸実写画像

桜を撮る3-3


樹齢2000年と言われる山梨県の神代桜。 妖艶な桜の姿を広角端11mmを使いアオリ構図で撮影した。 大きく拡大してみると、樹の幹のデコボコの「力こぶ」までキチンと描写している。 AT-X116はこうした細かなディティール一つ一つをキチンと解像してくれている。 こうした正確な解像が、この樹の持つ独特の空気感を伝えてくれるのである。


この一枚のレタッチであるが、頃合良くこの日だけライティングがなされていたため特に補正する部分が見あたらなかった。 そのため、そのままで完成とした。


焦点領域11mm(35mm判換算16mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/8、絞りF8、ISO400、WBオート、カメラD300

 
作例11
作例11
原寸実写画像

夜空を撮る


街明かりが雲に反射し幻想な光景が浮かんでいた。 頭に浮かんだイメージを再現するための設定を行いシャッターを切る。 AT-X116PRODXは、こうした頭に浮かんだイメージを再現する際に行う「撮影の計算」がしやすいレンズだ。 例えば、絞りによる光の回り方、それによる全体の印象の違い、そういったものが撮る前から計算しやすいレンズである。


この一枚のレタッチであるが、頭に浮かんできたイメージが青白い異世界の夜であったため、大幅な補正を加えている。 まず、撮影時ホワイトバランスを蛍光灯へ変更、同時にカメラ内でブルー+3マゼンダ+2とした。
その後、現像作業においてトーンカーブでアンダー部分を持ち上げている。 さらに、色範囲指定で街明かり部分を指定し、シアンをたし最後にもう一度トーンカーブで全体のトーンを整えて完成とした。


焦点領域11mm(35mm判換算16mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード15秒、絞りF4、ISO1600、WB蛍光灯(B+3M+2)、カメラD300

 
作例12
作例12
原寸実写画像

満天の星空を撮る


標高2600mmの地点にある富士5合目からの星空である。 開放絞りF2.8の明るいレンズの実力発揮と言ったところである。 天の川から細かい星までしっかりと情報を撮像素子まで送り込んでくれている。


この一枚のレタッチであるが、撮影時街明かりが反射していたためグリーンに色転がりしってしまったため、夜空を元の色に補正に完成とした。


焦点領域11mm(35mm判換算16mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード25秒、絞りF2.8、ISO1600、WBオート、カメラD300

 
作例13
作例13
原寸実写画像

夜空の雲を撮る


スローシャッターで夜空の月と雲を撮る。 高い山を襲い掛かってくるように乗り越えてくる夜空の雲。 それを静かに照らす青白い月の姿。 月が高い位置にある場合、広角レンズでなければ輝く月を入れて横位置でのフレーミングが出来ない。 こうした画の場合、動かざる山を横長に入れるからこそ成立する画である。 また、キレ良く真っ直ぐな描写の広角レンズであるAT-X116PRODXは中央部分の動きのある雲を伸びやかに真っ直ぐに描写してくれている。 AT-X116PRODXは、こうしたナイトの世界を撮る時でも期待通りの働きをしてくれる一本である。


この一枚のレタッチであるが、夜空の色合いを頭に浮かんだイメージ通りにするためカラーバランスをブルーに側へ振り、その後トーンカーブでシャドウ部分をさげ完成とした。


焦点領域11mm(35mm判換算16mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード20秒、絞りF8、ISO400、WBオート、カメラD300

 
作例14
作例14
原寸実写画像

AT-X116はコントラストが高く、そして青の抜けの良いレンズと言える。 それを証明してくれたのがこの一枚だ。

この写真は、フランス南部ナポレオン街道を走っている最中に見かけた教会である。
フランスのコントラストの高い青い空、そして時間を封じ込めた教会の雰囲気が写欲をそそりAT-X116をカメラにセットしシャッターを切った。
AT-X116は、その抜けの良い空の青さを濁すことなくカメラに送り込んでくれた。

この一枚のレタッチであるが、キモは「空の持つ力」なのだ。
抜けの良い青を残してくれるAT-X116はその空の持つ力をキチンと質の良いデータとして残してくれている。

また、周辺流れと歪曲収差の少ないAT-X116はこうした空を大切にしたアオッタ構図でも力を発揮してくれる。
これまでの広角ズームレンズで広角端を使っての撮影であれば左下に配置した十字架のモニュメントはもっと倒れこんでしまう。
しかし、AT-X116はP-MO非球面レンズ採用のお陰で広角端11mmという焦点距離でありながら良好に補正されている。
レタッチであるが、この一枚を仕上げてゆく工程のなかでこの空を大事に仕上げてゆくことになる。 撮った時自分が感じたことを大事にしながら明るさの補正を行う。

