デジタル専用レンズとして投入された初代AT-X116 PRO DXは2008年に登場。AT-X11-16 PRO DX IIを経て、現在に至っている。
変更点で最も大きいのは外装デザインだ。これまではフォーカスリングなどに力強さを感じさせる意匠が採用されていたが、atx-iでは今ふうな繊細さを見せるものに変更された。フィルター径などに変更はなく、定評のあるワンタッチフォーカスクラッチ機構も踏襲。ダイレクト感のあるオートフォーカスとマニュアルフォーカスの切り替えは、主なトキナーレンズの特長のひとつにもなっている。
ベースになった製品まで含めれば、いわゆるロングセラーの部類に入るが、長年愛されるには訳がある。11-16ミリという焦点距離は、35ミリ換算(フルサイズ換算)では約17~24ミリの超広角ズームレンズに相当。狭い場所や雄大な景色を端々まで取り入れられるほか、強烈な遠近感を活かして、迫力ある写真を撮れるのが特長だ。
なかでも本レンズの強みは「開放F値」。ズームレンズでありながら「F2.8」通しは、素晴らしい。この数値が小さなほどボケ効果を活かせるほか、速いシャッター速度で動きを止めやすく、手ブレ軽減や動画撮影にも役立つ。また暗いシーンでISO感度を上げずに画質をキープできるほか、明るいファインダーで快適な撮影を楽しめるメリットにも恵まれる。
超広角ズームレンズという括りでだけではライバルも多いが、開放F値まで視野を広げると選択肢は一気に狭まり、一頭地を抜く存在で長年人気を得ていた理由がわかる。 今回、ニコン、キヤノンの両マウントを使ったが、両社の純正レンズに準じたフォーカスリングの回転方向に合わせているほか、キヤノン用ではマウント金属部にも着脱指標が設けられており、スピーディなレンズ交換に一役買っている。
画質については写真をご覧頂くとわかりやすいが、総じて大口径超広角ズームレンズとして必要十分な性能を持っている。価格もお手頃に抑えられていて、お買い得感の高さも特筆できる。
作例1
使用カメラ:Canon EOS 80D、絞り値:f/11.0、露出時間:1/500秒、ISO感度:ISO-100、焦点距離:15mm
旅先では気に入った場所の雰囲気を取り込んだり、記念写真など、ワイドな画角が欲しくなる。これだけ取り付けて、街を散策するのも一案。その気になれば、ひとり旅の自分撮りにも重宝するはずだ。
作例2
使用カメラ:Canon EOS 80D、絞り値:f/8.0、露出時間:1/640秒、ISO感度:ISO-100、焦点距離:11mm
山から見下ろす街並みやダイナミックな雲を最広角11ミリで狙う。絞りはF8を選択して、画面全体にピントが合ったように見えるパンフォーカスを利用。
拡大すると街の細部までしっかり見えてくる。
作例3
使用カメラ:Nikon D500、絞り値:f/4.0、露出時間:1/320秒、ISO感度:ISO-200、焦点距離:11mm
木の足元に群生するツワブキ。構図を決める作業と並行して、一番見せたい花にピントを合わせる。広角レンズで近づくと、背景の様子を取り入れられるほか、レンズを上方に向ければ、背景を伸びやかに再現できる。
作例4
使用カメラ:Nikon D500、絞り値:f/8.0、露出時間:1/1000秒、ISO感度:ISO-100、焦点距離:11mm
11mmで撮影。広範囲を撮れる超広角レンズは、散漫に見えがち。見ている人を飽きさせないよう、構図や目を引くポイントの配置を考えながら構成するのがおすすめだ。拡大すると波の表情までしっかり見て取れる。
作例5
使用カメラ:Nikon D500、絞り値:f/8.0、露出時間:1/125秒、ISO感度:ISO-100、焦点距離:11mm
力強い水の流れが伝わるようにシャッタースピードは1/125に設定。周辺の空と緑のバランスを見ながら構図を決めた。山肌や樹木の細部や画面隅まで、しっかり描写されているのが確認できる。
作例6
使用カメラ:Nikon D500、絞り値:f/5.6、露出時間:1/800秒、ISO感度:ISO-100、焦点距離:15mm
小さい画面では分かりづらいが、よく見れば多くトビが弧を描くように飛んでいる。空など均質な明るさが多いシーンでは、絞りを数段絞れば、画面隅の明るさも揃い、より自然に見えてくる。
作例7
使用カメラ:Nikon D500、絞り値:f/8.0、露出時間:1/3200秒、ISO感度:ISO-100、焦点距離:11mm
雲の合間を太陽が見え隠れする天候のもと、灯台をシルエットに。建造物を見上げるように撮れば、広角レンズ独特の遠近感でいっそう力強く見える。マイナス補正で雲のトーンを再現すると共に、シルエットを強調。
作例8
使用カメラ:Nikon D500、絞り値:f/2.8、露出時間:1/4000秒、ISO感度:ISO-100、焦点距離:15mm
最短撮影距離は0.3m。広角で近づくと広い背景を活かした画面構成を作れる。接写時ほど、マニュアルフォーカスを使いたくなるが、そんなときにはフォーカスリングを手前に引けば即時に切り替わる。
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