ケンコーフィルター作例|ワンランク上の写真を撮るフィルターの使い方 -金子 美智子
金子美智子(かねこみちこ)
宮城県仙台市生まれ
(社)日本写真家協会(JPS)会員 / 日本写真芸術学会(JSAHP) 会員
1987年奥日光で 1枚の写真に出会い、故 秋山庄太郎氏に師事。その後 写真事務所設立 フリーのカメラマンとなる。
現在、全国各地を車中泊しながら 自然の色彩の美しさに魅せられ、独自の世界を伝え 心を癒す四季折々の風景写真を撮り続けている。自然風景を中心に カレンダー・書籍・雑誌などで掲載。
PLフィルターは写真撮影の上で、一番活用頻度の高いフィルターです。 PLフィルターは偏光フィルターとも呼ばれ、不要な光の反射を除去することが出来ます。
PLフィルターは、レンズの前にフィルターを装着しカメラのファインダーをのぞきながら、フィルターの二重になった枠のうち、前側の枠を少しずつ回転させて使います。反射が消え、被写体本来の色が見えてきます。特に、水面やガラスなどの反射の除去の効果は高く、青空の色を濃くし、葉などの反射を除去し、色彩のコントラストを高めることが出来ます。
PLフィルターの反射の除去は、どの程度反射を残すか、または反射を除去するかは撮影時の表現によって変わってきます。あまりPLフィルターの効果が強いと、爽やかな青空が濃い青になってしまったり、新緑のみずみずしさが無くなってしまったりとなることがありますので フィルター枠をまわしながら効果を確認してください。
PLフィルターの従来のものは、使用する際、色の濁りが感じられたことがありましたが、最新の最高グレードの「ZX〈ゼクロス〉」は、究極の解像力と忠実な色再現を実現したPLフィルターです。
PLフィルターを使用時には、PLフィルターを装着したことによって光量が少なくなります。そのため、PLフィルターを取り付ける前に比べてシャッタースピードが遅くなり、ブレに注意が必要。三脚を使うなどのブレ対策を考えましょう。
PLフイルターの効果を使って被写体本来の色を表現する
①写真AはPLフィルターを使用せずに撮影したもので 青空なのに全体的に白っぽくなり色あせた発色に見えます。空や桜の花の表面が反射して写るためで、本来の色は見えません。
【写真A】PL無し
②写真BはPLフィルターを使用し完全に反射を除去し撮影したものです。被写体本来の鮮やかな色を、鮮明に写すことができ桜が青空に浮き上がりました。PLフィルターを使用した場合 シャッタースピードが①より遅くなります。
【写真B】PLフイルター使用
③写真CはPLフィルターを使用せずに撮影したもので 全体的に白っぽくなり色あせた発色に見えます。葉の表面が反射して写るためで、本来の紅葉の葉の色は見えません。
【写真C】PLフイルター未使用
④写真DはPLフィルターを使用し完全に反射を除去し撮影したものです。被写体本来の紅葉の鮮やかな色を、印象通り鮮明に写すことが出来ます。PLフィルターを使用した場合 シャッタースピードが③より遅くなります。
【写真D】PLフイルター使用
⑤写真Eは④の写真Dの構図の橋梁にSLが通過したものです。③の写真Cではバックの紅葉が色あせて見えるため、PLフィルターを使用しました。シャッタースピードは遅くなりますが、美しい紅葉をバックに橋梁を走るSLが表現できました。
【写真E】PLフイルター使用