小河俊哉 - トキナーレンズの高画質をより引き出す技術

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TOKINAレンズで撮るレース写真 AT-X 14-20 F2 PRO DXで撮る街の桜写真 トキナーレンズ秋の作例集 トキナーレンズを使った花火撮影

AT-X 840 D(作例集2)

 
作例1
作例1
原寸実写画像

作例1
原寸実写画像

作例1
原寸実写画像

夕暮れの街を撮る


街の夜景を違ったアングルから撮りたい、そう思ったときこうした海沿いの街(横浜みなとみらい)は少し離れた場所からの撮影となることが多い。 今回の作例撮影も、街全体が見渡せる少し離れた対岸の埠頭(大黒ふ頭)からの撮影となった。 AT-X840Dのもつ焦点距離はAPS-Cサイズの撮像素子を搭載したカメラの場合で120mm-600mm(ニコンの場合)と超望遠であるためこうした場合でもなんなく夕暮れの街を撮影することが出来る。 また、夜景を撮影する際気になるのが強い点光源だがまったく気にすることなく撮影が可能だ。


この2枚のレタッチであるが、撮影時に夕暮れ色を強調するためにホワイトバランスを曇天へ変更、その後現像処理で見た目に近い夕暮れ色に補正しなおした。 最後に、全体のメリハリをつけるため若干コントラストを上げ完成とした。


①焦点領域80mm(35mm判換算120mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/80、絞りF8、ISO500、WB曇天、カメラD300
②焦点領域80mm(35mm判換算120mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/15、絞りF8、ISO400、WB曇天、カメラD300
③焦点領域170mm(35mm判換算255mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/10、絞りF6.3、ISO400、WBオート、カメラD300

 
作例2
作例2
原寸実写画像

夕刻のモンサンミッシェルを撮る。


夕刻とはいえ現地時間では夜9時を回った頃の撮影である。 夏のヨーロッパの遅い夕刻に干潟越しのモンサンミッシェルをAT-X840Dで撮影した。 撮影条件は、ほぼ逆光とレンズにとって厳しい条件でありながらも寄った画、引いた画共にAT-X840Dはトキナーレンズらしいキレの良さをみせてくれた。 寄った画は、中央モンサンミッシェルのシャドー部分の情報もしっかり撮像素子へ送り込まれている。 また奥に見える並木をキチンと解像しているのが印象的だ。


焦点領域340mm(35mm判換算510mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/320、絞りF9、ISO200、WB曇天、カメラD300

作例2
原寸実写画像

引いた画では、夕日に霞むモンサンミッシェルをしっかりと解像し、 さらに干潟で羽を休める鳥たちがキレ良く解像されているのが印象的だ。 是非拡大して見ていただきたい作例である。 この2枚のレタッチであるが、メリハリ感を出したかったためトーンカーブで若干ハイライト側を持ち上げ、その後見た目に近くなるようカラーバランスでマゼンダを色補完し完成とした。


焦点領域120mm(35mm判換算180mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/250、絞りF10、ISO200、WB曇天、カメラD300

 
作例3
作例3
原寸実写画像

夕暮れの干潟を撮る1


AT-X840Dの中間域を使って干潟の撮影を試みた。 水面の漣、シルエットの鳥、干潟の砂、そうしたものがカッチリと解像されているのが分る。 AT-X840Dの中間域のキレの良さには驚かされる。


この一枚のレタッチであるが、特に補正する部分が見当たらなかったのであるがメリハリ感を出すため若干コントラストを上げ完成とした。


焦点領域120mm(35mm判換算180mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/250、絞りF10、ISO200、WB曇天、カメラD300

 
作例4
作例4
原寸実写画像

夕暮れの干潟を撮る2


夕陽を入れ込んで撮影してみる。 こうした強い点光源を入れ込んでの撮影の場合、干潟の砂などの明度差の被写体の解像度が落ちてしまうことがあるのだがAT-X840Dはそういった点が見られない。 また、拡大していただくと判るのであるが、画面中央部の夕陽を反射する水面部分に小さく写る鳥も解像していた。 当初、撮像素子のダストと思い、現像時ゴミ取りをしようとしたところ拡大してよく見てみると羽を広げる鳥であった。 こうした夕陽を入れての撮影となると、小さな鳥の姿は滲んでしまうことが多いのだがAT-X840Dはしっかり解像している。


