小河俊哉 - トキナーレンズの高画質をより引き出すレタッチ技術

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TOKINAレンズで撮るレース写真 AT-X 14-20 F2 PRO DXで撮る街の桜写真 トキナーレンズ秋の作例集 トキナーレンズを使った花火撮影

AT-X 17-35 F4 PRO FX

AT-X 17-35 F4 PRO FXTokina AT-X 17-35 F4 PRO FX(以下AT-X17-35とする)は広角域17mmから標準域に近い35mmまでをカバーする広角ズームレンズである。F4通しとすることで軽量コンパクトに作られており、その大きさはAPS-C広角ズームレンズとほぼ同サイズで大柄になりがちなフルサイズ広角ズームレンズの中でもAT-X17-35はとてもコンパクトなサイズだ。

AFはGMRセンサーとSD-M(Silent Drive-Module)の組み合わせで正確で素早い動きを可能とし、またインナーフォーカスの採用で前玉が繰り出さず、接近戦での撮影も手間取ることが無く現場での使いやすさを追求している。一連のTokina PROレンズシリーズで採用されているワンタッチフォーカスクラッチ機構がAT-X17-35にも採用されておりマニュアルフォーカスへの変更もスムーズだ。この機構は、AFのポイントが中央部に集まりがちなフルサイズ一眼レフ機にはとても便利な機構である。
広角レンズらしい遠近感を強調した画を撮る場合、しばしばAFポイントの無い場所にピントを置くことがあるが、そうした時に手元で素早くマニュアルフォーカスへ変更できると非常に便利だ。

素早く操作ができるメリットは撮影の現場ではことのほか大きい。ファインダーから眼を離さず、且つ「間」を置かずに撮影できる。この一瞬の「間」がフォトグラファーに与える影響は大きく、せっかちな筆者はこの一瞬の「間」があることによって「撮ること」への熱を冷ましてしまうこともある。この機構を上手く使うことによってそうした「間」を無くすことができるのだ。

高級硝材FK03、FK01とP-MOレンズの効果的な配置で各種収差も良く抑えられており、焦点域も35mmまでをカバーしたオールラウンダー的性格を持つこのレンズは、風景はもとよりスナップ、ポートレート撮影にも使えるレンズだ。ジョーカー的な使い方ではあるが、APS-Cフォーマットのデジタル一眼レフと組み合わせると焦点距離が35mm換算24mm~52.5mmとなりスナップレンズ3本分の焦点距離をカバーすることになりスナップレンズとしての面白さもある。実際筆者もプライベートで街角をスナップして歩くときD7100との組み合わせで街スナップを楽しむことがある。

2011年9月(ニコン用)の発売から2年、3000万画素オーバーの機種も現れフォトグラファーを取り巻く環境も変わった。筆者はロングラン使用で感じた日常の使い勝手や実践的な側面、そして多画素化されたカメラとの相性などを中心に述べ、以下作例とともに本稿を展開していきたい。


 

Index

 

作例01

17mm、ISO-400、1/50秒、f/11


解像

イタリア・ベネチアで撮影した一枚だ。なんとも解像テストにはうってつけのアパートがあり解像テストを行った。この一枚で中心、周辺共々の解像、空のコントラストまで分かってしまう一枚である。

先ず中心解像をみていこう。画面中央部に配置した煙突の出口の辺りにはレンズにとっては嫌がらせのようにレンガが並んでいる。解像度の低いレンズになるとこうしたレンガは溶けたような解像になり細かい起伏や質感などは伝わってくることが無い。しかし、AT-X17-35は質感がしっかり伝わるくらいキチンと解像出来ている。また、中心軸縦方向最下部に嫌がらせのように看板を配置してみた。ここまで下部に配置すると看板 の文字がにじんでしまうレンズもあるがAT-X17-35はにじむことなくしっかりと再現できている。

次に周辺解像に眼を向けてみよう。右は近景の解像、左はある程度距離を取った解像と2パターンの解像を試すことにした。左のアパートの壁の解像であるが、左最下部左最上部は、像がにじむことなく質感伝わるくらいしっかりと解像で来ていることがわかる。

右の近景の解像も番地を示す「5856」の数字もしっかり読めるが、その番地が書き入れてある柱に注目していただきたい。柱の細かい起伏をしっかりと再現していることが分かる。近めの被写体、ある程度距離のある被写体共々秀逸な解像が見られる。

AT-X17-35は3600万画素を活かすことができるレンズである。

空のコントラストに眼を向けてもベタッとした空にならず、なだらかなグラデーションを再現出来ている。また、アパートの屋根に立っているテレビアンテナの回りや明暗のきつい煙突の辺りをみてみよう。空がバックになったときこうしたアンテナや屋根の淵には「色の縁取り」が見られることがあるがAT-X17-35は、色のはみ出しもなく色収差がよく抑えられていることがわかる。

 

作例02

17mm、ISO-100、1/400秒、f/11


コントラスト

ドイツ・ヴァインスベルクヴァイバートロイ城跡で撮影した一枚だ。高コントラスト高解像だからこそ成立する画である。コントラスト、いわゆる「ヌケ」であるがスカっとした良質のヌケであり空の雲や青を良く再現している。また丘で栽培されているブドウ畑も隅々まで良く解像されている。

 

作例03

28mm、ISO-200、1/320秒、f/11


 

