萩原和幸

トキナーレンズでポートレート


FIRIN 100mm F2.8FE MACRO

FIRIN 100mm F2.8FE MACRO

 定評ある『AT-X M100mm PRO D』の光学設計を踏襲しつつ、ソニーEマウントへと昇華させたのが、この『FIRIN 100mm F2.8 FE MACRO』だ。
FIRIN AFシリーズ共通の、フォーカシングリング以外の操作系は全く排除された、シンプルで美しいスタイル。ソニーα9・α7系のボディに装着すると、とても上品だ。

 先に述べた通り、高い描写性能と美しいボケで定評のある『AT-X M100mm PRO D』の光学設計を踏襲していることから、この『FIRIN 100mm F2.8 FE MACRO』も、それらをしっかりと受け継いでいる。私がこのレンズに求めるポートレート撮影においての、シャープ感はそこそこにし、柔らかな味を感じる絞り開放時の描写とボケの美しさは、このレンズにはしっかり感じられる。マクロレンズだから寄りに特化し、引きの描写やボケは目をつぶる…という妥協はしたくない。マクロレンズの"寄り"はもちろん、このレンズ100mmの中望遠レンズとしてのポテンシャルはポートレート撮影に持ち込めるか、については、先述のポイントである絞り開放時の描写・ボケの美しさ・引きの画での描写の各ポイントにおいてどれも満足できるものだ。

 マクロレンズは、複写を目的としている成り立ちから、シャープさが際立つものが多い。それはそれでキレを感じることができるのだから、ジャンルによっては大いに撮影で役立つことは確かだ。一方、ポートレート撮影においては、程よいシャープさが重宝される。この『FIRIN 100mm F2.8 FE MACRO』は、ポートレート撮影にうってつけの、良い塩梅のシャープさ。上手な匙加減で、まさにポートレート撮影で使ってみてくださいよ!と訴えているかのよう。
無理に引き上げたような不自然さは無く、きれいなボケの中で自然と浮かび上がるピント面を味わえる。

モデルとの接近戦に強いマクロレンズだから寄りの画が多くなる。だからこそ作画には引きの画を混ぜて表現にメリハリを利かせる必要があるが、この『FIRIN 100mm F2.8 FE MACRO』は、寄って良し、引いて良しの描写なので、自分の脚を惜しみなく動かして、モデルとの距離感を変化を楽しんでもらえる。
歪みが全く無いこの『FIRIN 100mm F2.8 FE MACRO』で、まっすぐモデルと対峙する撮影…高い満足感を与えてくれるレンズだ。


 

モデル:好美"conomi" ツイッター » | インスタグラム »
ヘアメイク:町田恭子

 

Index

 

作例01

About

100mm中望遠レンズとしての使用感はとても良い。前ボケはとても綺麗。
描写はマクロレンズらしい繊細さがあり、とても女性的なしなやかさが感じられる。


Sony α7RⅢ F2.8 1/1000秒 ISO100


 

作例02

使用カメラ:Sony α7RⅢ F2.8 1/400秒 ISO100


About

モデルと背景がさほど離れていない場面でも、自然とモデルが浮かび上がってくるのは、ボケが綺麗で滑らかだから。

 

作例03

使用カメラ:Sony α7RⅢ F2.8 1/500秒 ISO100


About

モデルとの距離を詰めることに躊躇しなくて良いのがマクロレンズの嬉しいところ。自分の足で自分の歩幅で、丁寧に"間"を楽しむ。

 

作例04

使用カメラ:Sony α7RⅢ F2.8 1/320秒 ISO100


About

撮影距離が近いほど、高い描写性能を発揮してくれる。 カリカリ感は全くなく、ピントの合った瞳に自然と吸い寄せられる。風に揺れる髪と柔らかな描写がマッチする。

 

作例05

使用カメラ:Sony α7RⅢ F2.8 1/200秒 ISO100


About

マクロレンズ使用時は、とかく寄りのカットばかりになりやすいが、遠景でも素晴らしい描写の画を提供してくれるこのレンズでは、こうした引きの画も積極的に撮りたくなる。

 

作例06

About

アップのカットは、このレンズの見せ所のひとつ。
瞳の面にピントをあわせる。ここはマニュアルフォーカスで丁寧に合わせている。フォーカシングリングのトルクは良好で、微調整もしやすい。極浅の被写界深度ではモデルと呼吸を合わせてシャッターを切る。こうした一連の行為も楽しみのひとつ。


Sony α7RⅢ F2.8 1/125秒 ISO250


 

作例07

About

しっとりさを損なうことなく描写してくれる。
開放ばかりではなく、絞ることで見えてくる緻密さもいい感じだ。
シャープすぎないので、本当に使いやすい。


Sony α7RⅢ F5.0 1/50秒 ISO100


 

作例08

使用カメラ:Sony α7RⅢ F2.8 1/125秒 ISO1250


About

タングステンライト独特の、回り込むようなやわらかい光質のもとで、まっすぐな表情を捉らえる。瞳や上唇の質感は、まるで生身。こういう描写を見せられると惚れ惚れしてしまう。

 

作例09

About

背景の彫刻とともに。どちらにもピントが欲しい場面なので、F7.1まで絞り撮影。絶妙なサイド光もあり、モデル・背景ともに素晴らしい立体感を再現してくれた。
ちなみに私はほとんどの場面でブレを考慮し1/125秒以上でポートレートを撮影をしている。ISO感度が高いのはそのためだ。


Sony α7RⅢ F7.1 1/125秒 ISO2500


作例10

About

窓からの柔らかい光、アンダー目のテイストをねらう。
このレンズはとても艶っぽい写りをする。湿気を含んだような描写はまさにポートレート向き。匂い立つようで私は好みだ。


Sony α7RⅢ F2.8 1/320秒 ISO100


作例11

About

全身カット時のボケを見る。モデルが立つ位置はキリッとピントが起き、離れるごとに滑らかにボケが増していくのが分かる。今まさにここに自分と彼女とでいるかのような錯覚…ナチュラルなボケ味と程よいシャープさの合わせ技だ。


Sony α7RⅢ F2.8 1/400秒 ISO100


作例12

使用カメラ:Sony α7RⅢ F2.8 1/400秒 ISO100


About

アップを撮りたければ寄ればいい…当たり前のことを当たり前に。当たり前に存在する距離感を写し込む。湿気を含む空気とともに。

作例13

About

モノクロでも撮ってみたかった。
このレンズの描写は、やはりモノクロでもしっくりした。文句なしだ。


Sony α7RⅢ F2.8 1/125秒 ISO1600


 
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