この一枚のレタッチであるが、頭に浮かんだイメージ通り夕暮れ色を強調するためにカラーバランスでマゼンダを若干足し完成とした。


焦点領域220mm(35mm判換算330mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/320、絞りF8、ISO200、WB曇天、カメラD300

 
作例5
作例5
原寸実写画像

北フランスの大地に沈みゆく夕陽を撮る


超望遠レンズで一度は撮ってみたい被写体である。 地平線に落ちてゆく夕陽は徐々に姿を歪ませて沈んでゆく。 AT-X840Dは、フレア、ゴースト共に徹底したマルチコートのお陰で見事に抑えられており綺麗にその姿を描写してくれている。


この一枚のレタッチであるが、特に補正する部分が見当たらなかったためそのままで完成とした。


焦点領域400mm(35mm判換算600mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/400、絞りF11、ISO200、WBオート、カメラD300

 
作例6
作例6
原寸実写画像

カーレースを撮る1


筆者の撮影フィールドの一つ、クラッシックカーレースの撮影を行うために、フランス、ル・マンサルテサーキットにAT-X840Dを用いた。 80-400mmという焦点距離は、APS-C撮像素子のカメラで使用した場合(ニコンでは1・5倍)120-600mmという超望遠レンズになりサーキットやその他スポーツイベントでの撮影で重宝する焦点距離だ。 こうした超望遠レンズは、大きく重いと相場は決まっているのであるが、AT-X840Dは、実に軽量コンパクトに設計されており徒歩移動の多いサーキットでの移動を楽にしてくれる。 撮影時も作例のような、メインストレートを走り抜けるクラッシックカー、さらにストレート先の坂を上った地点にあるコーナー(通称ダンロップコーナー)の入り口、画面奥のメインストレート手前のシケインなどで撮影するため、数キロを徒歩で移動している。
こうしたことを繰り返すサーキットでの撮影では、軽量コンパクトということが大きなアドバンテージとなる。 AT-X840Dは軽量コンパクトなためレンズの重さが苦にならず、まるで標準ズームレンズを付けているような気持ちで移動できるのである。


焦点領域170mm(35mm判換算225mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/400、絞りF10、ISO800、WBオート、カメラD300

 
作例7
作例7
原寸実写画像

カーレースを撮る2


レース撮影では、こうした2台のバトルシーンも撮影したいシーンの一つだ。 コーナー出口付近で待ち構えて撮ることになるのであるが、コーナー付近はエスケープゾーンが広くあまり近くまで立ち入ることができない。望遠端付近370mm(35mm換算555mm)での撮影はこうしたシーンの撮影もなんなく可能にしてくれる。


この2枚のレタッチであるが、特に補正する部分がなかったためそのままで完成とした。


焦点領域370mm(35mm判換算555mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/1000、絞りF11、ISO1000、WBオート、カメラD300

 
作例8
作例8
原寸実写画像

400mmの描写
Nikon D300 ISO400 F8 1/400 WB曇天 400mm

野生動物を撮影する際、被写体である野生動物が立ち去ることの無い距離としての「野生の間合い」を必要とする。
そうした「間合い」をおき撮影するには、400mmという焦点距離は必要不可欠だ。 この一枚を撮影した時、400mmの望遠端を使い、「間合い」ギリギリまで歩み寄り撮影した。
こうした望遠レンズ、いわゆる「長玉」の描写を見る際、毛並みの解像をみることが手っ取り早い方法だが、AT-X840はトキナーレンズらしいキレを発揮してくれている。 ピントの合っている眼付近はしっかりと毛の流れまでを解像し、奥の身体の部分はやさしくボケている。

レンズの持つ高い実力を見せた一枚だ。

この一枚のレタッチであるが、特に大きなレタッチを必要としなかったため、隠し味程度にコントラストのスライダーを上げ完成とした。

 
作例9
作例9
原寸実写画像

400mmの描写2
Nikon D300 ISO640 F8 1/320  WB曇天 400mm

望遠端400mmにおける、若干引いた画の画作りである。
ピントをおいたエゾシカはしっかりキレのある描写、奥の茂みはにごり無くボケている。
左上からは日光が差し込み明るさを感じるが、こうした光の条件では、奥の茂みが日陰になり暗く沈んでゆく。
ボケのバックにするには、シャドウ部分に色収差や濁りが出やすい条件になってしまうのだが、LDレンズ、SDレンズの実力が遺憾なく発揮され、トキナーらしいやさしいボケ味になっていることがわかる。