撮影時は、適正露出よりやや暗めに撮るこのショットの場合およそ-1/3段~-1/3段といったところだろうか。
それには理由があり「空」を大切に撮るのであれば雲の白さを大切にしておきたい。
その場合、雲を白飛びさせないためにやや暗めに撮影をしておきたいのである。

次に、カラーバランスを撮影時頭に浮かんできたイメージ通りに近づけてゆく。 昨今のデジタル一眼レフカメラのオートWBは、非常に優秀に出来ているといえよう。 しかし、せっかくの空の「生き生き」とした色合いを、撮影した時自分が思い描いた色合いに補正したい。
オートWBで撮影された元画像は少々アンバーが掛かっていたためカラーバランスでブルーに補正することとした。
そして最後にコントラストを若干高めるためトーンカーブのハイライト部分を持ち上げ、次にシャドウ部分を下げる逆S字に補正して完成とした。

焦点距離11ミリ域(35ミリ判換算16ミリ相当)で使用、マニュアル、シャッタースピード1/500、絞りF14、ISO200、WB:晴天、ニコンD300で撮影

 
作例15
作例15
原寸実写画像

広角レンズの画作りの一つである遠近感を出した構図である。
被写体との距離は30cm程度であったと記憶している。
ATX-116の最短焦点距離は30センチであるからギリギリ寄って撮ったことになろう。
この一枚は、ガッチリ絞らずF5.6の中間絞りで遠くをボカして撮ることとした。
色飽和しやすい赤や黄色もキチンと色再現されており、またボケ味も良好だ。

この一枚のレタッチであるがAT-X116のもつ力のお陰で殆ど補正することがなかった。 撮影自体は、適正露光より若干低めで撮影はしているが、それはピントを合わせたプラムが撮影時に白飛びすることを恐れてのことである。
補正作業自体は、先ほどの作例1の仕上げのようにトーンカーブを若干逆S字にし、最後にほんの少しカラーバランスでレッドとアンバーを+側に振り完成とした。

焦点距離11ミリ域(35ミリ判換算16ミリ相当)で使用、マニュアル、シャッタースピード1/60、絞りF5.6、ISO200、WB:晴天、ニコンD300で撮影

 
作例16
作例16
原寸実写画像

こうした平面構図での撮影では僕は絞り込んで撮ることが多い。
この一枚は最小絞りF22まで絞り込んで撮ったものである。
平面構図での撮影であっても、被写体として何を撮ったのかをはっきりさせるため手前の麦にピントを合わせつつもダイナミックさを求め一気に奥までフレーミングをした一枚だ。
奥の部分の解像も良好であり、また絞り込んで撮るときに気になる色収差も良好に補正されている。

この一枚のレタッチであるが、この一枚もほぼ何もせずといったところである。
キモとなる部分は麦畑の広々感と清々しい空の色合いであるがAT-X116の持つ色抜けのよさと11mmという超広角のお陰でその両方が実現できている。
補正としては、トーンカーブをほんの少し逆S字にしている程度である。

焦点距離11ミリ域(35ミリ判換算16ミリ相当)で使用、マニュアル、シャッタースピード1/60、絞りF22、ISO200、WB:晴天、ニコンD300で撮影

 
作例17
作例17
原寸実写画像

南フランスアルル近郊の夕暮れの向日葵畑だ。
広い広い向日葵畑の上にグラデーション豊かな夕暮れの空が広がっており、そこはまるで絵画のような世界がそこに広がっていた。
AT-X116はこのグラデーション豊かな空もキチンと色再現してくれる。
そして、まっすぐな地平線が空と向日葵畑の境を綺麗に示してくれているのである。

この一枚のレタッチであるが、空のグラデーションと向日葵の黄色を大切にして仕上げてゆきたい。
こうした一枚を撮る時に気をつけておきたいのは必要以上に絞り込まないということである。
絵画のような仕上げ方をする場合キッチリとした線を描くより、少し甘い線で仕上げてゆく方がそれらしくなってゆく。
さらに、あまり絞りすぎてしまうと夕暮れの時間帯ではシャッタースピードが遅くなり向日葵の被写体ブレを起こしてしまうという点も考慮しなければならないのである。 撮影時の露出は、空の白とびを防ぐため適正露出よりも-1/3~-2/3程度アンダーで撮っている。
この一枚は、始めにトーンカーブをさわることとした。
空のグラデーションの色合いを壊すことなく、また向日葵の黄色を大事にした補正を行うためハイライト部分を持ち上げさらに中間調を破綻無き程度持ち上げシャドウ部分を下げることとした。 次に、色合いである。
オートWBではカメラの指定した色温度になってしまうためカラーバランスで若干オレンジに振ってゆく。
オレンジは明度の低い黄色であることからアンバーを+、マゼンダを+に補正する。
向日葵の黄色もそれに伴って夕暮れの落ち着いた色合いに変わってゆくのである。
最後に、トーンカーブの補正とカラーバランスの補正によって(明度を落とすと彩度が上がってしまうため)全体の色合いが強くなり不自然になっているため敢えて彩度を落とし完成とした。

