「フィルターはなぜ必要か」
吹けば飛ぶような空気でさえも・・・・・・
吹けば飛ぶようなという言葉が流行していますが、その飛ぶような物が写真の良く撮れない原因になっていることをお話ししましょう。
写真を撮るときに最も大切なレンズです。レンズは入ってくる光のすべてを、より忠実に透して、鮮明にフィルム結像させなくてはなりません。そのために、できるだけ無色透明な光学硝子を使って、正しく作られています。次に大切なものはフィルムで、レンズの作った鮮明な像を細かく、はっきりと記録しなければなりません。
しかし、もっと大切なことは被写体とレンズの間にある空間で、もし被写体とレンズの間を遮断する何かがあったら写真は写りません。光が透らないからであり、あたりまえのことですが、これと全く同じような現象を全然気づかずに、自分のカメラの優秀性のみを信頼し、過信している方々が多いようです。
被写体とのレンズの間に何もないと言ってもそこには必ず空気がありますが、この空気が問題なのです。空気の中には、水蒸気やそこの他の微粒子がたくさん浮遊していて、被写体からレンズに進む光を遮えぎったり、屈折、拡散させたりするからです。従って遠いところが、はっきりと見えなかったり、青味をおびたりするのです。霧や霞はその典型的なものといえます。レンズは入ってくる光を正しく結像する力はありますが、空気中の光の乱れを除くことはできません。(レンズはフィルター的な要素を持ってはならないのです)
これを除く力を持つのがフィルターです、フィルターはレンズの前でこの光の乱れを除いて、正しい光のみをレンズに透す光の濾過機ともいえます。この光の乱れを除くフィルターには、強く、あるいは弱く除くもの、または反対に乱れを利用する為のフィルターもあります。
各種のフィルターの使い方によって、写真に味を豊富に与える調味料的な役割を果たしますが、フィルターは写真を上手に撮影するためには絶対の必需品であり、フィルターを縦横に駆使することによって、より優れた写真が約束されるわけです。フィルターは広いテクニックの基であり、フィルターの種類を多くマスターすればするほど、写真撮影技術もまた完成に近づくといえます。
この技術シリーズは、毎月フィルターのテクニックについて、フィルターのトップ・メーカーであるケンコーの優れた専門技術員がみなさんのご参考に、分かり易く解説いたします。ケンコー・フィルターは国内唯一の専門メーカーで作られた優秀品で、広い種類と高い精度の正確な規格による製品です。ケンコー・フィルターについては最寄りのカメラ店でお尋ねください。