本レンズは、AT-X 11-20 F2.8 PRO DXの後継機として、新たに設けられたatx-iシリーズのもとに発売された。外観は現代的なスタイリッシュさを纏い、シンプルな中に高級感が漂う。また伝統のワンタッチフォーカスクラッチはそのまま搭載。AF/MFを瞬時に切り替えられる、この使い勝手の良い機構が搭載されているのは嬉しい。また前玉にトキナー独自の、撥水性・撥油性に優れたWRコートが施され、厳しい現場環境により適した造りになっている。
画角は約17mm~約32mm(35mm換算)をカバーする。超広角〜広角域の、人気の高い『オイシイ』領域をカバーしており、かつ開放値は全域通してF2.8という明るさとなれば、APS-C機ユーザーが心揺さぶられないわけがない。広い画角の中で被写体がボケの中で浮き上がる独特の表現の他、シャッタースピード、特に速い速度の選択の幅の広さや低感度のISO設定など、表現者の撮影のバリエーションを確実に広げてくれる上、明るいファインダーで撮影できる快適さもある。
キヤノンEF、ニコンFマウントが用意されているが、回転方向はメーカー純正に合わせてあるなど、快適さを求める細やかさが造りの節々に見られ、撮影者は気持ち良く、撮影意欲の赴くままに被写体に対峙できる。 価格も抑えられており、超広角ズームの入門レンズには十分すぎで、むしろベテランユーザーにこそ、ここまでの性能と描写をじっくりと吟味いただ機、そしてお使いいただきたい1本だ。
作例1
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/2.8、露出時間:1/5000秒、 ISO感度:ISO100、焦点距離:20mm
モミジの緑がまぶしく目に飛び込む。
影の部分に浮き上がる緑を意識しながら、その眩しい光とともに切り取ってみる。
作例2
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/2.8、露出時間:1/60秒、 ISO感度:ISO640、焦点距離:11mm
池におよく鯉を涼しさに、萌えるイロハモミジを。涼しげな、透明な空気も一緒に写り込んでいるかのようだ。
作例3
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/8.0、露出時間:1/30秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:19mm
窓からの緑を机に反射させ、緑一色の美しい光景が目の前に広がる。余すところなく写し込むのに、このレンズの焦点距離域はぴったりだった。
作例4
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/4.5、露出時間:1/125秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:20mm
障子をも緑に染める光をそのまま汲み取るかのように。静かな時間と、目に優しい、和やかな緑がこのレンズを通して写し込まれる。
作例5
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/16.0、露出時間:1/320秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:20mm
木々の合間から、雲ひとつない青空が覗く。葉を透ける光も隅々まで捉えていく。静かな初夏に風が流れる。
作例6
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/2.8、露出時間:1/160秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:11mm
ワイド側11mmで最短撮影距離で撮影。最短撮影距離は0.3m。背景はボケながらも広がりのある、大口径広角レンズならではの表現だ。
作例7
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/2.8、露出時間:1/1600秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:20mm
開放値F2.8で撮影。ピント面はキリッとシャープ。ピントのあったシャープさと、F2.8のボケが混在し、構図の持つ抜け感と同時に、ボケによる距離感が生まれている。じわじわと響く写真となった。
作例8
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/2.8、露出時間:1/60秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:20mm
緑一面の構図、光の当たり方の違いによる明るさとコントラスト・色の出方による違いなどから立体感が作られている。とても繊細な光をこのレンズが捉えているのがわかる。
作例9
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/2.8、露出時間:1/320秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:20mm
日陰の中で、私の目を引くように、鮮やかに佇んでいた額紫陽花。その様子をストレートに。
作例10
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/2.8、露出時間:1/400秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:19mm
こちらの額紫陽花は、薄暗い中でほんのりと浮かび上がって見えた。纏う湿気も感じられるほど。カリカリしたシャープさではなく、どこか柔らかみを感じさせ、このカットにはシックリきた。
作例11
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/6.3、露出時間:1/160秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:18mm
『トキナーブルー』と呼ばれる鮮やかな、でもナチュラルな青が、水面の青空をブルーで覆う。露出はややアンダーに撮影しているので、青は深みを帯び、見るものに静寂感をあたえてくれる。
作例12
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/11.0、露出時間:1/160秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:20mm
日が傾き、影の共演がカメラを向けさせる。手前の木の幹の表面、日向のところも日陰のところも、どちらもとても細やかに描写され、まるで目の前で見ているかのようだ。
作例13
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/6.3、露出時間:1/640秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:20mm
光と影の共演が見られるようになると、ついつい目がそちらへと。年月を経たレンガの、濃淡の美しさが、影のコントラストとともに引きつける。できるだけデフォルメを抑えたく、20mm域で。
作例14
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/5.6、露出時間:1/80秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:14mm
夕方から夜へと移りゆく時間、焼けた雲と細やかなグラデーションからなる濃い青が、シルエットになった街並みの合間に見えた。
作例15
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/3.5、露出時間:1/160秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:18mm
直線的な窓の格子に、しなやかな朝顔の蔓に惹かれ、」シャッターを押す。
構図を考えながら焦点距離を微調整。でズームレンズは便利と感じる瞬間。
作例16
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/2.8、露出時間:1/400秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:20mm
背景のボケはとても滑らかで、こうした被写体を自然に浮き上がらせてくれる。点光源による丸ボケは綺麗な円形だ。
作例17
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/2.8、露出時間:1/60秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:20mm
このレンズは高いコントラストも特長のひとつ。くっきりとした仕上がりが良くわかる。それでいて木の質感は損ねず、経てきた時代も写し込んでいる。
作例18
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/11.0、露出時間:1/100秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:11mm
撮影者の見たまま以上に雰囲気を自然に切り取りたい!という欲求は、17mmほどの焦点距離がマッチするといつも思う。ここでも街並みを含め、切り取りたいところを気持ち良く写し込めた。
作例19
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/2.8、露出時間:1/200秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:20mm
最短撮影距離0.3m、テレ側20mmにて撮影。こうしたテーブルフォトでは、お店やその場の雰囲気を取り込んでの撮影が可能だ。
作例20
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/10.0、露出時間:1/640秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:15mm
線路の合間にずっと続く石畳を象徴的に。まっすぐに伸びる様に奥行きをやや強調。広角ズームで画角を変えながら、見え方の違いを楽しむのもいい。
作例21
使用カメラ:Canon EOS7D MarkⅡ 絞り値:f/9.0、露出時間:1/1000秒、 ISO感度:ISO200、焦点距離:13mm
『トキナーブルー』真骨頂ともいうべきカット。素晴らしいほどの清々しさに、思わず空へと飛び出したくなる。空の自然の青さを十分に引っ張り出してくれた。
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