アサヒカメラ1963年4月号 | ケンコーの昔語り

昔語り


アサヒカメラ1963年4月号

Kenko/フィルター技術シリーズ No.3

 


 

「距離によるフィルターの使用法」

私たちが景色を眺めたとき近いところははっきりと見えますが、遠くなるにつれてはっきりと見えなくなる事に気がつくでしょう。これは光が空気中の水蒸気やその他の微粒子に拡散されて景色の明暗の差を少なくするからです。また近いところは色彩もはっきりと見分けられますが、遠くなるほど色彩は青みがかって、地平線附近は青一色の濃淡となり、ついに空にとけ込んでしまいます。これは空気中の水蒸気やその他の微粒子が紫、青などの短波光を多く拡散するからです。この状態が強くなると霞と呼ばれます。このような景色を撮影しますと目で見た時より不鮮明に撮影されます。そこで遠景をはっきり撮影するためにはこの拡散された短波光を吸収する黄、橙、赤などのフィルターを使用すればよいのです。

これらのフィルターは空気中で拡散された青味の多い光、言いかえれば霞を吸収して遠い物体の明暗をはっきり表現してくれ、シャープ、カット、フィルターまたはヘーズ、カット、フィルターと言われて次の代表的な種類があります。HazeUV、Y2、YA3、R1。

このフィルターのどれを用いてよいかは、次の表によって選定してください。

 

フィルター

ヘーズUV

Y2

YA3

R1

フィルターの色合

無色

露出倍数

なし

2倍

4倍

8倍

撮影の主題

近景描写

中景描写

遠景描写

遠景描写及赤外フィルム使用時

 

上の表は晴れた日を基準にしてありますので、やや霞のかかっている時などは濃い目のフィルターを使うようにして下さい。なお近景が主体となり遠景描写に重要性のない撮影にはHazeUVでもよいわけです。従って中景まではっきりとさせるにはY2号、遠景までハッキリとさせるにはYA3号をご使用下さい。特に望遠レンズによる風景写真では遠距離描写になりますから、常時YA3程度のご使用をおすすめします。上記以外にもY1 Y3、YA2,R2等のフィルターも撮影の状況に応じて使い分けして下さい。この表は先月号の《コントラストとフィルター》にも関係ありますので、先月号の記事もご参照の上、伏せてご利用ください。

 

 

フィルターなし.jpg kennko-y2 use.jpg
フィルターなし ケンコーY2使用
kenko-ya3 use.jpg drkigai film R1 use.jpg
ケンコーYA3使用 赤外フィルムにR1使用
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