トキナーブランドの歴史は長く創業は1950年からになる。なんと70年もの歴史を培ってきたブランドだ。そのトキナーさんが始めて富士フイルムのAPS-Cフォーマットカメラに対応したXマウントを開発した。しかも、同時に2本発売となる。
今回紹介するレンズは「atx-m 33mm F1.4 X」35mm換算で50mm相当の焦点距離だ。50mmと聞けば思い浮かぶフレーズは「標準レンズ」つまり写真の基礎を学ぶときに購入を進められるレンズの代表的な焦点距離だ。これを切掛けに写真の基礎をもう一度お復習いしてみるのもよいのではないだろうか?
ボディーの軽さに付け加えて缶コーヒーよりも小さく軽いレンズである。ハンドリングは抜群に良い。何より手に持った時の質感が実に良いのである。持つ喜びを秘めたレンズと言える。そんな書き方をすると「お高いんでしょ?」と突っ込みが入りそうだが価格帯はリーズナブルである。それでいて高級感のある部材を使用しているのが嬉しいポイントの1つである。
そんなレンズを持って街を撮り歩くも良いし。サブカメラとして肩に掛けて手持ちで風景を撮るもの良いだろう。そこで気になるのは描写力。開放F1.4が作り出すボケや絞り込んだ時の質感描写。それらはきっと満足の行く仕上がりを約束してくれると僕は思っている。
作例1

使用カメラ:FUJIFILM X-T4 絞り値:f/1.6 露出時間:1/4秒 ISO感度:ISO500 焦点距離:33mm
夜明け前の黎明の刻。メインのカメラを三脚にセットし夜明けを待つ。その空いている時間に手持ちで撮影。開放F1.4と言う事で少々感度を上げるだけで手持ち撮影でもブレることはない。
作例2

使用カメラ:FUJIFILM X-T4 絞り値:f/8.0 露出時間:1/180秒 ISO感度:ISO200 焦点距離:33mm
色づきの良い紅葉を見つけたので背景をどうやって取り入れるかを考えてポジションを選ぶ。望遠レンズやズームレンズを使い慣れていると、この発想が中々出てこなくなる。撮影は背景の選び方1つで、その善し悪しが大きく変わってくる。
作例3

使用カメラ:FUJIFILM X-T4 絞り値:f/1.6 露出時間:1/4000秒 ISO感度:ISO400 焦点距離:33mm
秋の乗鞍はライダー達がひっきりなしに通る。手持ち撮影ではあるが、フレーミングを決めてタイミングを待つ。自転車が来たからシャッターを切る訳ではなく鮮やかなユニホームのライダーの時だけ人差し指を動かすのだ。
作例4

使用カメラ:FUJIFILM X-T4 絞り値:f/16.0 露出時間:1/4秒 ISO感度:ISO200 焦点距離:33mm
秋は谷間の滝に日差しが届く時間は短い。この日は快晴であったが、滝に到着した時には既に滝は木陰の中にあった。こんな時は無理に感度を上げて撮影をせずに低感度で三脚を使いスローシャッターで撮影を行う。
作例5

使用カメラ:FUJIFILM X-T4 絞り値:f/16.0 露出時間:1/20秒 ISO感度:ISO200 焦点距離:33mm
霧の中佇む立ち枯れした樹々はとてもフォトジェニックで僕の好きな被写体である。これらの撮影は枝の先までピントが合うように絞って撮影する。キビキビ動くAFが心地よく撮影はスムーズに行う事が出来た
作例6

使用カメラ:FUJIFILM X-T4 絞り値:f/11.0 露出時間:1/80秒 ISO感度:ISO200 焦点距離:33mm
秋晴れの心地よい昼下がり。逆光に照らされる紅葉が美しく光り輝いていた。紅葉と青空、両方に露出が合う微妙な角度を探す。秋は太陽高度の関係から、このように青空と紅葉を交えた撮影がしやすい季節である。
作例7

使用カメラ:FUJIFILM X-T4 絞り値:f/5.0 露出時間:1/280秒 ISO感度:ISO200 焦点距離:33mm
逆光に照らされた黄葉が鮮やかな色を発していた。対岸の山肌は日陰になっており、黒バックでの撮影をすることが出来た。黄色と黒の組み合わせと、このレンズの発色の良さが手伝って抜群に色の冴えが引き出される。
作例8

使用カメラ:FUJIFILM X-T4 絞り値:f/8.0 露出時間:1/240秒 ISO感度:ISO200 焦点距離:33mm
厚い雲が西側の空を覆っていたが、山と雲の僅かな隙間から太陽が顔を出し自分の存在をアピールするかのように強く輝いた。繊細な光のトーンを写し出せなければ作品として成立しない状況で、このレンズは見事に期待に応えてくれた。

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