この一枚のレタッチであるが、隠し味程度トーンカーブで中間調とハイライト部分をわずかに持ち上げ完成とした。

 
作例10
作例10
原寸実写画像

80mmの描写
Nikon D300 ISO200 F10 4秒 WB オート 80mm

夕暮れの雪原と一本の樹を撮った一枚だ。
広角端で絞り込んで撮るシャッキリとした画であり、暮れてゆく空のグラデーションも綺麗に出ている。
拡大してみていただくとわかるのだが、木の枝がキチンと解像されており、AT-X840の高い解像力を垣間見ることが出来る。
また、画面奥に見える小さな赤白のポールも解けることなく映し出している。
こうした、陽が落ちてから夜空へ向かう、ほんの短い時間の中で撮る空のグラデーションも、破綻することなく綺麗に再現されている。

この一枚レタッチであるが、見た目に近づけるため隠し味程度、トーンカーブでアンダー部を若干持ち上げ完成とした。

 
作例11
作例11
原寸実写画像

中間域での描写
Nikon D300 ISO320 F10 1/320 WBオート 220mm

中間域においての描写も、トキナーレンズらしいシャープで色抜けの良い描写がみられる。
北海道鶴居村で早朝の丹頂鶴のねぐらを撮影した。
撮影ポイントからAT-X840の中間域220mmで撮影したのであるが、この領域でもシャープな描写を見せてくれた。
気温と川の水温の温度差から出てくる水煙のやわらかさは残しつつも、奥の樹も手前の樹もキチンと描写されている。
また、こうしたフォギーな条件下のグラデーション再現はレンズの実力が試されるところであるが、期待通りの再現をしてくれている。 また、撮影時刻は若干変わるが、ズーム例として同一ポジションから400mmでも撮影してみた。



作例11
原寸実写画像

Nikon D300 ISO200 F11 1/640 WBオート 220mm

撮影カメラは、APS-Cサイズの撮像素子を使用するデジタル一眼レフ、ニコンD300である。
ニコンDXフォーマット、APS-Cサイズ撮像素子での焦点距離400mmは35mm換算で600mmに相当する超望遠レンズである。

朝もやに包まれた丹頂鶴のやわらかな空気感は残しつつも、画面右側中央の凍る樹の枝や幹はキリッと描写されている。
ここでも、トキナーレンズらしさが発揮された。
この二枚のレタッチであるが、トーンカーブでハイライト部分を持ち上げ、中間調からシャドウ部分を下げる「つ」の字形に調整を施し完成とした。

 
作例12
作例12
原寸実写画像

夕陽を撮る
Nikon D300 ISO200 F14 1/500 WBオート 400mm

強い点光源を入れての撮影は、カメラのレンズにとっては厳しい条件である。
AT-X840で海に沈んでゆく夕陽を撮影した。
こうした強い点光源が画角の中にある場合、ゴーストの発生が非常に気になるところだ。
特にデジタル一眼レフカメラでの撮影では、より一層気になるところである。
しかし、AT-X840はゴーストの発生は見られず、またフレアーも程よく抑えられている。

この一枚のレタッチであるが、この一枚は殆ど補正する必要は無かったが、画面全体のバランスを考え、トーンカーブで若干シャドウ部分を持ち上げ完成とした。

 
作例13
作例13
原寸実写画像

レンズの圧縮効果を使う
Nikon D300 ISO320 F11 1/1000 WB曇天 220mm

望遠レンズの圧縮効果を使い夕陽を手前に引っ張り込む。
こうした画作りも望遠レンズならではの使い方だ。
また、デジタル一眼レフはフィルムの持つラティチュード(フィルムにおける明るいところから暗いところまでの幅の名称)より、ダイナミックレンジ(デジタル一眼レフにおける明るいところから暗いところまでの幅の名称)が狭いため、逆光の条件下では黒つぶれしやすいのであるが、キチンと情報が残っていたため、後の現像処理時に見た目に近い状態にまで戻すことが出来た。

