萩原和幸

トキナーレンズでポートレート


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opera 50mm F1.4 FF

Reflex 300mm F6.3 MF MACRO  50mmレンズは、フィルム時代を含め、各メーカーがしのぎを削ってきた歴史があり、各メーカーとも威信をかけて世に送り出してきた。それだけに、市場には選択肢がたくさんあり、それはそれで嬉しいことではあるが、同時に迷うことも確かだ。現在のデジタルカメラは高画素化が進み、レンズもそれなりのハイクオリティな画像を吐き出すことが求められている。そのニーズを真っ向から受け止めるべく送り出されたのが、このopera 50mmF1.4FFだ。

 レンズそのものは決して小さいわけではない。しかしカメラに装着した時の心地よいバランスからして、撮り手に撮影意欲を大いに沸かせる"撮影道具"としての強い意欲を感じてしまう。それは重量950gという数字からはうかがえない、カメラに装着して構えてから初めて感じるバランスの良さだ。またシンプルなデザイン、指に触れた時のピントリングの感触は実に絶妙。節々に作りとしてのクオリティの高さが伺える。

 ボケについては秀逸だ。 ボケそのものはとても滑らか。このレンズのボケは、単なる"ボケ"ではない。開放や開放近くで撮影した画の、大きくボケた背景の中にも、そこにあるべき空気が写し込まれる。背景はボケることで軽くなってしまうのではなく、空気の密度が感じられ、ボケそのものがとても濃厚。と同時に、この密度のあるボケは、写真に奥行きを感じさせてくれ、とてもグラデーションの効いたボケなのだ。またキレはあるものの際立つほどではなく、それが自然な立体感を作り出し、見るものを虜にさせる。"浮き上がってくるよう"がピタリとはまる描写だ。

ポートレート撮影では、絞りを開放から開放近くに開けて撮影することが多い。それだけに、時に気にしているのは、絞り開放から応えてくれるシャープさと美しいボケを併せ持つ、高い描写力の有無だ。このレンズはその要望に完璧に答えてくれていると言っても過言ではない。作例で追ってお話をするが、シャドウのグラデーションも含め、艶やかな描写はまさにポートレートを撮影するために、このレンズは誕生したのではないか…、と思ってしまう。

 このレンズはまさにポートレート撮影を欲している、そんなレンズだ。

 

モデル:いのうえのぞみ ツイッター » | インスタグラム »
着付け:奥泉智恵
ヘアメイク(和装):本名和美(RHYTHM)

 

Index

 

作例01

About

こちらを見つめる瞳を印象的に。
ピントが合った瞳と唇が立体的に浮かび上がる。


Canon EOS 5D MarkⅣ F1.8 1/800秒 ISO200 WB:マニュアル


 

作例02

About

作例01からやや引いたカット。開放からほんの少し絞っての背景のボケだが、ボケそのものにも立体的な表情がうかがえ、モデルを浮かび上がらせる。


Canon EOS 5D MarkⅣ F1.8 1/1000秒 ISO200 WB:マニュアル


作例03

使用カメラ:Canon EOS 5DS F1.4 1/320秒 ISO200 WB:マニュアル


About

シャドウの中に、湿気を感じるこの描写はポートレートにはたまらない。 シャドウの描写を特に気にしている私にとって、理想的な描写だ。

 

作例04

About

絞り開放での撮影だが、シャープ過ぎないピント面はキレを重んじ、無理にピント面を持ち上げていないので、その分、生々しさが引き出される。


Canon EOS 5D MarkⅣ F1.4 1/100秒 ISO400 WB:マニュアル


 

作例05

About

タングステン光の柔らかく、まとわりつくような光質で、どこか朧げ。見せたいところは浮かび上がるこのレンズとのマッチングはとてもいい。


Canon EOS 5D MarkⅣ F1.4 1/125秒 ISO400 WB:マニュアル


 

作例06

About

このレンズの描写を見て、すぐに着物が似合う!と直感した。 被写体を無理に誇張することなく浮かび上がらせることで、上品な写りを絞り開放から与えてくれるからだ。


Canon EOS 5D MarkⅣ F1.6 1/3200秒 ISO200 WB:マニュアル


 

作例07

About

着物の柄のきめ細やかさを、立体的に見事に再現してくれている。これでF1.6の描写とは恐れ入る。


Canon EOS 5D MarkⅣ F1.6 1/3200秒 ISO200 WB:マニュアル


作例08

使用カメラ:Canon EOS 5D MarkⅣ F2.5 1/125秒 ISO200 WB:マニュアル


About

このレンズは、これまでご覧の通り、絞り開放から素晴らしい描写を提供してくれるが、僕が使った感想では、F2あたりの描写が好み。着物を見ていただければわかる通り、質感の再現と立体感はものすごい。もちろん背景のボケとの兼ね合いもあるが、ただただ感心してしまった。

 

作例09

About

肌の質感、特に肌の温かみまで感じられそうな、生身の肌感が写し込まれている。バストアップでF1.6ともなれば、もう少しボケが大きく暴れそうなものだが、このレンズのボケは厚くまとまっているので、とても自然にボケが受け入れられる。


Canon EOS 5D MarkⅣ F1.6 1/250秒 ISO200 WB:マニュアル


 

作例10

About

ややアンダー目に振っての撮影。どことなく品の高さが感じられる写りが目を引く。背景のボケは実にウェッティで、艶がある。
このレンズの大きな特徴であるボケをたっぷりと味わってほしい。


Canon EOS 5D MarkⅣ F1.6 1/800秒 ISO200 WB:マニュアル


 
まとめ

開放近くでもその解像感は確かなものだ。ピント面はシャープでありながらカリカリとした硬さはなく、とても繊細。でもしっかりとピント面が際立ち、まさに浮かび上がってくるかのような美しさがある。厚みのある空気感漂う大きなボケの中で、ピントがあった人物が浮かび上がってくる様は、本当に素晴らしいの一言だ。

僕はシャープ感が際立ってしまうのは好みではない。もちろん、被写界深度が薄い絞り開放近くで、ピント面を際立たせるためにはシャープさは必要なこと。しかし際立ってしまうとボケは大きい分、線の太い描写のポートレートに仕上がる。カメラの高画素化が進む中、その高画素を使い切るだけの繊細さを求めたい。"シャープだけど繊細"そして開放F1.4持つ柔らかみ…実に難しいことなのかもしれないが、このレンズは、その要求に、見事に応えてくれる。

 
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