トキナーレンズでポートレート - 萩原和幸


AT-X 11-20 F2.8 PRO DX 新製品

AT-X 11-20 F2.8 PRO DXトキナーのAPS-Cセンサー機用広角ズームで、特に評価の高いAT-X 116 PRO DX Ⅱのテレ側が20mmに伸ばされたこのレンズ。35ミリ換算で約17.6~32ミリ(キヤノンAPS-Cセンサー機)となり、広角ズームレンズとして使いやすさがさらに向上した。にもかかわらず、開放値はAT-X 116 PRO DX Ⅱ同様F2.8のままは嬉しい限りだ。

レンズ構成はやや変わり、前群にP-MO非球面レンズを配置、後群にはガラスモールド非球面レンズと3枚ものSDガラスを採用することで、ディストーション・各収差を補正する贅沢設計になった。高画素というだけでなく、明らかに高画質化している昨今のデジタルカメラに、真摯に対応している姿勢が見てとれる。

開放値F2.8は、開放近くで背景をボカす機会が多いポートレート派には嬉しいスペックだ。特にテレ側が伸びたことで、ポートレートでの使いやすさは格段に向上したと言える。これまでのAT-X 116 PRO DX Ⅱではテレ側が28ミリにも満たないので、持ち出すシーンがかなり限定されていたし、超広角という性格上、AT-X 116 PRO DX Ⅱでの極端に変化をつけた画の撮影は難しかったことだろう。しかし、約32ミリになったことで、パースを生かした“広角らしい”画作りから、“自然な距離感”の画作りまでを賄えるようになった。しかもズーム全域開放値F2.8の強みもあり、背景をボカしたいシーンや、光が乏しいシーンでも、躊躇無く持ち出せる。この点は、ポートレート派には重要なスペックとなる部分なので、両手を上げての受け入れ態勢のユーザーが多いに違いない。

最短撮影距離も0.3mから0.28mに短縮。テレ側+4mに0.02m短縮は、数値上はこんなものかと思われるかもしれないが、使うとなるとこのちょっとが“大きな”ちょっとであることを実感するだろう。

ポートレートではモデルが魅力的に写せるか、という感覚が大事になるので、周辺画質云々は、他の写真家諸氏にお任せする。私の素直な感覚は、“いい感じ”のレンズだ。


 

Index

 

作例01

About

窓から差し込む光、織りなす影、大きく取り込めるのが広角レンズの魅力の一つ。
手足が長く、とてもバランスのいい彼女を、雰囲気と合わせて十二分に取り込んでいく。広角ズームでピタリとハマる画角を探るのも面白みの一つだ。直線と(彼女の)曲線の対比がイメージにあり、ややシャープさを出す為に、絞りは少し絞ってみた。


キヤノンEOS70D 絞りF4.5 1/125秒 ISO200 WB:マニュアル RAW 16mm域


 

作例02

About

カーテンにたわむれ、いたずらにこちらを振り返る。
11-20 PRO DXの描写は繊細で柔らかい。カーテンの(繊維の)目も、この逆光の中、開放F2.8でもキチンと描写されている。でもパリッとした印象にならない。
肌の感じもしっとりした湿気を含んだような感じになり、ポートレート派には嬉しい写りであることは疑わない。


キヤノンEOS70D 絞りF2.8 1/320秒 ISO200 WB:マニュアル RAW 20mm域


 

作例03

About

開放F2.8で撮影。
ピント面はシャープな写りではあるがカリカリした感じは無く、ポートレートには向いている。
ボケにクセは感じられず滑らか。
状況説明を兼ねた背景の演出には、広角でのポートレートは無理が生じない。モデルの“浮き上がり”感を邪魔しない程度のボケにすることがポイントだ。


キヤノンEOS70D 絞りF2.8 1/100秒 ISO200 WB:マニュアル RAW 20mm域


 

作例04

About

背景を大きく傾け、さらに広角の歪曲性を生かした構図で奥行きを極端に作り出した。やや絞ることで、モデルにはシャープ感を与え、大きくボケて明るい背景と対比させることで、モデルの存在感を演出している。


キヤノンEOS70D 絞りF3.5 1/50秒 ISO250 WB:マニュアル RAW 17mm域


 

作例05

About

窓からやさしく入る光を、照らされている壁とともに、大きく取り込む。
同時に感じる静けさを、レンズを通して表現。
モノトーンに近い背景の中、鮮やかなブルーの衣装が映える。
でもその静寂さは揺るぐこと無く、見るものを引きつける。


キヤノンEOS70D 絞りF2.8 1/250秒 ISO400 WB:マニュアル RAW 20mm域


 

作例06

About

ストロボ1灯、メリハリを効かせたライティングでオトナの女性を演出。
11-20PRO DXなら、背景を大きく取り込めみながらの構図決定が出来る。
彼女がソファに寝そべる姿の変化を見ながら、都度ズームリングを動かして調整。気持ちよく収まると、感動すら覚える。


キヤノンEOS70D 絞りF7.1 1/100秒 ISO100 WB:マニュアル RAW 16mm域 ストロボ使用


 

