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トキナーレンズの高画質をより引き出す技術

FíRIN 20mm F2 FE AF

FíRIN 20mm F2 FE AFFíRIN 20mm F2 FE AFFíRIN(フィリン)20mm F2 FE AF(オートフォーカス)は、昨年発売されたTokinaミラーレスレンズシリーズFíRINの第一弾FíRIN 20mm F2 FE MF(マニュアルフォーカス)をオートフォーカス化し、装いを新たにしたレンズである。
FíRIN 20mm F2 FE AFの外見はFíRIN 20mm F2 FE MFと違い絞りリングや距離指標がなく、すっきりとしたデザインとなっている。AFは、「ちょうど良いトルク感」で回転する幅の広いピントリングが搭載されており、レンズの大きさもコンパクトで撮影に使用したα7Ⅱとのバランスも良かった。

20mmという画角は、自然、風景、スナップなど幅広く対応できる画角で、広角らしいパースは感じるものの被写体の形が崩れないバランスの取れた焦点域である。いわゆる広角と言われる焦点距離は、一般に14mm付近から30mm付近までと言われている。その中間付近が20mm前後の焦点距離で、20mmは「広角側の標準」といった性格がある使いやすい焦点距離だ。

2つのFíRIN 20mm F2 FE

FíRIN 20mm F2 FE MFFíRIN 20mm F2 FE MFFíRIN 20mm F2 FEには異なるコンセプトに基づいた2種類のレンズが用意されている。それがFíRIN 20mm F2 FE MFとFíRIN 20mm F2 FE AFである。
FíRIN 20mm F2 FE MFは、昨年発売されたレンズで、スペックだけを見ていると単にマニュアルフォーカスのレンズと受け止められてしまうが、FíRIN 20mm F2 FE MFは、単にフォーカスをマニュアル化したレンズではなく、レンズ側の操作のすべてを撮影者が決めていく「マニュアルレンズ」として市場に問うた一本であった。その現れとして、ノーファインダーの撮影を安易に行えるように距離指標をレンズに刻み込み、絞りリングもバリアブルにしマニュアル化(ワンタッチの切り替えで通常の1/3段づつの絞りに変更も可能)したほどのこだわりだった。
撮影者が、頭に描いた世界を具現化する道具として、ピントの置場、バリアブル化された絞りリングで微妙な被写界深度選択しシャッターを切る。撮影のすべてを自分で決めて撮るという面白さをFíRIN 20mm F2 FE MFで体感してもらいたいという意欲作であった。
「画を考えて、すべての操作を自分で行い、シャッターを切る」という一連の作動を楽しむというコンセプトは頭脳的撮影法とし「インテリジェンスゲーム」と銘打ち世界の市場に投入した。

今回、発売されたFíRIN 20mm F2 FE AFは、構図構成に集中し良い瞬間をテンポよく切り取っていくことを楽しむために用意されたレンズである。 定評のある高い光学性能を存分に発揮させながら、アクティブに撮影のリズムを楽しみながら撮影していく面白さを体感するために作られたレンズで、撮影者が「あ!いい!」と思う良い瞬間にシャッターを切っていく閃き的撮影法、一言でいえば「インスピレーションゲーム」として市場に投入した一本である。

FíRIN 20mm F2 FEの光学性能

FíRIN 20mm F2 FEの光学設計はAF、MFとも共通である。

11群13枚で構成され、高価なFK01を3枚も使用し各種色収差の補正を行い、さらにガラスモールド非球面を要所に入れ構成されている。 前群にFK01と非球面レンズを入れ、先ず入り口で光を精査し、可動部を抜けた光を後群でFK01、2枚を使いしっかりと補正し最後に非球面レンズで画像全体を整え撮像素子に情報を送っている。現代設計の非常に贅沢な作りであると言えよう。

上述のような構成で作られたFíRIN 20mm F2 FEは、高解像高コントラストであり、また非常にコンパクトな作りになっている。さらにTokinaのアイデンティティの一つでもある深い青の発色「トキナーブルー」も健在である。この光学性能をそのままにFíRIN 20mm F2 FEをAF化したものが今回解説するFíRIN 20mm F2 FE AFである。

以下、実写をもって解説していこう。

 

目次 [開く]

 

AF

使用カメラ:Sony α7 II、絞り値:f/5、露出時間:1/4000秒、ISO感度:ISO-200、焦点距離:20mm


AF化したことにより、上述のように「インスピレーション」を大事にした、良い瞬間に集中した撮影ができる。

 
各画像をクリックすると原寸実写画像がご覧になれます。


また、スナップもAF化したことによりテンポよく撮影をおこない「良い表情」を見せてくれる瞬間にシャッターを切ることができる。

 

AF-Cの動き

使用カメラ:Sony α7 II、絞り値:f/3.5、露出時間:1/13秒、ISO感度:ISO-500、焦点距離:20mm


追い流しのテストも行った。非常に細かい動きで足早に動いていく路面電車のヘッドライトに合焦させていた。

 

トキナーブルー

使用カメラ:Sony α7 II、絞り値:f/8、露出時間:1/2000秒、ISO感度:ISO-50、焦点距離:20mm


Tokinaの代名詞ともなりつつある深い青の発色も健在である。この独特の深い青の発色は多くのTokinaのレンズに見ることができる。

 

