小河俊哉 - トキナーレンズの高画質をより引き出すレタッチ技術

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トキナーレンズを使った花火撮影

AT-X 12-28 PRO DX

AT-X 12-28 PRO DX TOKINA AT-X 12-28 PRO DXは、APS-Cデジタル一眼レフに対応した12mm-28mmの焦点距離をもつ広角ズームレンズだ。
AT-X124 PRO DXⅡ(以下AT-X 124とする)の後継モデルにあたり、AT-X 124同様高い解像力はそのままに、光学新設計によりさらなる周辺解像の向上を実現している。また、各種収差も徹底して低減。24mmまでだったAT-X 124の望遠端を4mm伸ばし、標準域28mmまで到達した焦点領域はテーブルフォトもさることながら、ペットの撮影、子どもの撮影も得意とする。さらに、AT-X 124同様、ズーム全域F4としたことで広角端の「像の立ち上がり」の早さを実現しつつも、望遠端のボケ味の美しさを保ち単焦点レンズに迫る描写を実現した。
昨今のトキナーレンズの特色でもある「1本で2度美味しい」レンズと言えるだろう。

AT-X 124から引き継いだ高級感のあるボディは健在。まだトキナーレンズに触れていない方にはぜひ注目して欲しいポイントだ。
ピントリング、ズームリングのトルク感も手触りがよく、重すぎず軽すぎず絶妙の味付けとなっている。今回の北海道ロケでは主に氷点下、もっとも下がった時には-20°の中での撮影となったがグリスが硬くなることなく使用することができた。
以下、作例をご覧頂ながら解説をしてゆきたい。これまで僕の作例は、「頭に浮かんだイメージを再現する」ために撮影、現像、レタッチを行った作例だったが、今回はこのAT-X12-28 PRO DX(以下AT-X 12-28とする)の性能をそのまま見ていただくために、いわゆる「撮って出し」の作例を掲載する。


 

Index


 

解像

焦点距離:12mm、F11 、1/125秒、ISO200


About

中心解像周辺解像ともに秀逸な解像がなされている。
前モデルAT-X 124と比べた時、周辺の解像がもう一段上がっていることが特に印象的である。
中心にある流氷は細かく解像で来ていることもさることながら、周辺も綺麗に解像で来ている。
特に手前の林の解像はAT-X 124と比べもう一段上がった印象がある。また、左下に野生のシカがいるのだが、レンズ端であるにもかかわらず拡大しても、像の流れなどで解けることなく描写されている。

 

解像望遠端

焦点距離:28mm、F13 、1/320秒、ISO200


About

望遠端28mmの解像を見てみよう。
これまで広角ズームレンズの望遠端は、あまり描写を期待されない焦点域であった。しかしAT-X12-28は、旧モデルから4mmも焦点距離を伸ばしながらも隅々までしっかりと解像している。
写真は、ポルトガルはリスボンの旧市街地を撮影したものだ。中心周辺ともに秀逸な解像をみせ、細かな屋根の瓦もにじむことなく解像し2400万画素を活かすことができている。AT-X 12-28は、望遠端での描写も期待できる一本と言えよう。

 

ディストーション 01

焦点距離:12mm、F11 、1/160秒、ISO100


About

周辺解像はF5.6辺りからしゃっきりと像が立ってくる。
AT-X 124もF5.6も絞れば周辺光量落ち、通称周辺減光も解消し、解像も立ちあがってきたのであるが、新モデルAT-X 12-28はさらに解像が進んでいる。作例の左右下部にある「たたまれた門」を見てみると像の流れもなく質感がわかるくらい綺麗に解像されていることがわかる。
また、この作例は広角端12mmで撮影されているにも関わらず画面下部の少ないアスファルト部分とタイルの路側帯の分かれ目の線が波打つような線になっていない。これは綺麗に抑えられたディストーションの現れである。反面、画全体を見たとき広角レンズらしいちょうど良い味付けのディストーションが残されていることが分かり広角レンズらしさが失われることなくディストーションを抑えるといった絶妙の味付けがされていることが分かる。この「広角レンズらしいちょうど良いディストーション」はAT-X 124から引き継いだ良さの一つである。

 

ディストーション 02

焦点距離:12mm、F8 、1/80秒、ISO100


About

上述の通り「ちょうど良いディストーション」が味付けとして残されているAT-X12-28であるが、縦横の線はもとより斜めの線も真っすぐに引けるレンズである。
姉妹レンズAT-X116 F2.8 PRO DXもそうだが、トキナーのレンズはディストーションの処理が上手くこうした斜めの線も真っすぐに出る。AT-X12-28もトキナーレンズらしく斜めの線も、真っすぐに出るレンズだ。

 

ディストーション 03

焦点距離:12mm 、F11 、1/500秒、ISO200


About

パースを効かせた画の撮影でも歪まず真っすぐな線が引けることは、現場では大きな武器となる。
手すりを画面下まで真っすぐ伸ばし遠近感を出した画であるが、このすっきりとした真っすぐ感が気持ちの良い遠近感を出すのである。

 

ディストーション 04

焦点距離:12mm、F10 、1/100秒、ISO100


About

前モデルAT-X 124から大きく進化したポイントの1つに、色収差がある。特に倍率色収差は非常に低いレベルに抑えられている。
作例写真では、あえて色収差が出やすい条件で撮影してみた。このように複雑に入り組んだ金属パイプなどを晴天下で撮影するとパイプに様々な色の縁取りが発生する「色収差」が非常に出やすい条件になるが、中央部分にある太陽の反射のあるパイプの回りや、画面の端を拡大してみてもほぼ色の縁取りは見ることができなかった。

