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TOKINA AT-X M35 PRO DXは、APS-Cデジタル一眼レフに対応した35mmマクロレンズだ。
また、35mm換算(1.5倍換算)では約52.5mmと、ほぼ標準レンズの画角となり、銀塩時代からの慣れ親しんだ画角となることから50mmのお散歩カメラレンズとして使うこともできる一本である。
一連のトキナーレンズらしく、発色はニュートラル。
シャープさは保ちながらも綺麗なボケ味を楽しむことができるレンズだ。
また、マクロレンズらしく寄って良し、お散歩カメラレンズとしても良し、と一本で二度楽しめる、ありそうでなかった個性的なマクロレンズと言えるのだ。
以下、作例をご覧頂きながら解説をしてゆきたいのであるが、僕の撮影方法は「頭に浮かんだイメージを再現する」撮り方を行っているため、作例には自分のイメージ通りに再現するための撮影、現像、レタッチを行った作例であることを先におことわりしておきたい。
また、作例解説には、TOKINA AT-X M35 PRO DX(以下AT-X M35とする)の特徴を生かした撮影方法と、レタッチの方法も合わせて解説してゆきたい。
Nikon D300 ISO200 F4.5 1/160 WBオート
AT-X M35は、こうしたやわらかい画作りのできるマクロレンズだ。 シャープさはキチンと残しながらも、ふんわりとやわらかいやさしいボケ味を持つレンズだ。驚くべきは、最短撮影距離がなんと約14cmという点である。 実際お使いいただくと分ることなのだが、「まだ寄れるのか!」と驚かされる。 また、こうした所謂「寄り」の撮影はオートフォーカスよりもマニュアルフォーカスでの撮影になることが多く、AT-X M35にも搭載されているワンタッチフォーカスクラッチ機構が瞬時にマニュアルフォーカスへとスイッチしてくれる。 最短撮影距離が短い一本は、手の届く範囲での撮影や、人懐こく近くに寄ってきてしまう愛犬、愛猫などのペット撮影などでも威力を発揮してくれる一本だ。
この一枚のレタッチであるが、撮影時、花びらの質感を保ちつつ「白飛びさせず、黒つぶれさせず」ということを守り、1/3段程度露出を下げて撮影し、後に中間調からアンダー部分をトーンカーブで上に持ち上げ完成とした。
焦点領域35mm(35mm判換算52.5mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/250、絞りF4、ISO200、WB曇天、カメラD300
作例1-1とは対象的に若干引いた画作りでも、そのシャープさとやわらかなボケ味は変わらない。 ピントを合わせた「しべ」の部分はシャープに再現されているが手前花びらの部分はふわりとぼけてゆく。
この一枚のレタッチであるが、ピントを合わせたしべ付近が少々暗くなったためトーンカーブで中間付近を持ち上げ、見た目近くになるよう明るくし完成とした。
焦点領域35mm(35mm判換算52.5mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/160、絞りF13、ISO200、WBオート、カメラD300
単焦点レンズらしいシャッキリとした画である。 水平垂直が真っ直ぐにでるAT-XM35でこうした並木道を撮ると、ズームレンズでは撮れない画が撮れることを思い知らされることとなる。 通常ズームレンズでは、どうしても画が「たる型」、「糸巻き」なってしまいがちである。 しかし、AT-XM35は、真っ直ぐに伸びてゆく並木道を樹々葉の一枚一枚まで解像し歪み無く撮像素子に情報を送ってくれる。 真っ直ぐに、シャープに、高コントラスト、AT-XM35は良いレンズのお手本のようなレンズである。
焦点領域35mm(35mm判換算52.5mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/400、絞りF10、ISO200、WB晴天、カメラD300
お散歩カメラは、ただ撮るだけでも楽しいのだが、こうした街の空気感を切り取りたいものである。 そうした街の空気感を現すのは、ヌケの良い青い空、建物の質感、道路のディテール、そうした細かい一つ一つのものが積み重なって空気感となり一枚に刻み込まれる。 AT-XM35はトキナーレンズらしい色ヌケの良さと高解像度で街の空気感を見事に再現してくれる。
焦点領域35mm(35mm判換算52.5mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/25、絞りF5.6、ISO500、WBオート、カメラD300
夜の街のスナップでも、昼の街角のスナップと同様に街の空気感は、建物のディテールの再現やなんでもない電灯の明かりの色合いに現れる。
焦点領域35mm(35mm判換算52.5mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/15、絞りF4.5、ISO500、WBオート、カメラD300
フィルムの頃から使い慣れた50mmという焦点距離に近い焦点距離(35mm換算55mm)であるAT-XM35は、使い慣れた画角を楽しむスナップレンズとしての高い実力と、キレとやわらかい綺麗なボケ味を持つマクロレンズとしての高い実力を備えた、1つのレンズで2つの使い方が出来る優れたレンズだ。