解像

使用カメラ:Sony α7 II、絞り値:f/8、露出時間:1/400秒、ISO感度:ISO-200、焦点距離:20mm


遠景の解像を見てみよう
手前から奥まで非常によく解像している。また太陽を画面かなり上部に配置しての撮影であるが目立つゴーストも無くフレアの発生などもない。

 

解像2

使用カメラ:Sony α7 II、絞り値:f/8、露出時間:1/15秒、ISO感度:ISO-100、焦点距離:20mm


近景の解像も、葉の一枚一枚を隅々までしっかりと解像している。

 

コントラスト

使用カメラ:Sony α7 II、絞り値:f/5、露出時間:1秒、ISO感度:ISO-250、焦点距離:20mm


コントラスの高さはこうした夜景撮影にも影響する。僕は、夜景を撮影する際、暗くなりきらないトワイライトタイムで撮影をする。そのときに、コントラストの高さが重要になる。トワイライトタイムで撮影する理由は、暗くなりきらない「空の青」を入れた画にするためだが、コントラストの良いレンズで撮影すると、所謂「色ヌケ」が良いため、「空の青」が綺麗に残るのである。FíRIN 20mm F2 FEは、色ヌケが非常に良いためトワイライトタイムの「空の青」が綺麗に残り、さらにこれも高コントラストの恩恵であるが水面に写る反射がしっかりと写りこんでくるためメリハリのある画になっている。

 

ボケ味

使用カメラ:Sony α7 II、絞り値:f/2、露出時間:1/15秒、ISO感度:ISO-160、焦点距離:20mm


ニッカウヰスキー余市蒸溜所にお邪魔して撮影した一枚である。
ニッカウヰスキー余市蒸溜所は、某TV局で放送されていた朝の連続ドラマでもおなじみの場所であるが、放送前からも人気の観光ポイントである。見所が多く、美しい建物が並び四季を通して楽しめる場所であり、またニッカウヰスキーの真面目で実直なウイスキーづくりが伝わってくる良い場所だ。余市蒸溜所でしか手に入らない「余市」の蒸溜所限定ウイスキーも販売されており、その味わいは、香り豊かでウイスキー好きをうならせる味わいで、筆者も訪れると必ず贈答用に数本購入する。
さて、ボケ味であるが、ニッカウヰスキー(漢字では「日果」)のマスコットキャラクターともいわれる「キング・オブ・ブレンダーズ」にピントを合わせ前後のボケ時を見ることとした。
前ボケ、後ろボケ共になだらかにボケていく様子がわかる。球面収差の発生がなだらかで統制がとれていることが伺える。


続いて近景のボケ味も見ておこう


使用カメラ:Sony α7 II、絞り値:f/4、露出時間:1/30秒、ISO感度:ISO-1600、焦点距離:20mm


おなじみの「スーパーニッカ」が並んでいたのでグッと寄って撮影した。上述同様非常になだらかなボケ味を見せる。

 

ディストーション

使用カメラ:Sony α7 II、絞り値:f/4、露出時間:1/50秒、ISO感度:ISO-1600、焦点距離:20mm


ディストーションは少なめで良く補正されている。


撮影協力
ニッカウヰスキー余市蒸留所
https://www.nikka.com/distilleries/yoichi/

 

星空

使用カメラ:Sony α7 II、絞り値:f/2、露出時間:13秒、ISO感度:ISO-3200、焦点距離:20mm


FíRIN 20mm F2 FE MFでも定評のあった星空の撮影である。20mmと言う画角は天頂まで入れ込むことはできないが、その分天の川を大きく入れ込むことができる。

 

About

星空の星の動きは思いのほか早く、あまりにも長い露光時間であると星が「棒状」になってしまう。これは焦点距離が長くなればなるほど顕著で、星空の星を「点」で撮影したいのであれば、なるべく短い露光時間で撮影したい。筆者は、星が「点」のままで撮影したいと考えているので、20mmという焦点距離であれば、露光時間は長くても13秒前後で抑えたいところだ。FíRIN 20mm F2 FEであれば、F2の明るさを活かし、ISO感度3200に抑え13秒以下で星が動かない状態で撮影でき、高解像高コントラストも手伝って天の川の姿もハッキリ見える星空を撮影することができる。


使用カメラ:Sony α7 II、絞り値:f/2、露出時間:1/10秒、ISO感度:ISO-3200、焦点距離:20mm


 
まとめ
FíRIN 20mm F2 FE AFは、高解像、高コントラストで風景、スナップ、星空の撮影など様々なシチュエーションに用いることができるレンズである。明るさをF2にしたことでコンパクトにまとまっており、小型化されていくミラーレスカメラとの相性も良いであろう。またFíRIN 20mm F2 FEは2つの楽しみ方が用意されており、今回解説させていただいたAF(オートフォーカス)の「インスピレーションゲーム」、先に発売されたMF(マニュアルレンズ)の「インテリジェンスゲーム」と2つの楽しみ方が選べるレンズであることも記しておきたい。
 
 

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