atx-iシリーズのatx-i 11-16mmF2.8 CFに続く、第二弾がatx-i 100mm F2.8 FF MACROだ。
こちらのレンズはデジタル専用でなくフルサイズ兼用。フルサイズ機では100ミリ、APS-C機ではフルサイズ換算で約150ミリ相当の画角が得られる望遠マクロレンズになる。
マクロレンズとはちいさなものを大きく撮れる「接写」をできるレンズのこと。一般的なレンズでも、ある程度まで大きく撮れるが、至近ではピントが合わず、悔しい思いをする。その願いをかなえてくれるのが、マクロレンズというわけだ。
トキナーレンズは多種多用なレンズが揃っているが、各レンズが個性を持ち、用途や目的に応じて使い分けられるのがレンズ交換式カメラの醍醐味だ。
atx-i 100mm F2.8 FF MACROとFIRIN 100mm F2.8FE MACROはレンズ部の基本構成は共通。本レンズはニコン、キヤノンの一眼レフ用で、ソニーミラーレス用がFIRINという位置づけになっている。
特長としてはライバル製品を見渡しても珍しいピント合わせ時に全長の変わる前玉繰り出し式を採用している。この方式はボケ味に優れるのが特長で、ピント位置の前後を自然にぼかしてくれる。もちろん、ピントを合わせた場所は極めてシャープ。
一昔前のマクロレンズは文献複写や研究用途などを主に使われたためにシャープさと歪みのなさに重点を置かれたが、近年は花など小さく魅力的なものを撮る趣味のユーザーが増えて、ボケ味も重要な要素になっている。
操作性ではトキナーの主要レンズに採用されている、ワンタッチフォーカスクラッチ機構を採用。マニュアルフォーカスの使用頻度が高まるマクロ撮影では、ファインダーから目を離さずにフォーカスモードを瞬時に切り替えられるのでスピーディな操作ができるとともに、フォーカスリングの操作フィーリングにダイレクト感があるのも特筆できる。
回転方向もニコン、キヤノンの各純正レンズに準じたもので、鏡筒の作りもしっかりと堅牢性も高く、価格以上の満足感が得られる。もちろんマクロ撮影だけでなく、日常的に望遠レンズとしても使える守備範囲の広い製品として楽しんでみてはいかがだろう。
なお文中にも記したように、描写はFIRIN 100mm F2.8FE MACROと相当する。同レンズのレビューも参考にしてほしい。
作例1
使用カメラ:SONY α9 絞り値:F4.5 シャッタースピード:1/125 ISO感度:ISO250 焦点距離:100mm
椅子の座面と地面が、クッキリ分離されて立体感が際立つ。絞りはF4.5。ボケの縁の絞り羽根の形状もきれいで輪郭も柔らかいのがわかる。
作例2
使用カメラ:SONY α9 絞り値:F4.0 シャッタースピード:1/125 ISO感度:ISO250 焦点距離:100mm
窓から柔らかな陽のあたるカーテンにピントを合わせる。凹凸のある生地の表面やカーテンの起伏もしっかり描写されている。
作例3
使用カメラ:SONY α9 絞り値:F4.0 シャッタースピード:1/125 ISO感度:ISO2000 焦点距離:100mm
テーブルに置かれたニットを見下ろす。完全な正対ではないのが、それを差し引いても四隅まで十分な描写を見せる。
作例4
使用カメラ:Canon EOS 5D Mark III 絞り値:F4.0 シャッタースピード:1/5 ISO感度:ISO100 焦点距離:100mm
フォークの中央付近にピントを合わせた。フォークの曲面や奥へつながるボケが、極めてスムーズに柔らかく流れて行く。
使用カメラ:Sony α7R IV 絞り値:F5.6 シャッタースピード:1/4000 ISO感度:ISO100 焦点距離:100mm
マイナス補正で建物をシルエットに。一般撮影もできるマクロレンズは同価格帯の望遠ズームと比べて、開放F値が明るく、ワンランク上の写りが望める。
作例6
使用カメラ:Sony α7R IV 絞り値:F8.0 シャッタースピード:1/5000 ISO感度:ISO100 焦点距離:100mm
フルサイズ対応の望遠マクロレンズとしてはコンパクトな作りで、旅に持ち出すにも最適。サイズと描写、そして価格が高バランスで結実している。
作例7
使用カメラ:Sony α7R IV 絞り値:F5.6 シャッタースピード:1/500 ISO感度:ISO100 焦点距離:100mm
拡大すると路肩の草の細部まで気持ちよく見える。歴代、長らくレンズ構成を変えてないが、言い換えれば基礎部分がしっかりしている証拠でもある。
作例8
使用カメラ:Sony α7R IV 絞り値:F4.0 シャッタースピード:1/800 ISO感度:ISO100 焦点距離:100mm
雄しべのシャープさと花弁や背景のボケの美しさを両立。等倍から約1/2倍までのリミッターも備え、AFのムダな動きを抑えたスピーディな撮影も可能だ。
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