焦点距離16ミリ域(35ミリ判換算24ミリ相当)で使用、マニュアル、シャッタースピード1/125、絞りF8、ISO320、WB:オート、ニコンD300で撮影、ストロボ発光

 
作例18
作例18
原寸実写画像

大きく空まで入れ込んで撮る広角レンズらしい構図である。
AT-X116は周辺流れも少なく、また絞り込んでゆくことで画の隅々までピントが合っている。
こうしたキチッした画作りもAT-X116は得意とする一本である。

この一枚のレタッチであるが、この一枚は初めからモノクロ前提で撮影したものである。
頭に浮かんだイメージはモノクロームの不穏な空と黒い鉄の列車であった。
こうしたモノクローム前提で撮る場合はあまり白飛びのことは気にせずに捕る時がしばしばある。
この一枚の場合雲の起伏感を大切にし、どこまで白飛びさせるかを見極めて露出を決めた。
また、もう一方の被写体の列車と空には大きな明度差があるため空側には白飛びが出てしまうのはデジタルカメラのダイナミックレンジを考慮した場合致し方ないところであろう。
レタッチであるが、この一枚の補正は、まずモノクロームに変換することから始まる。
その後、トーンカーブを触ってゆくのだが、この時気をつけたいのが列車を黒くしすぎないことであり、雲の起伏を生かすトーンカーブの線にしてゆくのである。
そのためこの一枚はトーンカーブ変化させるのを2回に分けて補正し、その後、最後にもう一度全体を整えるためにもう一度トーンカーブを補正することとした。
まず初めにハイライト側と中間調を中心としたトーンカーブの補正である。
シャドウ部分のことは考えずにハイライト部分を持ち上げ、その後雲の階調を壊すことのない辺りまで中間調を持ち上げる。
その後、シャドウ部分を中心とした補正を行う。
ハイライト部分が変化しないようポイントを打ち中間調とシャドウ部分のみを下げてゆくのである。
要は焼き込みと覆い焼きを別々に補正したのである。
最後に、全体を整えるためにもう一度軽くトーンカーブを触り完成とした。

焦点距離11ミリ域(35ミリ判換算16ミリ相当)で使用、マニュアル、シャッタースピード1/400、絞りF13、ISO200、WB:晴天、ニコンD300で撮影

 
作例19
作例19
原寸実写画像

高山列車が駅舎に入ってくるシーンだ。
画角の中で三角構図を作り遠近感を出しながらも全体を押さえる構図である。
この一枚もAT-X116の歪みの少ない素直な線の出方が効いている一枚だ。
駅舎の屋根の斜めの線と列車の屋根の斜めの線がまっすぐであるからこそ、素直な遠近感を表現できると言えるのである。

この一枚のレタッチであるが、この一枚はあまり補正することがなかった。
トーンカーブを逆S字に補正することで少々コントラストを強めてやり、その後、AT-X116が残してくれた抜けの良い空の青色が濁ることのないようカラーバランスを補正した。
最後に、明度差がある駅員さんの辺りだけ新ためてトーンカーブで補正し完成とした。

焦点距離11ミリ域(35ミリ判換算16ミリ相当)で使用、マニュアル、シャッタースピード1/400、絞りF11、ISO200、WB:晴天、ニコンD300で撮影

 
作例20
作例20
原寸実写画像

古城に落ちてゆく夕陽が城壁にオレンジの光を浴びせ落ちてゆく。
左側面の城壁をダイナミックに入れ込んで撮りたい一枚である。
こうした時、AT-X116は思い切ってアオってやることで広角レンズらしい歪曲収差を出してやることもできるのである。
また、こうした極中心点に近い場所に強い光源の太陽を入れ込んでやればフレア、ゴーストの出現も抑えることができる。

