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Tokina新レンズを使う高橋良輔の視点

AT-X 116 PRO DX

AT-X 116 PRO DXAT-X 116 PRO DXとはAPS-Cフォーマットに対応した11-16mmの焦点距離をもつ、デジタル一眼レフ専用超広角ズームレンズだ。

トキナーからは同様のコンセプトをもつ名玉「AT-X 124 PRO DX(12-24mm)」があるが、その広角端をさらに1mm短縮。35mm判換算で約16.5-24mm(1.5倍加算時)の焦点距離としている。

AT-X 116 PRO DXの特徴はその広角端の焦点距離とともに、さらに明るくなった開放F値も見逃せない部分のひとつ。 AT-X 124 PRO DXではズーム全域F4通しであったが、AT-X 116 PRO DXでは ズームの全域でF2.8の明るさを確保。暗い室内でもさらに使いやすくなっている。

11mmスタートの広角端をもち、かつF2.8通しの 開放F値をもつ超広角ズームは世界的にも例がなく、まさにこのクラスで唯一無二の存在となっている。またF2.8の明るさを実現し ながらきわめてコンパクトに設計されており、小~中型クラスのデジタル一眼レフに装置してもレンズの大きさが苦にならない点も 素晴らしい。

光学的には蛍石に限りなく近いSD(超低分散)ガラス「FK03」2枚を採用。色収差の除去を実現したほか、ディストー ションの補正に効果があるP-MO非球面レンズを前群に配置。後群のレンズ配置とあわせて各収差をバランスよく補正している。 それでは実際にこのレンズを使って撮影した画像を見ながら、AT-X 116 PRO DXの魅力を掘り下げていこう。


 

目次 [開く]

 

作例01

キヤノンEOS 40D 絞り優先AE(F2.8、1/20秒)/WB:オート/ISO 1000


About

キヤノンEOS 40D 絞り優先AE(F2.8、1/20秒)/WB:オート/ISO 1000 0.3mの最短撮影距離に11mmを組み合わせると、このようにワイドマクロ的な表現が可能となる。 超広角レンズは一般的に「ぼけ」はきれいでないとされているが、このレンズは例外であり、アウトフォーカスしている部分には標準ズームを思わせるような品のいいぼけが広がっていく。 あわせて周辺部の点光源の描写も秀逸であり、コマ収差などが効果的に補正されていることを示している。 超広角レンズの常識を覆す高い性能によって、新しい表現手法がまたひとつ誕生したといってもいい。

 

作例02

About

天井から床まで一気に広がる大胆な画角が、AT-X 116 PRO DXの真骨頂だ。 キヤノンEOS 40Dへの装着では約17mmとなり、そのワイド感はファインダーを覗くとすぐに体感できるほど凄まじい。ワイドレンズにもっとも必要となる周辺部の画質も写真を丹念にチェックしても破綻はなく、天井のガラス絵の柄までもが画面の端までシャープに描写されているのには驚く。 このタイプのレンズではしばしば画面端の画質にはあきらめも必要となってくるものだが、AT-X 116 PRO DXならば妥協の必要はまったくないと感じた。


キヤノンEOS 40D 絞り優先AE(F8、1/125秒)/WB:オート/ISO 200


 

作例03

About

激しい輝度差がありレンズにとって過酷なシーンだが良好に色収差は補正されており、エッジ部にもその痕跡はほぼ確認できない。 また11mmの画角は予想をはるかに超えるほどはるかに広く、撮影者の想像力をさらにかき立ててくれるだろう。 細部までくまなく画質を確認してみたが、画面中心部はもとより超広角レンズの鬼門というべき周辺部の画質も安定。狙いどおりの写真を撮ることができた。 また周辺光量の低下もほぼ見受けらず、すべてにおいて満足できる高い性能が確認できた。


キヤノンEOS 40D 絞り優先AE(F8、1/60秒)/WB:オート/ISO 250


 

作例04

キヤノンEOS 40D 絞り優先AE(F8、1/80秒)/WB:オート/ISO 200


About

11mm側でもきわめて画面の歪みは少ないが、16mm側ではさらにディストーションが良好に補正されていた。 超広角ズームはなにかと単焦点レンズと比較されることが多いが、最新の光学設計により性能を飛躍的に向上させたAT-X 116 PRO DXは、すでに単焦点レンズの性能をも抜き去ってしまった感すらある。 この描写にはP-MO非球面レンズの採用が大きくかかわっており、最新の光学技術の高さには舌を巻く。実写でも水平線の描写などにその性能の高さが垣間見れる。 超広角ズームの望遠端はおまけ的な要素として考えられることが多いものだが、 AT-X 116 PRO DXの16mm側にはしっかりとした存在意義がある。

 

作例05

About

近接性能の高さからさまざまな描写が可能となるのも、このレンズの面白いところだ。 ここでは11mm側にズーム位置をセット。最短撮影距離の0.3mまで花に近づいて、花とともに温室の天井をまでを一気に写し込んでみた。 近接して被写体を大きく写しながら周囲の状況を説明できるのも、11mmという焦点距離がもつ画角があってこそ。 超広角レンズならではのスケール感とマクロレンズ的な要素を組み合わせれば、これまでにないまったく新しい写真表現がさらに可能となる。


キヤノンEOS 40D 絞り優先AE(F9、1/320秒)/WB:オート/ISO 200


 

作例06

キヤノンEOS 40D 絞り優先AE(F13、1/160秒)/WB:オート/ISO 200


About

手前の被写体が大きく写る描写特性は広角レンズ特有の現象だが、焦点距離が短くなればなるほどその傾向は強くなっていく。 手前の菜の花の高さは長くても数十センチだが、11mmの焦点距離により強烈なパースがつき、画面奥のヤシの木よりも高く見えている。 また低位置から撮影しているために、手前の菜の花が多く内側に倒れているようにも見え、さらにダイナミックな写真となった。 風景写真家だけではなく、花を専門に撮っている人にも是非オススメしたいレンズだ。

 

[著作権および画像利用についてのご注意]

本スペシャルページで提供している「実写生データ」の著作権は、撮影者である 高橋良輔氏に、使用権は 株式会社ケンコー・トキナー に帰属しています。著作権所有者および 株式会社ケンコー・トキナー への事前の承諾を得ること無しに、その全てまたは一部を、いかな る形式、いかなる手段によっても、複製・改変・再配布・再出版・表示・掲示または転送することは禁じられています。

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