この一枚のレタッチであるが、解説でも触れているように、現像処理時黒くつぶれかけていたシャドウ部分をトーンカーブで持ち上げ、見た目に近い状態に補正している。
一見黒つぶれしているように見えていても、レンズの性能が高ければキチンと情報が残っているため、見た目に近い状態にまで補正することが出来る。
また、トキナーレンズ全般に言えることだが、一見「白とび黒つぶれ」に見える部分でも、シャドウ部やハイライト部の情報をキチンと残すレンズを作っている印象がある。
昨今、撮像素子の実力も上がっているため、APS-Cデジタル一眼レフ黎明期に比べれば格段にダイナミックレンジも広くなり、そのせいもあって白飛び黒つぶれは徐々にではあるが少なくなってきている。
しかし、撮像素子の性能向上だけでは補いきれない部分もあり、またレンズがどれだけ質の良い情報を撮像素子に送り込めるかが重要な点となる。
デジタル一眼レフでの現像処理においては、撮影時に入っている情報が全てで、そこに情報が入ってなければ何も出来ないのである。
そういった意味でも、このAT-X840を含めトキナーレンズ全般、非常に質の良い情報を撮像素子まで送り込んでくれると言えよう。

 
作例14
作例14
原寸実写画像

光芒を撮る
Nikon D300 ISO200 F11 1/320 WBオート 80mm

大きな雲が切れ始め光芒が差す。
遥か向こうには知床半島を望み、空が明るさを取り戻してゆくという北海道ならではのシチュエーションだ。
こうした明暗がはっきりしたシチュエーションでのグラデーション再現や、グレーの雲から差し込む光芒の再現はレンズの実力が試される。
先ほどの解説でも書いたことなのだが、光の情報を綺麗な形で撮像素子まで送ることが出来なければ、その再現は難しいのである。
また、画面手前、海にほんのり写る陽のグラデーション再現やテトラポットの解像も良好である。

この一枚のレタッチであるが、この一枚は、撮る時に浮かんだイメージを大切にし、僕のイメージの再現を行うための現像処理を行った。
まず、トーンカーブでハイライト部分を持ち上げ、その後シャドウ部分を撮影時と同じ状態にもどした。
次に、トーンカーブの左端のシャドウ部分の階調を0から5まで狭め、次にトーンカーブ右端のハイライト部分の階調を256から248まで狭め、わざと階調を狭くし明暗をはっきりさせる。
次に、トーンカーブと階調の操作によって高くなってしまった彩度を落とし、不自然な発色を補正する。
その後、新ためてトーンカーブで中間調とシャドウ部分を若干下げ完成とした。

 
作例15
作例15
原寸実写画像

AT-X840を使ってイメージを再現する
Nikon D300 ISO320 F6.3 1/1000 WBオート 400mm

ドドーンという音と共に荒々しく舞い上がる波飛沫。
この光景を見たとき頭にイメージが浮かぶ。
慌ててAT-X840をカメラにセットし、鳥が横切るのを待ちシャッターを切る。
イメージを再現する、情報をキチンと残してくれるAT-X840だからこそ出来ることである。

この一枚のレタッチであるが、イメージの再現のためかなりの部分を補正している。
適正露出から-2/3段低く撮られたオリジナル画像のシャドウ部分をトーンカーブで下げ、左端の階調補正で0を6までシャドウ部分の階調を狭める。
次に、新たにトーンカーブのヒストリーを開き波の部分のみを持ち上げる。
次に、全体の色合いをイメージした藍色にするため、カラーバランスでシアンとアンバーのスライドバーを調整する。
その時に、波の色が白から崩れないことを確認しながら調整を進めてゆく。
さらに、もう一度新たにトーンカーブのヒストリーを開き、全体のコントラストとブルーのみのトーンカーブを調整する。
最後に、補正のために発生してしまったカラーノイズをノイズリダクションで調整し完成とした。

 
まとめ
AT-X840のもつ焦点域、80mm-400mm(35mm換算 120 mm-600 mm)という画角は、様々なシチュエーションに対応できる幅広い画角であることから、風景写真、動物写真、モータースポーツ、お子様の運動会の撮影などにも用いることが出来るレンズだ。 そして、軽量コンパクトでカメラバッグへの納まりのいい望遠レンズをお探しの方にもお勧めのレンズである。
 
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