この一枚のレタッチであるが、夕陽のオレンジを大事にした補正を心がけた。
全体のオレンジを大事にしてゆくためにWBを晴天日陰に変更した(JEPG撮影を中心とされる方ならば撮影時からWBを晴天日陰に変更)。
次に、残っている青空の青を大事にした補正をしたい。
これはオレンジの反対色は青であるからだ。
そうした反対色があることでよりオレンジが際立つためである。
そのため、WB変更により赤み掛かってしまった青色だけを色範囲指定し、その部分をAT-X116が残してくれた本来の青に戻した。
次に、トーンカーブで光と影をキリっとさせるため波の大きめな逆S字にし中間調を持ち上げ、最後にカラーバランスでアンバーとマゼンダを+に振り完成とした。

焦点距離11ミリ域(35ミリ判換算16ミリ相当)で使用、マニュアル、シャッタースピード1/400、絞りF9.0、ISO200、WB:オート、ニコンD300で撮影

 
作例21
作例21
原寸実写画像

AT-X116をカメラにセットし街に飛び込んだスナップである。
広角レンズでのスナップは被写体との絶対的な距離が近くなるためこうした「目線を合わせた撮影」となる。
手前のアコーディオン奏者を大きく入れ込み奥には街の空気を入れ込む。
こうした一枚を撮影する時は奥をボカしたくなる。
AT-X116は広角レンズでありながら奥のボケも良好だ。

この一枚のレタッチであるが、この一枚はほぼ何も補正の必要がなかった。
撮影時気を付けたのは、空の白飛びであったため適正露出より2/3段落としてシャッターを切り現像時トーンカーブで若干逆S字に補正して完成とした。

焦点距離11ミリ域(35ミリ判換算16ミリ相当)で使用、マニュアル、シャッタースピード1/160、絞りF4、ISO200、WB:晴天、ニコンD300で撮影

 
作例22
作例22
原寸実写画像

街のサンセットロードだ。
道路真正面から夕陽に向かってシャッターを切る。
左右のレストランのアーケードの線がキモになる一枚だ。
この時も、歪みの少ないAT-X116はその実力を発揮してくれた。

この一枚のレタッチであるが、オレンジ色の夕暮れを大事にしつつその夕暮れに照らされる道を際立たせてやることがキモとなる。
まず始めにWBを晴天日陰に変更、その後トーンカーブ補正を行うこととした。
AT-X116は、こうした明度差のある場合でもキチンと情報を撮像素子に送ってくれる。
撮影時は夕日に照らされる道を大切にしたため両サイドの店は暗くなってしまっていたのだが現像時トーンカーブのシャドウ部分を持ち上げてやると、そこにはキチンと情報が残っていたのである。
道中央部分にゴーストが現れているが、フォトショップなどのソフトを使うことにより消し去ることはできるのだがこれは敢えてそのままにした。
そして最後にカラーバランスを少々オレンジに振り完成とした。

焦点距離11ミリ域(35ミリ判換算16ミリ相当)で使用、マニュアル、シャッタースピード1/80、絞りF8、ISO200、WB:晴天、ニコンD300で撮影

 
作例23
作例23
原寸実写画像

夜の街をAT-X116で撮る。 ズーム全域F2.8通しという明るさは、こうしたナイト撮影にも力を発揮してくれる。
現在のデジタルカメラのノイズ処理は非常に優秀になったとはいえ、なるべく感度を抑えて撮影したいものである。 そうしたとき、ズーム全域F2.8という明るさは撮影時のISOを低く抑える手助けをしてくれる。
また、ISO高めに設定することに躊躇がなければシャッタースピードに自由度を与えてくれるのである。
AT-X116の持つF2.8という明るさはこうしたときも力を発揮してくれるのである。

この一枚のレタッチであるが、ほぼ補正することはなかった。
トーンカーブを若干逆S字にし、シャドウを締めカラーバランスを見た目に近い色合いに戻し完成とした。

焦点距離11ミリ域(35ミリ判換算16ミリ相当)で使用、マニュアル、シャッタースピード1/10、絞りF6.3、ISO640、WB:オート、ニコンD300で撮影

 
まとめ
こうして、見ていただいたとおりAT-X116は素直で色抜けも良く様々なシーンで活躍できる一本と言えよう。 デジタル時代が本格化した中で我々フォトグラファーがレンズに求めるものは「いかに質の良い情報を撮像素子に送り込んでくれるか」ではないだろうかと僕は考えている。 その期待に、このAT-X116は見事に応えてくれているといえる。
またAT-X116は、風景撮影のみならず街のスナップ撮影や愛犬愛猫などのペットの撮影などにもお薦めしたいレンズだ。
 
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