超コンパクト望遠MFレンズ「Tokina SZ PRO シリーズ」使い方マニュアル vol.3 ~街スナップで使ってみた!撮影応用編~

超コンパクト望遠MFレンズ「Tokina SZ PRO シリーズ」使い方マニュアル vol.3 ~街スナップで使ってみた!撮影応用編~

Tokina SZ PROシリーズレンズの使い方マニュアル第3弾。今回は、基本編、動物園編に続き「街中スナップ編」です!
超望遠ならではの圧縮効果や、ミラーレンズ特有のリング状のボケ味を、スナップ撮影でどのように楽しむことができるのか、今回も写真家 宇佐見健氏に解説いただきました。

 

はじめに

超望遠レンズの特長は遠くの被写体を大きく写せること、そして画面内の手前から奥まで被写体間の距離(奥行)を縮めたように見せる圧縮効果を得やすいことです。

標準レンズや広角レンズで撮影した画像からも、望遠レンズ相当の画角にトリミングをすることで同様に圧縮効果は得られます。しかしトリミングした画像と、超望遠レンズを使いフル画素で撮影された画像とでは、後者の画質が大差で勝ることは比較するまでもありません。

また、一般的な超望遠レンズは大きく重量級。野鳥やスポーツなど明確な撮影目的があって持ち出すレンズです。一方、小型軽量な鏡筒のミラーレンズTokina SZ PROシリーズなら、一日中携行しても軽快なフットワークで撮影を楽しめます。
光学系に鏡を使用するミラーレンズだけが得られるリング状のボケ味を活かした作画ができるのも、Tokina SZ PROシリーズレンズの大きな魅力です。

SZ PROシリーズ使いこなしのヒントと注意すべきポイント

ミラーレンズのTokina SZ PROシリーズで撮影を始める前に、必ず知っておいていただきたい取扱いのポイントと注意点があります。

1. ピント合わせ

  • Tokina SZ PROシリーズのレンズは手動でピントを合わせるマニュアルフォーカスレンズです。
  • 焦点距離が長く被写界深度が浅いため、慎重なピント調整が要求されます。
  • 絞り機構の無い構造のミラーレンズは、F値固定のため、絞りによる光量調節と被写界深度のコントロールは行えません。
  • シャープな画像を得るためには、ライブビューの拡大表示や*ピーキング表示などカメラのアシスト機能を利用して、しっかりとピントを合わせてからシャッターを切ることが大切です。
    ※ピーキングとは?▼

    被写体のコントラストが高まった部分に特定の色を表示することでピント状態判別の目安にできます。この表示色は被写体や環境に応じて見やすい色を数種類の中から設定できます。

    ピントの合った被写体の輪郭部分が黄色で表示されています。

    ピント位置が変わると黄色のピーキング表示される箇所も変わります。

    ピーキング表示はピント位置の拡大表示にも対応しています。

  • 遠景撮影時には撮影距離が大きく離れるため、レンズと被写体の間にある大気の状態(温度、湿度、チリなど様々な要素)によっては、ピントが合わず不鮮明な画像に写る場合があります。特に、直射日光が強く気温の高い夏季などは陽炎の影響が顕著に現れます。レンズやカメラの故障ではなく、その場で改善できる有効な対策はありません。
    鮮明な描写を求める遠景撮影の際は気象情報などをチェックし、気温や大気の状態など条件の良い日を選んで撮影しましょう。
  • SZ PROシリーズレンズは、鏡筒にプリントされた距離指標の∞(無限遠)マーク位置を越えた位置までフォーカスリングが回転します。これは鏡筒内の温度変化などで空気中の光の屈折率が変化し、ピントの位置が移動する現象の対策としてピントの調整量に余裕を持たせているためです。距離指標は目安のため実際の撮影距離と異なる場合もあります。

2. 三脚使用時もブレには注意

  • SZ PROシリーズレンズの画角は、300mmで5.4°、600mmで2.7°、900mmで1.7°と極端に狭くなります。特に600mmや900mmは、安定した構図の維持と確実なピント操作、ブレ防止の観点からも三脚の使用を推奨します。
  • 三脚や手ブレ補正機能を過信して、低いISO感度や遅いシャッター速度を多用することは、かえってブレを起こすリスクが高くなるので注意しましょう。
  • 超望遠レンズでは、三脚に装着した状態でもカメラのシャッターボタンを押し込む動作で構図のズレやカメラブレを招くことがあります。ケーブルレリーズや専用リモコンでカメラに直接触れずシャッターを切る方法を利用しましょう。
  • 三脚が使用できない状況では、壁や手すりで身体やカメラをできるだけ安定させ、シャッター速度が手ブレ限界速度(1/焦点距離)より高速になるようにISO感度を高感度に設定してブレを防ぎましょう。
  • モバイル端末専用アプリが各カメラメーカーから無償で提供されています。リモート撮影機能では、スマートフォンなど端末画面でライブビューの表示を確認しながらシャッターを切ることができ、撮影画像を即時に転送して確認も可能です。

