超コンパクト望遠MFレンズ「Tokina SZ PRO シリーズ」使い方マニュアル vol.1 ~カメラ設定・操作編~

超コンパクト望遠MFレンズ「Tokina SZ PRO シリーズ」使い方マニュアル vol.1 ~カメラ設定・操作編~

この度はSZ PROシリーズレンズをお買い上げいただき、ありがとうございます。驚くほど軽量コンパクトなSZ PROシリーズレンズで圧倒的な超望遠撮影をお楽しみいただくためには、最初に使用するカメラのセットアップが必要不可欠です。

こちらでは、初めてミラーレンズをお使いになる際に行っていただくカメラのメニュー設定や、SZ PROシリーズレンズの基本的な操作方法を解説いたします。

※基本的にFUJIFILMのX-Tシリーズカメラに準じた解説をしています。
操作方法、メニュー画面、各部名称などがCanon EOSやSony αと異なりますが、基本的な流れはほぼ同じです。

※機種によっては該当するメニューが無い場合もあります。詳細は使用するカメラ機種ごとの使用説明書をご参照ください。

使用するカメラの準備

1. レンズなしレリーズをON(許可/する)に設定

SZ PROレンズには、カメラ本体と情報伝達するための接点がありません。
レンズを装着していてもカメラ側はそれを認識しないため、レンズ非装着時のシャッターレリーズを禁止する機能が働き、シャッターボタンを押しても撮影できません。

カメラの「セットアップメニュー」→「操作ボタン・ダイヤル設定」→「レンズなしレリーズ」の項目を「ON」に設定することで。撮影が可能になります。

FUJIFILM X-T4 設定画面
Sony α 設定画面 (許可を選択)
Canon EOS Kiss M 設定画面 (するを選択)

※このメニュー項目は初回に一度だけ設定します。レンズの使用毎に設定操作をする必要はありません。また、純正を含む他のレンズ使用時も「ON」の設定のままで使用できます。
カメラの設定をリセットするなどしてレンズなしレリーズの項目が「OFF」に戻ってしまった場合は、再度「ON」に設定し直します。

2. 手ブレ補正モードの確認と設定

SZ PROシリーズレンズ使用時も、カメラ内手ブレ補正機構が利用できます。
メニューから「ブレ防止モード」の項目を呼び出し、「常時」に設定されていることを確認します。「撮影時」は、EVFや背面液晶のライブビュー表示は補正せず撮影時のみ補正が機能します。特に理由がなければ「常時」を選択しておきましょう。

FUJIFILM X-T4 メニュー画面
FUJIFILM X-T4 ブレ防止モード画面

三脚使用時はカメラが三脚使用を検出して補正を自動停止しますので、「常時」の設定を変更することなくそのまま撮影できます。ただし三脚によっては、まれに誤作動を起こすこともありますので、撮影結果を確認し、必要であれば手ブレ補正「OFF」も試すとよいでしょう。

3. マウントアダプター設定画面で使用するSZ PROレンズの焦点距離を登録

【(例) FUJIFILM X-T4 設定方法】

マウントアダプター設定画面に入ります。

マウントアダプター設定画面

マウントアダプター設定にレンズの焦点距離を登録し、レンズ装着時にセットすることで、カメラ側がその焦点距離を加味した手ブレ補正を行います(手振れ補正効果はレンズや撮影条件等により異なります)。
レンズ名編集機能で、25文字までアルファベットや数字の文字列も登録できます。

また、この設定をしておくことで画像ファイルのExifデータにレンズ焦点距離情報を記録できるので、画像ファイルの管理に役立ちます。異なる焦点距離のSZ PROレンズを所有しているユーザーはレンズごとに設定が必要です。

※設定を変更しないまま撮影すると、Exif データに使用レンズと異なる焦点距離が記録されますが、撮影自体は可能です。登録済みのレンズに交換する際は、設定の切り替えをしてください。

