「コントラストとフィルター」
写真は今では誰でも簡単に撮れるようになりましたが、数多く写しているうちに、自分の作品に何か物足りなさを感じることがおきています。そのもの足りなさを感じた時に、あなたの写真技術が一段成長したといえましょう。その物足りなさが、これから述べる写真のコントラストです。写真のコントラストとは明暗の部分の白と黒の濃さの比をいい、コントラストが弱いと、力のない写真とはなりますが、その反面やさしい表現ができます。コントラストが強いと力強い迫力のある作品となりますが、作品によってはドギツイと感じることもあります。このコントラストを整えて、作品の表現に巾を持たせるのがフィルターです。
フィルターを使って作品をその目的に適するようなコントラストに調整することが、あなたの第2段の写真技術となります。
例えばビルディングの撮影の場合、その写真の使用目的によって、次のようなコントラストの変化が必要です。
(1) カタログ写真用としては・・・コントラストを弱く=暗部も明部も平均に
(2) 故郷の母に送る写真・・・・・コントラストをやや強く=美しい諧調となる。
(3) コンテストに出す写真・・・・コントラストを強く=迫力をつくる
この場合のフィルターの使用区分は、(1)の場合はUVフィルター(2)の場合はY2 (3)の場合はYA3と使い分けることが必要です。従ってケンコーフィルターは、撮影の目的によって次のように使い分けられます。
フィルター |
C12 ブルー |
UV 無色 |
Y1~Y2 黄 |
YA2~YA3 橙 |
R0~R1 赤 |
RO0~PO1 緑 |
コントラスト |
弱い |
やや弱い |
やや強い |
強い |
特別強い |
色彩の正しい階調 |
つぎに被写体の状況によって選定することも大切です。例えば瀬戸内海の春霞に包まれた島々という感じを表現する場合には、UVフィルターで、大気感を残したヘイ張娜画面とし、公園とか遊園地などではY2程度でやや強い感じの表現にした方がよく、六甲山や妙義山のような切り立った岩場の表現にはYA3を用い、強く迫力のある作品にすることが大切です。従って初歩の方でもUV、Y2、Y3程度のフィルターを使用して、ご自分の作品に三段階程度の変化ある表現を持った作品がほしいものです。そして、次の段階では色彩表現に緑色のPO1、更に一歩進んで赤外フィルムにR1号等・・・・・・フィルターのテクニックは広く、そして興味のある作品を生み出すことができます。
人物写真でも、優しい女性のポートレートにはY2、スポーツマンや産業戦士などのたくましさを表現するときはYA3フィルターで、迫力を付ける方が効果的です。女性でもスポーティなポーズや動きのある写真はUV、Y1より強調したY2やY3程度のフィルターの方が適切です。以上の例をもっと広いあらゆる被写体に対して考えてみますと、フィルターによって作品の表現は無限に展開してゆきます。
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UVフィルター使用 | YA3フィルター使用 |
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赤外フィルムにR1使用 | Y2フィルター使用 |