3. 高い位置の太陽にはレンズを向けない、撮らない。

望遠レンズを装着したカメラを日中の太陽に向けることは、肉眼およびカメラのセンサー双方に重大なダメージを与えかねない危険な行為ですので絶対にやめてください。

*特にお子様などが誤ってカメラを太陽に向けることが無いように気をつけましょう。
*日食など明るい太陽を撮影したい場合は特殊な専用NDフィルターが必要です。

圧縮効果の効いた写真を撮るには

冒頭でも述べたように、圧縮効果とは画面内の遠近感(奥行)が縮まったように写ることです。このためには画面を構成する被写体には「遠」「近」両方の要素が必要で、元から被写体間の奥行きが少なければ感じる圧縮効果も弱くなります。 また、肉眼では広い視野角のため遠景は小さくしか見えていません。さらに両目で得た情報により脳内で距離感を補正するため圧縮効果をさほど感じないのです。

次の2枚の作例はどちらもSZ SZ 600mmPRO Reflex F8 MF CFで撮影しています。

公園の広場で撮影した鳥の群れ
絞り優先AE(絞りF7.1・1/800秒)・ISO800・WBオート
展望台から撮影した遠景
Tokina SZ 600mmPRO Reflex F8 MF CF(35mm判換算900mm) 絞り優先AE(絞りF8・1/400秒)・ISO320・WBオート

鳥の写真は50~60mほどの撮影距離。焦点距離が長いほど被写界深度が浅いという特性のほうが強く表れて、背景が大きくボケています。そして三羽の鳥が近距離でほぼ同じ大きさに写ったため、遠近感の「遠」の要素が弱く、圧縮効果は希薄です。
そもそも、鳥に近寄ることが可能なら、大口径の中望遠レンズでも撮ることができそうな写真です。

一方、展望台からの遠景写真は、撮影位置から一番手前のマンションまでが約1,3km先。画面奥の赤い看板まで約6kmの撮影距離を、600mmの超望遠レンズで切りとり奥行きをギュッと縮めたように感じさせます。いかにも望遠レンズで撮られた雰囲気が満点です。
少々極端な比較例ではありますが、このように同じ600mmレンズでも撮影対象や撮影距離の違いで得られる効果は全く異なります。

SZ PRO使用イメージ

SZ PROシリーズレンズで圧縮感を得る撮影をするには、ファインダーで覗き、すでに圧縮状態にある遠景部分をトリミングするように大胆にフレーミングして切りとるだけです。当たり前すぎる話しと思われるかもしれませんが、これが最もシンプルかつ基本的な手法です。

自分の選んだ被写体を圧縮する場合は、「手前と奥」という関係性を持つ被写体をレンズの画角内に捉える努力をするだけですが、実際にやってみると、特に600mmや900mmでは超望遠レンズの画角の狭さゆえに、主役も背景も構図内に収まり切らない、というジレンマに陥ることも多いと思います。これはほとんどの場合で、被写体との距離が近すぎるのが原因です。

SZ PROシリーズレンズは超望遠レンズでありながら、マクロレンズに近い撮影倍率が可能なほどの、近接撮影も可能なレンズです。しかし、撮影距離が近くなるほど被写界深度は浅くなり、ピント合わせは難しくなります。つまり「圧縮効果を得る」という撮影目的においては、通常の撮影よりも被写体との距離を離す必要があることを覚えておきましょう。

まずは遠景の切り取りでレンズの扱いや望遠の距離感に慣れるとよいでしょう。徐々に撮影距離を短くしていくことで、画面内に「遠」「近」の要素として取り込める被写体や、圧縮の効果を活かしやすいモチーフも見つけられるようになるはずです。

1. 圧縮効果の作例

使用レンズに加えて撮影距離や被写体間の距離も分かる限り記載していますので、参考にしてみてください。
※クリックで拡大します

Tokina SZ 600mmPRO Reflex F8 MF CF(35mm判換算900mm)絞り優先AE(絞りF8・1/3500秒)・ISO800・WBオート