作例07

About

彼女にちょっと近づいてみる。
広角レンズでの寄りのカットは、思い切りが重要。それでないと、被写体との距離感が縮まらない。ちょっと挑発したかのようなまなざし、でも少しじらすような雰囲気が、広角レンズでの撮影で表現できる。
ここでの絞りはF4.5。
シャープさが一気に冴えてきた。シャドウの効いた、こうしたライティングの時は、このくらいの絞りがピタリとハマる。


キヤノンEOS70D 絞りF4.5 1/200秒 ISO100 WB:マニュアル RAW 13mm域 ストロボ使用


 

作例08

About

彼女が部屋の中を自由に走り回る。僕はそれを追いかけながらシャッターを切る。フワッと広げたスカート、動きも出したくて、低速シャッターになることを承知のまま、この設定で続ける。
広がりを余すこと無く構図内に収められるので、動きのあるポートレートは広角レンズのほうが、僕は好きだ。


キヤノンEOS70D 絞りF2.8 1/25秒 ISO100 WB:マニュアル RAW 17mm域


 

作例09

About

ちょっとお茶目な一面。
スカートの短さを気にすること無く。ドキッとしてしまうのはむしろこちら。でも照れを見透かしたかのように、大きな笑顔でこちらを振り向いた。
11-20 PRO DXはこうして動きをおいかけながらの室内撮影では、もってこいの焦点距離だと実感する。


キヤノンEOS70D 絞りF2.8 1/160秒 ISO640 WB:マニュアル RAW 14mm域


 

作例10

About

座りながらいたずらに笑う彼女が眩しい。
アイポイントから見下ろすように構え、その座り姿を、ソファとその様子とともに切り取ってみる。白い肌に赤の衣装がポイントになっている。ワイド側11ミリで。この距離で無理なくあぐら座りの姿を構図内に収められるのが、広角レンズでポートレートを撮る面白みの一つだ。


キヤノンEOS70D 絞りF2.8 1/160秒 ISO640 WB:マニュアル RAW 11mm域


 

作例11

About

翳りのあるライティングのなか、白い衣装の彼女がフワッと浮かび上がる。退廃的なイメージ、でも清楚さを感じさせながら、アンバランスさを表現。
F2.8のボケはとても自然に、見るものをこの場に引き込む錯覚を与えてくれたに違いない。


キヤノンEOS70D 絞りF2.8 1/100秒 ISO400 WB:マニュアル RAW 20mm域


 

作例12

About

テレ側20ミリで撮影。35ミリ換算だと約32ミリほどになるが、これならここまで自然な距離感を演出したポートレート撮影が可能になる。
従来の16ミリでは物足りなかったところを、見事補ってくれた。瞳に写り込んだ窓外の景色にシャープさを感じるが、固さは全くない。肌の質感も申し分無く、開放F2.8から安心してポートレートでは撮影できる。


キヤノンEOS70D 絞りF2.8 1/500秒 ISO400 WB:マニュアル RAW 20mm域


 

作例13

About

印象的な扉の前で。ちょっとすねたような表情に可愛らしいポーズがキュートだったので、全身カットで撮影してみた。
やや低めのアングルから、スマートにおさまるように構図を決めてみた。


キヤノンEOS70D 絞りF2.8 1/125秒 ISO400 WB:マニュアル RAW 14mm域


 

作例14

About

この日の終わりは横浜で。日没直後の、だんだんと夜の空の色が迫る街並を背景に、切なく空を見上げる彼女を黙って撮影。F2.8の大口径は本当に心強い。
やや感度は高くなったが、手持ちでさりげなく。多分彼女の気がついていない間のシャッターだ。


キヤノンEOS70D 絞りF2.8 1/50秒 ISO400 WB:マニュアル RAW 12mm域


 

作例15

About

もうすぐ夜がやってくる、そんなトライライトタイムで。11-20PRO DXなら、自然な距離感から、背景を大胆に取り込んだカットへすぐに移行できる。
電灯を背に、切なさを見せた彼女をあえてシルエットにした。でも夜はこれから。次の顔が楽しみになった。


キヤノンEOS70D 絞りF5.0 1/6秒 ISO400 WB:マニュアル RAW 13mm域 一脚使用


 
モデル:黒柳友里(シェリーズ・エンタテインメント)
ヘアメイク:渡嘉敷愛子
スタジオ協力:スタジオEASE(http://iziz.co.jp/
 
AT-X 11-20 F2.8 PRO DX の製品情報はこちら »
 
このページのトップへ戻る

[著作権および画像利用についてのご注意]

本スペシャルページで提供している「実写生データ」の著作権は、撮影者である 萩原和幸氏に、使用権は 株式会社ケンコー・トキナー に帰属しています。著作権所有者および 株式会社ケンコー・トキナー への事前の承諾を得ること無しに、その全てまたは一部を、いかな る形式、いかなる手段によっても、複製・改変・再配布・再出版・表示・掲示または転送することは禁じられています。

本スペシャルページの「実写生データ」は、お客様のコンピュータースクリーン、もしくはお客様ご自身のプリンターまたは プリント手段等による、私的な画像確認での利用に限ってのみ、ご利用いただけます。