※Sony αカメラはメニューの「手ブレ補正調整」を「マニュアル」に設定することで、使用レンズの焦点距離を設定可能です。

Sony α 設定「手ブレ補正調整」
Sony α 設定「焦点距離」
Sony α 設定「手ブレ補正」画面

4. カメラにレンズを装着

まず、フードをレンズ先端に装着します。
付属の金属フードは、強い光がレンズに直接当たると発生して画質を低下させる、フレアやゴーストを防止するのに効果的で、レンズ面に不用意に触れてしまうことも防げます。日中だけでなく、イルミネーション等の撮影の際にも有効です。

フードをレンズ先端に装着

フィルターなどと同じ要領で、鏡筒先端部に回転させながらねじ込みます。
ねじ部分が真っ直ぐに入らないと、回転がわずかでも急にキツくなり止まってしまうこともあります。テーブルなど水平な場所にレンズを立てた状態にすると装着しやすいです。
不十分な装着状態は、撮影中にフードが脱落することもあります。フード部分だけを持ってカメラを持ち上げることは避けましょう。また、無理な力でねじ込むとフードが外せなくなるトラブルもありますので注意が必要です。落ち着いてしっかり装着してください。
レンズフード装着時はレンズフロントキャップが使用できません。キャップの紛失にご注意ください。また、収納時の逆付けはできませんのでご注意ください。

センサー部分やレンズ鏡筒内にホコリ等が混入することがありますので、ボディキャップやレンズリアキャップを外したまま放置することは避けましょう。
必要に応じてカメラメニューのセンサークリーニング機能の使用や、ブロアなどでホコリを飛ばすメンテナンスをしましょう。

次にカメラ側マウント部分とレンズ後部キャップを外し、それぞれの指標の位置を合わせてレンズを装着します。

カメラとレンズの指標の位置を合わせます

5. カメラの撮影モードをセット


SZ PROシリーズレンズは絞り機構を持たず、F値はそれぞれ固定です。オート露出モードで撮影する場合は「絞り優先AE」に設定します。撮影するシーンに合わせたシャッタースピードをカメラが自動で設定します。また、ISO感度の設定もオートにしておくことで露出決定はカメラ任せにできるので、撮影者は構図決定、ピント調整、シャッターチャンスに集中して撮影ができます。なお、この設定では露出補正機能も有効なので必要に応じて画像の明るさを調整可能です。

シャッターダイヤル

FUJIFILM X-T4の場合はシャッタースピードを「A」位置に合わせます。

ISO感度ダイヤルをA位置に合わせると撮影環境の明るさに合わせてISO感度をカメラが自動で設定します。

6. オートISO感度の設定

【(例) FUJIFILM X-T4 設定方法】

感度AUTO設定画面に入ります。

撮影設定画面

メニューの撮影設定画面から「感度AUTO設定」を開くと、「基準ISO感度」「上限ISO感度」「低速シャッター限界」の3項目を撮影スタイルや被写体などに応じて3パターンまで登録できるので、あらかじめ登録しておきましょう。
日中での手持ち前提の撮影や、三脚などを使う場合の設定を登録して使い分けるのが便利です。掲載の設定画面の各数値は一例です。

【(例) SONY α 設定方法】
ISO感度オート 設定画面
【(例) Canon EOS Kiss 設定方法】
ISO感度 オート 設定画面

実際に撮影してみましょう

1. ピント合わせ

SZ PROシリーズレンズは、ピント合わせを撮影者が行うマニュアルフォーカスレンズです。
電源を入れたカメラを被写体に向け、鏡筒のフォーカスリングを回転させながらEVFや背面液晶モニター表示を確認して被写体像が鮮明に見えるように調整しましょう。