約160mの間隔で建つ鉄塔を、撮影ポジションを探して撮影。構図内に圧縮しました。横位置撮影では鉄塔のスケール感が弱いのと、一番奥の鉄塔が画面に入らないため縦位置構図で撮影。

Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm) 絞り優先AE(絞りF7.1・1/2200秒)・ISO800・WBオート・三脚使用
Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm) 絞り優先AE(絞りF7.1・1/2200秒)・ISO800・WBオート・三脚使用

運搬船に積まれる新車が整然と並ぶ様を、展望台からガラス越しに撮影。本来はガラス面に対して大きな角度がつかないように撮影をするのが最良ですが、高い位置から地上を狙う俯瞰気味のアングルのため、画像の一部が収差により画質が低下することは避けられません。

Tokina SZ 600mmPRO Reflex F8 MF CF(35mm判換算900mm) 絞り優先AE(絞りF8・1/180秒)・ISO800・WBオート

見通しの良いほぼ直線の道路。ピントはあらかじめ合わせておいた位置に、オートバイが来たタイミングでシャッターを切る置きピン撮影です。三脚使用。撮影距離約130m。

Tokina SZ 600mmPRO Reflex F8 MF CF(35mm判換算900mm) 絞り優先AE(絞りF8・1/640秒)・ISO800・WBオート

海ほたるのパーキングエリアから、木更津方面に見える走行車線を撮影。勾配が圧縮効果によって実際よりも急な下り坂のように見え、車両の車間距離も詰まって写りました。手すりにカメラを押し付けてブレを防いで手持ち撮影。坂の頂点(最も高い位置)との撮影距離は約1.5kmです。

Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm)絞り優先AE(絞りF7.1・1/120秒)・ISO160・WBオート

オフィスビルのように見えるかもしれませんが、実はマンション。正面から見えるバルコニーに干された洗濯物などの生活感や雑多要素を一切排除。造形として美しく見えるアングルを探して撮影。都市風景として、マンションや高層ビルなどは圧縮効果向きのモチーフですが、超望遠レンズという性質上プライバシーを侵害しないような配慮も必要です。

Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm) 絞り優先AE(絞りF7.1・1/4700秒)・ISO400・WBオート

千葉港沖に設置されている千葉灯標と、背景は市原市の火力発電所。走行する船上からの手持ち撮影で、電光文字式信号板が点灯するタイミングに合わせてカメラの傾きに気をつけながらシャッターを切りました。

Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm)絞り優先AE(絞りF7.1・1/600秒)・ISO320・WBオート

海面スレスレを移動するカワウの群れを船上から撮影。対岸の景色が入ることで圧縮感とともにスケール感も伝わる写真となりました。

Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm)絞り優先AE(絞りF7.1・1/640秒)・ISO320・WBオート

同じカワウの群れです。こちらはカメラに近い手前の鳥たちにフォーカスしました。慣れればマニュアルフォーカスでの撮影もこなせるようになります。画面奥が少しボケて違う印象の写真になりました。

Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm)絞り優先AE(絞りF7.1・1/640秒)・ISO320・WBオート

少しはぐれ気味のカワウたち。船や東京スカイツリーや黄色ボートが絡む構図になるタイミングを待って撮影。

Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm)絞り優先AE(絞りF7.1・1/500秒)・ISO320・WBオート

まるで壁のように高く積まれたコンテナと巨大な船体を圧縮しました。単焦点レンズであるがゆえに、走行中の船からの撮影では手持ちで素早く構図決定とピント合わせと水平出しをしないとシャッタータイミングを逸します。SZ ProシリーズならAF望遠ズームレンズでは味わえないスリルのような感覚も楽しめます。

Tokina SZ 600mmPRO Reflex F8 MF CF(35mm判換算900mm)絞り優先AE(絞りF8・1/900秒)・ISO2500・WBオート

地上125メートルの展望室から約2km離れた港を撮影。夕陽の色に染まった船と背後を走る電車のコラボを狙いました。平日で混雑していない時間帯に許可を得て三脚を使用。レンズや構図を変え撮影した中の一枚です。

Tokina SZ 900mmPRO Reflex F11 MF CF(35mm判換算1350mm)絞り優先AE(絞りF11・1/300秒)・ISO400・WBオート・三脚使用

夕陽を900mmで大きく捉えました。高い位置の太陽の撮影は危険と書きましたが、日没直前の太陽ならば明るさも弱まるため撮影できます。手前の高速道路との撮影距離は4㎞ほど離れています。

Tokina SZ 900mmPRO Reflex F11 MF CF(35mm判換算1350mm) 絞り優先AE(絞りF11・1/340秒)・ISO400・WBオート・三脚使用