この2枚のレタッチであるが、ほぼ補正する部分は見当たらなかったのだが隠し味程度、若干トーンカーブでハイライト部分を持ち上げ、シャドウ部分を下げて完成とした。
Nikon D300 ISO200 F4.5 1/2000 WBオート
ピントを合わせた踊る水の部分はシャープに再現されながらも、背景のボケは先ほどの一枚と同じように柔らかくボケている。 AT-X M35 は、50mmの単焦点レンズとして使うことも十分に可能な一本と言えるのだ。 注目すべきは、画面奥に配置した通路のシャドウ部分だ。 やわらかなボケ味は保ちつつも、黒の中の黒はつぶれされることなくキチンと解像している。 こういったシャドウ部分は、解像度の低いレンズであった場合、カラーノイズの残る荒くザラっとしたものになるのだが、AT-X M35は見事にシャドウ部分の階調を残しつつ、やわらかなボケ味を再現している。
この一枚レタッチであるが、ほぼ何も補正することはなかった。 隠し味程度、中間調からハイライト部分をトーンカーブで若干持ち上げ完成とした。 AT-X M35の持つ高い実力を示した一枚である。
焦点領域35mm(35mm判換算52.5mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/80、絞りF6.3、ISO200、WBオート、カメラD300
街でお散歩カメラをしていると、こうした美しい工芸品を見つけることがある。 最短撮影距離約14cmの特性を生かしグッと被写体に寄りシャッターを切る。 AT-XM35は、にごり無い綺麗なボケ味を見せてくれる。
この一枚のレタッチであるが、特に補正する部分は見当たらなかったのでそのままで完成とした。
街中を歩いて路地裏を見かけると、ついシャッターを切りたくなる時がある。 そんな時も、AT-X M35は期待に応えてくれる。 マクロレンズらしく水平垂直が真っ直ぐなAT-X M35は、路地裏が持つ空気感をそのまま伝えてくれる。 真っ直ぐに撮れるレンズであるからこそ、時の刻まれた建物の歪みを伝えることができるのだ。 また、単焦点レンズらしいシャッキリとした画も、路地裏の空気感を伝えることを手伝ってくれている。
この一枚のレタッチであるが、この一枚は殆ど補正する必要は無かったが、画面全体のバランスを考え、トーンカーブでシャドウ部分を若干持ち上げ完成とした。
Nikon D300 ISO200 F8 1/640 WBオート
焦点領域35mm(35mm判換算52.5mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/30、絞りF5.6、ISO500、WBオート、カメラD300
読者の皆様も、旅先などでグルメを撮る機会も多いのではないかと思う。 寄って撮るも良し、引いて撮るも良し、シーンを選ばないAT-XM35はテーブルフォトも得意なカテゴリーだ。 35mmという焦点距離は、食卓につき座ったままで大皿を撮ることが出来る焦点距離である。 そして、最短撮影距離約14cmのAT-XM35はグッと寄ることが出来、料理の強調したい部分にも寄って撮影することが出来る。 筆者も撮影時、椅子に腰掛けたまま、まず全体が分る一枚を撮り、そして、AT-XM35の本来のマクロ機能を生かし、シズル感ある牡蠣とボイルされた海老に寄って撮ることにした。
焦点領域35mm(35mm判換算52.5mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/30、絞りF5.6、ISO500、WB曇天、カメラD300
しずる感ある牡蠣の寄りショット、ピンを合わせた牡蠣の身はキレ良く再現されている。
焦点領域35mm(35mm判換算52.5mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/30、絞りF5.6、ISO500、WB曇天、カメラD300
大皿全体のショットでは蟹の陰になってしまい姿を見ることができなかった手長海老の寄りショット。 海老の甲羅の表面、レモンの皮などを食べ物の質感がしっかりと伝わる描写である。
この3枚のレタッチであるが、特に補正を必要としなかったためそのままでOKとした。
Nikon D300 ISO200 F8 1/250 WBオート
AT-X M35の持つ高い解像力。 この一枚は是非拡大してみていただきたい一枚だ。 画面いっぱいに入れた瓦屋根の家々、その瓦を見事解像しているのだ。 何気ない風景の撮影ではあるものの、AT-X M35の高い実力を遺憾なく発揮した一枚だ。
レタッチであるが、この一枚はほぼ補正することがなかったが、隠し味程度にコントラストを付け完成とした。
Nikon D300 ISO200 F14 1/200
広く抜けの良い風景を絞り込んで撮る。 ここでも、AT-X M35のもつ高い解像力は威力を発揮してくれる。 シャープな画、ニュートラルな発色、また、歪みが少なく真っ直ぐに写るということは、こうした抜けの良い風景を見たときの感動をそのまま残してくれるのだ。 AT-X M35は、こうしたシチュエーションにおいても存分に実力を発揮してくれるのである。
この一枚のレタッチであるが、隠し味程度にシャドウ部分のみを締めるため、トーンカーブでシャドウ部分をほんの少しだけ下げ完成とした。
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