画面が大きく歪んで、独特の写真が楽しめる魚眼(フィッシュアイ)レンズ。SZ 8mm F2.8 FISH-EYEは、APS-Cサイズ用のコンパクトな魚眼レンズだ。35mm判換算では12mm相当になる。ボディは小型軽量の富士フイルムX-E4に装着。ジャストフィットと言えるほどバランスが良く、快適に撮り歩けた。電気接点は持たないものの、富士フイルムXシリーズはボディにレンズ名を入力できるため、どのレンズで撮影したかEXIFに記録が可能だ。
ピントはMF。ミラーレスなら拡大してスムーズに合わせられる。また8mmという焦点距離なので、絞り込めばパンフォーカスにしやすい。また最短撮影距離が0.1mと短いことにも注目だ。最大倍率は1/10倍。被写体に迫ることで、歪曲の効果を生かしたダイナミックな表現が味わえる。
画角は水平180度の対角線魚眼。非球面レンズや低分散ガラスなどの特殊ガラスは使用していないものの、絞り開放からシャープな描写だ。小さくて軽く扱いやすい魚眼レンズ。風景、ネイチャー、旅写真など、様々な被写体で作品の世界を広げてくれるレンズだ。絞りリングにはクリックがないので、動画撮影にも使ってみたい。
作例1

FUJIFILM X-E4 絞り値:f/8、露出時間:1/640秒、ISO感度:ISO160
魚眼レンズらしい歪みを意識してフレーミング。快晴の空はヌケが良く、くっきりした仕上がりだ。右上に太陽の強い光が反射しているが、ゴーストはほとんど出ていない。また解像力も申し分なく、優れた描写力が楽しめる。フィルムシミュレーションはPROVIA。
作例2

FUJIFILM X-E4 絞り値:f/5.6、露出時間:1/950秒、ISO感度:ISO160
空を丸ごととらえるような感覚で撮影できる魚眼レンズ。雲のトーンと、その合間から見える空を強調するために、フィルムシミュレーションをモノクロのACROS+Rフィルターに設定した。魚眼レンズとモノクロの組み合わせは、カラーとは異なる印象深い表現ができて楽しい。
作例3

FUJIFILM X-E4 絞り値:f/8、露出時間:1/125秒、ISO感度:ISO400
X-E4の背面モニターをチルトさせ、地面スレスレのローアングルで撮影。小さくて軽いレンズなので、街中でも高い機動力で撮影できる。ピントリングが滑らかに回転するので、MFでもストレスなくピント合わせが行えた。フィルムシミュレーションはPROVIA。
作例4

FUJIFILM X-E4 絞り値:f/8、露出時間:1/120秒、ISO感度:ISO160
吊り下げられたジョウロと碇。何気ない光景も、魚眼レンズでとらえると新鮮に見える。対角線魚眼レンズは広々した表現が得意だが、あえて縦位置で狙うと縦方向の意識が一層強調され、横位置とは異なる表現ができる。フィルムシミュレーションはPROVIA。
作例5

FUJIFILM X-E4 絞り値:f/4、露出時間:1/20秒、ISO感度:ISO400
画角が広い魚眼レンズは、狭い室内でも威力を発揮する。部屋の雰囲気が感じられる作品になった。また椅子の籐の質感も見事に再現されている。窓から入る柔らかい光を強調するために、フィルムシミュレーションはASTIAに設定した。
作例6

FUJIFILM X-E4 絞り値:f/5.6、露出時間:1/9秒、ISO感度:ISO400
グニャリと曲がった電気スタンドとコートスタンド。肉眼ではあり得ないが、あえて歪曲を活用するのが魚眼レンズの面白さだ。何気ないシーンもインパクトのある作品にできる。フィルムシミュレーションはPROVIA。
作例7

FUJIFILM X-E4 絞り値:f/2.8、露出時間:1/40秒、ISO感度:ISO800
置時計を最短距離0.1mまで近付いて撮影。レンズ先端が時計に接触しそうになるほど寄れる。絞り開放だと、焦点距離8mmでも背景はボケる。ピントを合わせた時計の文字盤の中央はシャープ。背景のボケも自然で立体感のある作品になった。フィルムシミュレーションはPROVIA。
作例8

FUJIFILM X-E4 絞り値:f/8、露出時間:1/900秒、ISO感度:ISO160
低空で舞うユリカモメ。空を広く入れることで、魚眼レンズ特有のダイナミックな画作りができる。ピントリングを1m付近、絞りをf/8にすると、ほぼパンフォーカスになるため、ピントは気にせず、飛翔するユリカモメの動きを見ながらシャッターが切れた。フィルムシミュレーションはPROVIA。
作例9

FUJIFILM X-E4 絞り値:f/11、露出時間:1/350秒、ISO感度:ISO160
レトロな雰囲気の金属の郵便受けに、太陽の光が反射している光景をとらえた。魚眼レンズは、背景の建物や空の様子まで画面に取り込める。フィルムシミュレーションはPROVIA。青空を強調するため、カラークロームブルーを「強」に設定した。
作例10

FUJIFILM X-E4 絞り値:f/8、露出時間:1/80秒、ISO感度:ISO400
夕暮れ時。観光船が桟橋を離れる間際に撮影した。対角線魚眼のSZ 8mm F2.8 FISH-EYEは、歪みを生かしながらも超広角レンズに近い使い方もできる。手前の観光船も背景の街並みもシャープに撮影できた。フィルムシミュレーションはVelviaに設定し、夕暮れの空の雰囲気を強調した。

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