イタリアにあるミズリーナ湖で美しい水鏡に映る山並みを撮影した。こうした画はレンズのコントラスト力勝負になる。シンメトリー構図で上下に分かれた世界を綺麗に再現しヌケの良い清々しい一枚を求めた時、水鏡に映る湖の再現が非常に重要になる。コントラストが低いレンズでは水鏡の部分がベタッとしシャッキリとした画にならないことがあり世界観を損なってしまうときがあるが、AT-X17-35はしっかりと再現出来ている。

 

作例04

18mm、ISO-100、1/160秒、f/13


逆光性能

スイス・サンモリッツ付近で撮影した一枚である。レンズ左画角に入らないスレスレ辺りに太陽を配置しフレアの耐性を試すことにした。逆光性能の低いレンズになると画角に入らないスレスレに太陽があると派手にフレアが登場し画面いっぱい白くなってしまうレンズもあるが、AT-X17-35は良好にフレアを抑えており空のコントラストはしっかり保たれ湖の向こうに見える森の解像も落ちていない。

 

作例05

17mm、ISO-100、1/250秒、f/8


色再現

イタリア・ベネチアの水路にたたずむゴンドラを撮影した。色再現はトキナー伝統のカラーポイントを踏襲しており自然で色乗りも良い。ゴンドラの椅子の擦れた赤、ともすれば赤紫に近い色の再現や奥のボートの2種類の青も自然に再現している。

 

作例06

17mm、ISO-100、1/640秒、f/11


スイス・ディアヴォレッツァ展望台で撮影した1枚だ。
標高2,984mからの眺めで山からなだらかに続くスロープのようなものが氷河である。そして空には宇宙を感じる見事な青空が広がっていた。

一連のトキナーレンズに見られる独特の深みのあるトキナーブルーが青空を美しく再現している。トキナーブルーを強く出そうとしたとき若干露出を落とすとより深みを増したトキナーブルーを出すことができる。この1枚も-1/3段落とし撮影しトキナーブルーを強調した。

 

作例07

35mm、ISO-100、1/160秒、f/4


ボケ味

イタリア・ベネチアで撮影した1枚だ。ボケ味のテストのため普段は断るパンを頼んだ。F4でありながらやわらかくやさしいボケ味である。ピントの合っているパンの質感をキチンと伝えながらもなだらかにやさしくボケていく。標準領域である35mmは単焦点に迫る描写の良さを見せる。
余談ではあるが、ヨーロッパでは食事にこうしたパンが付いてくる。しかしこのパンはサービスではなく食べてしまうと別料金が発生し思いのほか高くついてしまうことがあるのだが、撮影しているうちに質感を試したくなりつい手にとってしまい思いのほか高いランチになってしまったことは言うまでもない。

 

作例08

17mm、ISO-200、1/160秒、f/11


歪曲収差

ドイツ・ノイシュヴァンシュタイン城で撮影した1枚だ。このお城はシンデレラ城のモデルになったと言われている美しい城である。
歪曲収差は光学的に非常にうまく抑えられている。結像される線に歪みはなく斜めの線も真っすぐに伸びていることが分かる。また、こうした曇り空の撮影は思いのほかレンズの実力が出る。曇り空は全体に光が回るもののコントラストが低くなりしばしばレンズの粗が出てくる。例えば解像について、光がしっかりまわらないと、その分撮像素子に入る情報も少なくなり解像が粗くなる時がある。しかし、AT-X17-35は条件の悪い中でもしっかりと城壁石畳を解像している。

 

作例09

35mm、ISO-100、20秒、f/9


ナイト撮影

ドイツ・ハイデルベルクで撮影した1枚だ。夜景撮影で気になるのは点光源のにじみや暗部の再現性である。点光源の街灯の処理は良好で気になるゴーストも見当たらない。また、画面左手前の暗部の再現も良好で良く情報が撮像素子まで届いている。暮れきっていない空の様子も秀逸に再現出来ている。わずかに残る空の青と街明かりを反射した雲の再現は少ない情報をキチンと撮像素子まで送っている証拠でもある。

 

作例10

20mm、ISO-100、6秒、f/8


ドイツ・ローテンブルク市庁舎の夜景を撮影した。
より夜が深まった時間帯での撮影では夜空の黒のしまりも良くハイデルブルクの夜景同様点光源の処理も良好だ。また、画面中央少し左にある金属ポールにも色のはみ出しは見られない。

 

作例11

17mm、ISO-800、25秒、f/5.6


イタリア・ドロミテ地方で月を光源にしてナイト撮影を行った。さらに乏しい光の中でもAT-X17-35はしっかりと情報を撮像素子に届けている。月光が光源となるが手前の岩山の質感の再現、ゴロゴロとした岩の再現を乏しい光の中でもしっかりと再現している。
また、画面左下の草の細かい再現も良好に出来ている。実際の撮影現場は真っ暗で露光も25秒を必要とした現場であったことを考えると非常に優秀な再現である。上述している通り撮影条件が悪くなればなるほどレンズの実力が露わになるがAT-X17-35は悪条件の中でもしっかりと破綻の無い画を提供してくれる。

 
まとめ
AT-X17-35は広角域から淳標準域までをカバーするオールラウンダー的性格を持つレンズで、撮影条件の悪い中でも安定した画を提供する使いやすいレンズと言えよう。
 
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