カメラを構えた状態でフォーカスリングを左方向(反時計回転)に回転すると近くのものに、逆に右方向(時計回転)に回転する操作で遠くのものにピントを合わせられます。

SZ PROシリーズレンズはこのピント操作の回転角が大きなレンズなので、レンズの状態と被写体の距離によってはフォーカスリングを多く回転させなければならないこともあります。レンズ鏡筒には距離指標がプリントされていますので、ファインダーを覗かなくてもあらかじめおおよその撮影距離にピントを合わせておくことが可能です。マニュアルフォーカス操作には慣れが必要ですが、この方法を上手に利用することで素早いピント合わせが出来るようになります。

慣れないうちはフォーカスリング操作が重く感じ、回転操作に力が必要なためカメラを保持する手や身体が安定せずに被写体がフレームアウトしたり、構図が大きくずれたりしてしまうこともあります。三脚があれば利用しましょう。

ピントが合わずボケているファインダー像
ピントが合い鮮明に見えるファインダー像

マニュアルフォーカスでのピント合わせのコツは、ピントが合ったと思う位置を起点として、近距離側と遠距離側にピントリングを行ったり来たりするようにわずかにずらす回転操作の量を少しずつ狭めていき、像がもっともハッキリ見える位置を探ります。このような手法は「ピントを追い込む」と呼ばれるテクニックです。

カメラには、マニュアルフォーカスでのピント合わせをサポートしてくれるカメラ機能も搭載されています。ピントを合わせたい部分を拡大表示すれば、ピントの状態がわかりやすく確認できます。X-T4ではリアコマンドダイヤルを押し込むと、ファインダーから目を離すことなくスムーズに拡大表示に移行し、さらに拡大表示中にダイヤルの回転操作で拡大倍率を変更できます。

2. シャッターを切ります

ピント合わせが完了したら静かにシャッターを切ります。

手ブレ補正機構は有効ですが、特に焦点距離の長い超望遠レンズのため過信は禁物です。
撮影した画像をカメラのモニターやEVFで再生し、部分拡大再生表示を利用してピントや細部の確認をします。わずかなカメラブレや被写体ブレもピントが不鮮明に見える原因のひとつです。

カメラブレで撮り直す際には、そのままの設定ではなくISO感度を上げるなど、シャッタースピードが速くなるように調整するのも有効な手段です。
一般的に、手ブレを起こす限界速度は1/焦点距離と言われています(APS-Cセンサーカメラの場合は、この式にも35mm版換算の、×1.5倍の換算が必要)。つまり、300mmレンズの場合は1/450秒、600mmは1/1000秒、900mmは1/1350秒となりますが、実際にはカメラで設定できるシャッタ―速度はそれぞれ、1/500秒、1/1000秒、1/1600秒です。このシャッター速度とカメラの手ブレ補正機能の併用で、手ブレのリスクは大幅に軽減できるはずです。
また、三脚を使用する際でも、シャッターボタンを押し込む動作で僅かなブレや構図のズレを誘発する場合があります。カメラのセルフタイマー機能や、オプションアクセサリーのリモコンやケーブルレリーズ、またはモバイル端末専用アプリのリモート撮影機能を利用すると、カメラに触れずにシャッターを切ることができるのでカメラブレを防げます。

画像全体の明るさを調整する時は、通常の撮影同様に露出補正が可能です。

作例

Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm) 絞り優先AE(絞りF7.1・1/125秒)・ISO1250・WBオート
Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm) 絞り優先AE(絞りF7.1・1/180秒)・ISO800・WBオート
Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm) 絞り優先AE(絞りF7.1・1/2400秒)・ISO800・WBオート
Tokina SZ 600mmPRO Reflex F8 MF CF(35mm判換算900mm) 絞り優先AE(絞りF8・1/1600秒)・ISO800・WBオート
Tokina SZ 900mmPRO Reflex F11 MF CF(35mm判換算1350mm) 絞り優先AE(絞りF11・1/850秒)・ISO800・WBオート

 

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Photo & Text by 宇佐見 健