デジタル一眼レフ(APS-Cサイズ)に特化した、唯一の汎用魚眼ズームレンズだ。
魚眼というと画面全体が円になる 全周魚眼を想像する場合も多いが、このレンズは画面内すべてに像を結ぶ対角線魚眼というタイプに属する。
全周タイプと比較して用途が広く、加えて魚眼+ズームというユニークなレンズ構成が大きな魅力だ。
大胆なディストーション を楽しんだり、また時には超広角レンズとしても使えるため、カメラバッグに1本入れておくことで写真表現の幅が格段に広がる。 また180°の画角とともに、0.14mという驚異的な最短撮影距離によって「近くに寄って、広く写す」という独特の表現も可能に。
足元から空まで一枚の写真に収まる圧倒的な爽快感は、他のレンズではけっして味わうことはできない。また350gという重量も フットワークを自然に軽くしてくれる。
広角系ズームとセットにしても互いの個性がまったくかぶらないため、レンズをライン ナップしやすい。
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作例01

キヤノンEOS30D 3504×2336 AT-X 107 DX 10mm域で撮影 1/60秒 F11 -0.3EV補正 ISO100 AWB
画面周辺にいくにしたがって、魚眼レンズ独特の大胆なディストーションが表れてくる。本来はまっすぐであるはずの柱が丸く 描写され、魚眼独特の描写となった。 デジタルに適した最新光学系をもつことから、旧型レンズのように画面周辺域で像が乱れ たり、色収差などが発生することもなく安心して使える。魚眼レンズというと特殊なものと考えがちだが、肉眼で実際に見た情景 をそのまま表現するには、むしろ標準ズームレンズより適しているかもしれない。
作例02

キヤノンEOS30D 3504×2336 AT-X 107 DX 10mm(撮影1/5秒)~17mm域(撮影1/8秒) F10 ISO100 AWB 10mm域で撮影1/5秒

キヤノンEOS30D 3504×2336 AT-X 107 DX 10mm(撮影1/5秒)~17mm域(撮影1/8秒) F10 ISO100 AWB 17mm域で撮影1/8秒
AT-X 107 DXの画角は、魚眼としてのディストーションをそのまま残しながらズームにより変化する。そのため 10mm側から中間域、そし て17mm側と幾通りもの表現が可能だ。 魚眼でありながらバリアブルな焦点距離をもつこと で、用途は無限に広がるといっていいだろう。 作例 は10mm側と、テレ端にあたる17mmで撮影したもの。ともに全域 でシャープであり、すみずみまでしっかりと解像している様子がうかがえる 。デジタル専用レンズの実力が垣間見れる。
作例03

縦位置で撮影すると足元から空までが一気に画面内に収まる。 180°の画角は実際にカメラを覗くと壮観であり、シーン によっては撮影者の足が入ってしまうほど。 直線を大胆にデフォルメさせる効果から、建物は丸みを帯びて独 特の味わいに。 また空を大胆に画面内に入れられることにより、色彩的にも面白い作品となった。コクのある色ノ リはトキナーレンズ全体の特徴 のひとつでもあり、デジタルカメラで撮影したのにフィルムで撮ったかのような色の深さがある。
キヤノンEOS30D 2336×3504 AT-X 107 DX 10mm域で撮影 1/500秒F8 -0.7EV補正 ISO100 AWB
作例04

AT-X 107 DXの近接性能を利用すると、かくもユニークな写真表現も可能だ。 近くのものが大きく写るレンズ本来の 原理とともに、魚眼レンズだからこそ実現できる手法を活かした。 画面上に写り込んでいる建物は撮影者の背後に 建ってい たもの。180°の画角はこのようにすべてのものを写し込む力がある。手前の花に内蔵ストロボで軽くア クセントを加え、非日 常的な世界をさらに演出してみた。 旅行などに連れ出して、一風変わった風景写真を撮ってみたい。
キヤノンEOS30D 2336×3504 AT-X 107 DX 10mm域で撮影1/125秒 F9 -1.0EV補正 ISO100 AWB
作例05

ドームに描かれた美しい天井画を、ホールとともに写し込んでみた。 曲線で構成される被写体では魚眼レンズというより も、超広角レンズ的な味わいに近い。 しかし普通の広角レンズでは分割しないと全景を写すことはできない。 天窓の付近に激しい輝度差があるが色のズレもなく、細部までシャープに描写しているには正直驚く。 逆光にも強 くスポットライトの影響も受けてはいない。屋外から屋内まで万能に使える。
キヤノンEOS30D 2336×3504 AT-X 107 DX 10mm域で撮影 1/2.5秒 F9 +0.7EV補正 ISO100 AWB