満月になるとSNSなどで多くの写真を見かけますね。Tokina SZ 900mmPRO Reflex F11 MF CFならここまで大きく捉えることが可能です。月の撮影も大気状態で影響を受けますが、ぜひ挑戦してみてください。撮影には三脚が必須です。

Tokina SZ 900mmPRO Reflex F11 MF CF(35mm判換算1350mm) 絞り優先AE(絞りF11・1/280秒)・ISO200・WBオート・三脚使用

日中の青空に浮かぶ月の撮影ならば夜間の撮影とは違い、明るい環境で手元やカメラの操作部も全て目視できるので初めての月撮影にはオススメです。

リング状のボケを活かした撮影

ミラーレンズを手に入れる理由として、リング状のボケを活かした撮影をしてみたいという人も多いでしょう。ただしこのリング状のボケ味は、ミラーレンズなら必ず得られるとは限りません。
下記に挙げる3つの背景の要素でその発生の具合が異なります。

要素1ボケる物体の形状
凹凸が少なくフラットな形状や細いもの、それ自体のサイズが小さく細かいものはリング状にはボケにくい傾向。
要素2光を反射するなどの輝度差
太陽光などを反射している樹木の葉や水面のさざ波など、またイルミネーションなどの点光源はリング状のボケを生みやすい被写体です。逆に曇天などフラットな光線では目立ちにくいことも。
要素3合焦点と背景の距離差(ボケの量)
被写体と背景が被写界深度内にある場合はボケません。また近接撮影時など被写体との距離差によりボケ量が大き過ぎる場合にも、リング状のボケは目立ちません。

圧縮効果のパートでも述べましたが、ミラーレンズは絞りが固定のため、一般的なレンズのように絞り値を変えてボケ具合を調整することができません。

偶然生まれたリング状のボケ味ではなく、それを活かした作品づくりや撮影を行うには、リングボケを得やすい撮影環境を見つけ、カメラのファインダーやライブビューを確認しながら、被写体、背景との位置関係を調整し、自分のイメージに近い状態になるポジションを探して撮影するしかありません。

しかしこれはなかなか難しいことです。なぜなら、反射光から生まれるリングボケは角度の違いで強弱が大きく変化し場合によっては消えてしまうこともあります。太陽光も刻々と変化しているので、言うなればぶっつけ本番の出たところ勝負だからです。

だからこそ、それを攻略して、本来は脇役であるはずのボケ味をもっと際立たせた画づくりを、とことん遊んでしまうというのが面白いかもしれません。 自然環境における撮影で、全く同じリングボケはありません。
リングボケは好みがわかれることも事実ですが、それを望まないシーンでは別のレンズを選択すれば良いだけのこと。せっかくだからミラーレンズ特有のリングボケを盛大に楽しみましょう。

イルミネーションを被写体にしてリングボケに慣れる

ミラーレンズでリングボケを遊びたい人に被写体として特にオススメしたいのが、イルミネーションなどの小さなLED光源を被写体にした撮影です。

安定した照明の点光源は簡単にリングボケを得やすく、撮影位置の移動やピント位置の違いなどでボケ具合の変化をじっくり試すことができます。

夜景撮影の表現方法に幅が出せるのはもちろんのこと、リングボケを活かすスキルも上がるはずです。

一枚目の写真は、3本の細い樹に設置されているLEDそのものにピントを合わせた写真です。構図はそのままでフォーカスリングを操作してピント位置を移動すると、リングボケの大きさや強さも変わっていくことがわかります。撮影距離やLED間の距離など、カメラ位置とアングルを試して、ボケ具合の変化を楽しんでみましょう。

Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm)で撮影。

Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm)絞り優先AE(絞りF7.1・1/50秒)・ISO3200・WBオート

背景に最もリングボケを数多く入れられる場所を探して撮影しました。練習なので主役と背景の両方が同じLEDイルミネーションでも構いません。

Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm)絞り優先AE(絞りF7.1・1/60秒)・ISO3200・WBオート

ブティックのショーウィンドウとイルミネーションを絡めた撮影ですが、この写真で写り込んでいるリングボケは背景ではなく前ボケです。

Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm)絞り優先AE(絞りF7.1・1/20秒)・ISO6400・WBオート

たまたま通り掛かりに見つけたイルミネーション。数色のカラーバリエーションのほかに、花のような形のイルミがあったので、クローズアップしてみました。

Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm)絞り優先AE(絞りF7.1・1/100秒)・ISO6400・WBオート

SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CFは近接撮影も得意。さらに背景でボケているのは、10mほど離れた木に設置されていていたイルミネーションです。

Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm)絞り優先AE(絞りF7.1・1/10秒)・ISO6400・WBオート
Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm) 絞り優先AE(絞りF7.1・1/20秒)・ISO6400・WBオート

LEDのイルミネーション以外で主役となれる被写体を探してみました。2枚目の画像の主役は駐車場へ案内するため地面に描かれた誘導用の矢印。対象が低い位置のため、カメラもかなり下げて撮影しています。

スナップ風景

Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm)絞り優先AE(絞りF8・1/6400秒)・ISO800・WBオート

ピントは手前の2隻のボートに合わせていますが、全体的に遠景で無限遠位置に近いためボケる要素がありません。このようなシチュエーションでは海面がキラキラしていても良好なリング状のボケは得られません。

Tokina SZ 600mmPRO Reflex F8 MF CF(35mm判換算900mm)絞り優先AE(絞りF8・1/8000秒)・ISO400・WBオート

ボケだけを撮るのも抽象的ですが色やサイズなどで変化がだせればワンパターンにならず面白いテーマになるでしょう。

Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm) 絞り優先AE(絞りF7.1・1/4400秒)・ISO800・WBオート

アウトドアチェアに腰を掛ける男性と背景の海面の距離は数百メートル。主被写体と背景にそれくらいの距離差が必要なときもあります。ドラマチックなリングボケを得たいなら撮影位置と距離を変えていろいろなパターンを試してみましょう。印象的な画にするため露出を切り詰めてシルエットにしています。

Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm) 絞り優先AE(絞りF7.1・1/120秒)・ISO200・WBオート

夕陽などの木漏れ日がリング状のボケを作り出すこともあります。小さくても画面にドラマチックな印象を与えてくれます。

花・マクロ撮影

SZ PROシリーズレンズは超望遠レンズでありながらも近接撮影が可能なレンズで、その際にもリング状のボケ味を得ることができます。 しかし、被写体に近づくほど背景のボケ量はより大きくなるためリングボケは目立たなくなります。EVFで主被写体の大きさと背景のボケ具合のバランスを確かめながら撮影ポジションを決めましょう。

以下の作例は3点とも300ミリで撮影しています。また主役の花(ピント位置)までは全て約2.5メートルで、そこから更に数メートル離れた花を背景として入れられるアングルを探して撮影しています。
一輪だけ背が高いとか、密集したところから離れて咲いているような花を探すと主役と背景ボケ味のバランスが取りやすいので試してみてください。

Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm) 絞り優先AE(絞りF7.1・1/1400秒)・ISO1600・WBオート
Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm) 絞り優先AE(絞りF7.1・1/210秒)・ISO1600・WBオート
Tokina SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF(35mm判換算450mm) 絞り優先AE(絞りF7.1・1/150秒)・ISO1600・WBオート

動物撮影

前回の動物園編でも、圧縮効果やリングボケの作例を掲載しています。
こちらもぜひご覧いただき、参考にしてください。
動物園での撮影は撮影距離が長く、超望遠レンズの被写体としても最適ですが、背景に樹木が絡むことも多くリング状のボケを得やすい環境です。ぜひ出かけて試してみてください。

まとめ

「Tokina SZ PROシリーズレンズで楽しむ超望遠の世界~街中スナップ編〜」ということで、圧縮効果やリングボケを活かすための撮影方法を中心に説明をいたしました。

筆者も以前から300mmと500mmのミラーレンズでは、たまに撮影を楽しんでいましたが、600mmと900mmの焦点距離は未体験でした。慣れるまではピント操作にも少々手を焼きましたが、ファインダー像の迫力とほんの少しの加減でも変化していく背景のボケ味を楽しみながら撮影ができました。

作例撮影は冬季の短期間で行いましたが、通年を通して考えれば、このTokina SZ PROシリーズだからこそ撮れる、Tokina SZ PROシリーズでなければ撮れない被写体は無数にありそうです。手持ち撮影という点ではハードルは高くなりますが、船上での撮影も一般的なレンズでは撮れないシーンとリングボケの両方を楽しめる可能性が高いので遊覧船から撮影してみるというもオススメです。

みなさんもぜひ超望遠ミラーレンズで新たな撮影領域にチャレンジして、素敵な作品を生み出してください。

「SZ PRO」で超望遠撮影を楽しみましょう!!

ケンコー・トキナー公式Twitterでは、#TokinaSZPRO シリーズの投稿をお待ちしています!

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Photo & Text by 宇佐見 健