このレンズは35mm換算してみると35mm相当の焦点距離となる。多くのスナッパーが好んで使用する焦点距離だ。
何故スナッパーが好んで使用するのか?それは23mm(35mm)レンズは撮り方によっては遠近感が強調された広角レンズの特徴を活かす表現になったり背景を整理した望遠レンズで撮影したような絵作りをする事が出来るレンズだからだ。
これには、ちょっとした撮影距離感や構図の工夫が必要となるが、この撮り方を習得出来たのであれば、レンズ1本で複数のレンズを使用したような写真表現を楽しむ事が出来るのである。そんな焦点距離のレンズなのだが、実際の描写が気になるところ。
作例1

使用カメラ:FUJIFILM X-T4 絞り値:f/8.0 露出時間:1/35秒 ISO感度:ISO800 焦点距離:23mm
規則正しく並べられた丸テーブルと椅子。遠近感を強調する事を考えてカメラアングルを決める。なんの変哲もない情景がシャッターを切ることでフォトジェニックな被写体へと変わる。
作例2

使用カメラ:FUJIFILM X-T4 絞り値:f/6.4 露出時間:1/9秒 ISO感度:ISO160 焦点距離:23mm
渋谷と恵比寿の中間地点にある架橋の上から撮影。電車がブレるようにシャッター速度は1/9秒に設定。レンズが小さく手持ちでもボディーとの相性も良いようだ。気合いを入れなくてもカメラブレをせずに撮影する事が出来た。
作例3

使用カメラ:FUJIFILM X-T4 絞り値:f/8.0 露出時間:1/1800秒 ISO感度:ISO400 焦点距離:23mm
ダウンヒルを疾走するバイクは想像よりも遙かに速いスピードで通り抜けて行く。AFスピードの速いレンズだったとしても失敗する確率が高くなる。そんな時はフレーミングを決め置きピンで撮影をする。
作例4

使用カメラ:FUJIFILM X-T4 絞り値:f/1.4 露出時間:1/4400秒 ISO感度:ISO400 焦点距離:23mm
広角レンズはボケ描写が苦手である。しかもセンサーがAPS-Cともなればフルサイズに比べてボケは鈍くなるのが当たり前。ところが開放F1.4で撮影すると玉ボケは現れるしボケの柔らかい描写は引き出されるし。良い事が沢山ある。
作例5

使用カメラ:FUJIFILM X-T4 絞り値:f/8.0 露出時間:1/350秒 ISO感度:ISO400 焦点距離:23mm
錦に染まり始めた森を眺めているだけでホッコリした気持ちになる。この日は天気も良く気温も心地よかった。何をする訳でもないが散歩をするだけでウキウキする。そんな気楽な撮影の相棒にこのレンズは適しているのかもしれない。
作例6

使用カメラ:FUJIFILM X-T4 絞り値:f/16.0 露出時間:1/9秒 ISO感度:ISO200 焦点距離:23mm
滝が折り重なって流れていた。太陽は尾根の向こうに姿を消し、ここは日陰となっている。快晴時の日陰はカラーバランスが崩れやすくWB:太陽光で撮影すると青味が掛かる。手前と奥ではWBが異なるらしく青被りも微妙に異なる。そんな繊細さも写しだすレンズなのだ。
作例7

使用カメラ:FUJIFILM X-T4 絞り値:f/5.6 露出時間:1/300秒 ISO感度:ISO320 焦点距離:23mm
風景写真において奥行きを写し出す事が立体感を引き出す事に繋がり、とても重要な構図の考えである。前景を入れて背景を重ね合わせるだけの作業ではあるが、そのバランスを考えながら撮影する事が楽しくて仕方ない。
作例8

使用カメラ:FUJIFILM X-T4 絞り値:f/5.6 露出時間:1/7秒 ISO感度:ISO200 焦点距離:23mm
薄日が差し込む苔むした森。太陽の光が入り込むだけで立体感が異なって見える。その繊細な情報を写し止めてくれたレンズにも感謝したい。ここは木道の上で三脚を立てることが出来ず手持ち撮影。
作例9

使用カメラ:FUJIFILM X-T4 絞り値:f/6.4 露出時間:1/60秒 ISO感度:ISO200 焦点距離:23mm
手前の木立を取り入れ奥の紅葉をフレーミングする。格子状の構図は基礎正しさを強調し奥行きも演出できるので僕は積極的に取り入れて撮影している。その時に木立の質感が浮かび上がる繊細な描写が重要。レンズの力が試される。
作例10

使用カメラ:FUJIFILM X-T4 絞り値:f/3.2 露出時間:1/120秒 ISO感度:ISO200 焦点距離:23mm
最短撮影距離40cmは伊達ではない。マクロレンズとは違う背景を取り入れた描写が僕は好きである。繊細な苔の描写と落ち葉の質感がまるで本物のようにモニターの中に現れた。このレンズは微細な光までも写し止めてくれる優れものだ。

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