萩原和幸
35mm判フィルム換算で19,2~38.4mm(キヤノンEOS/APS-Cサイズセンサー搭載機時)相当となる、開放値F4の2倍ズームであるAT-X 124 PRO DX2。
私の第一印象はとても使いやすい画角でスタート・フィニッシュしたレンズだ、ということだった。画角だけ取り上げればもっとワイド側を広げたレンズは存在するが、AT-X 124 PRO DX2はあえて12mmスタートにすることで、無理の無い光学設計を維持している。そのことは撮影してすぐに分かった。
ポートレートという性格柄、絞り値開放かもしくは開放近くでの撮影が多くなるが、AT-X 124 PRO DX2は12mm・F4開放からすばらしい描写を提供してくれた。
また12mmはファインダーを覗くと数字で思う以上にワイド感を得ることができる画角。テレ側は24mmで必要充分な焦点域をカバー。ダイナミックな広角撮影意図のポートレートはもちろん、スナップ撮影にもうってつけの1本だ。
Canon EOS7D 絞りF4開放 絞り優先AE(1/20秒) ISO200 WB:オート RAW ストロボ使用 12mm域
広角レンズの大きなパースペクティブを活かしながらの撮影。絞り開放でありながらピント位置であるモデルと同じ距離の箇所は見事なほどのシャープさを見せてくれている。手前の手すりや下の階へはなだらかにぼけて、ダイナミックな構図ながら不自然さを感じさせない。気持ちのいい広がりを見せてくれる作品になった。
昭和の時代をにおわせたアパートの廊下で、何か言いたげな彼女の表情がアンバランスでいい。絞り開放にしてこれだけクールな描写が得られると、直線をモチーフとしたこの作品にはピタリとハマる。ポートレートで嫌うパリパリとしたシャープではなく、むしろスッキリと受け止めやすいシャープさが嬉しい。
Canon EOS7D 絞りF4開放 絞り優先AE(1/20秒) ISO200 WB:オート RAW 12mm域
Canon EOS7D 絞りF4開放 絞り優先AE(1/5秒) ISO200 WB:オート RAW 12mm域
彼女を自然な距離から狙ってみる。12mmの広がり感が不思議とナチュラルに溶け込み、全く違和感はない。絞りはF4開放、複雑にハイライト部やシャドウ部が混ざり合う環境だが、和室のしっとりさはそのまま表現できた。絞り込むとシャープさが際立つこのレンズだが、開放時のボケ具合も積極的に楽しみたくなる。
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