コントラスト

焦点距離:19mm、F8 、1/640秒、ISO200


About

陽が陰り出したリスボンの街でコントラストをテストした。
AT-X12-28は鮮やかなヨーロッパの街並みを色乗りよく、美しく再現している。
また一連のトキナーレンズに見られるトキナーブルーも健在。ヌケの良い青空が再現されている。

 

グラデーション・カラー再現 01

焦点距離:18mm 、F8 、2.5秒、ISO100


About

マジックアワーでの撮影時、青くなって行く空をどれだけ反映できるかもレンズの実力が試されることになる。特に夕暮れのマジックアワーは、朝のマジックアワーと違いグラデーションが弱くなって行く中での撮影となるため力の無いレンズで撮影すると美しいグラデーション再現にはならない。しかし、新レンズAT-X 12-28は、前モデルAT-X 124同様高解像力を発揮し暮れてゆく小樽の街のグラデーションを綺麗に再現している。

 

グラデーション・カラー再現 02

焦点距離:12mm、F11 、1/400秒、ISO200


About

夕暮れ空のグラデーションの再現を、敢えて沈む夕日を画角に入れての撮影で試みた。気になるようなゴーストやフレアも見当たらず、グラデーションも滑らかに再現。また、色づく雲のふんわりとした質感や山の稜線部分も色のはみ出しがなく綺麗に再現されている。
1枚目のマジックアワーのグラデーション再現でも記述しているが、こうした何でもない空の再現はことのほかレンズの実力がものをいう。AT-X12-28は美しいグラデーション再現が可能なレンズだ。

 

グラデーション・カラー再現 03

画像4画像3画像2 画像1
※画像クリックでそれぞれの原寸画像がご覧になれます。


About

色再現は、トキナー伝統のニュートラルなカラーポイントを踏襲している。カメラマンの間で広く知られている「トキナーブルー」と言われる青の抜けの良さも前モデルAT-X 124同様で美しい青空が再現出来ている。また、RGBどの色もくすみなく再現出来ておりデジタルでは再現が難しいと言われているグリーンの再現と紫の再現も秀逸だ。
特に、グリーンの再現はカラーポイントがシアンに転がるとプラスチッキーな色合いになるが、AT-X 12-28は上手に再現ができている。

 

AF性能

新機構GMR(高精度磁気)センサー、新開発のSD-M(Silent Drive Module)を搭載したAT-X12-28は、AFの「動き」も良く、静かに正確に狙った位置を「捉える」。
昨今カメラ側のAF性能は格段に進化したが、合焦までのスピードはレンズに依存する部分が少なくない。
ゆえにレンズに搭載されたAFモーターの性能が非常に重要になってくるのだ。
AFは作動のスピードも重要だが、機構的に難しいのは「止まる」ことである。今回は「動く」、「捉える」、「止まる」をテストするため、作例では敢えて追い流しの撮影を行った。
なぜ追い流し撮影、いわゆる流し撮りなのか?
それは広角レンズでの流し撮りは動いて近寄ってくる被写体との距離をあまりとらずに撮影するため、合焦までのスピード非常に重要になる。AFのスピードが遅ければシャッターが下りないかピンボケの写真になってしまうからである。

 

AF性能 01

焦点距離:28mm 、F11 、1/40秒、ISO100


About

AFポイント「シングル」、AF-C(サーボ)に設定し街ゆく車のヘッドライト部分に狙いを定めコーナーを曲がってくる辺りでシャッターを切った。
近づいてくる動体の撮影でありしかも曲がってくる動体のピント合わせはカメラ、レンズ共にかなりの仕事量を強いるが、AT-X12-28は、AFを合わせたヘッドライトの部分を上手に捉え続けていた。
動体のピント合わせは上述のように「動く」、「捉える」、「止まる」を細かく繰り返すことになるため、作動の遅いモーターでは狙ったポイントを捉える事ができなくなったり、「止まる」ことが苦手なモーターだと正確に止まれずピントが甘くなったりすることがある。しかしAT-X12-28のAFモーターは静かに素早く正確な動きで狙ったポイントを捉え続けることができた。

 

AF性能 02

焦点距離:12mm 、F5.6 、1/40秒、ISO1600


About

更に条件の厳しい中でAF性能をテストした。
薄暗くなった街で追い流し撮影するという条件だ。
被写体はレトロな車体の路面電車。
設定は上述同様AFポイント「シングル」、AF-C(サーボ)に設定、AFポイントはオレンジ色の車体のマーカーに定めた。
薄暗く、ピントを捉える事が難しい条件の中、AT-X12-28は静かに正確に「動く」、「捉える」、「止まる」を繰返し車体マーカーのレンズのカットが分かるくらいしっかりと狙ったポイントを捉え続けた。

 
 

スナップレンズとしての性能

AT-X12-28は、スナップレンズとしての面白さ便利さも特筆するべき点の一つだ。
標準ズーム、高倍率ズームでは出来ない画作りと距離感で街にあふれる「あ!面白い!」をどんどん切り取って行くことができる。

スナップレンズとしての性能 01

焦点距離:15mm、F9 、1/160秒、ISO200


 

スナップレンズとしての性能 02

焦点距離:14mm、F8 、1/125秒、ISO100


About

作例01、02ではパースを効かせた広角レンズらしい撮影で街の面白い瞬間を切り取った。
特に作例01では広角らしく路地の「ヌケ」が強調されつつも被写体に寄って撮影するといった標準ズームや高倍率ズームでは出来ない撮影が体感できた。

 

スナップレンズとしての性能 03

焦点距離:19mm 、F5.6 、1/125秒、ISO100


About

作例03は短い最短撮影距離を活かし接近戦で撮影を試みた。飼い主さんにも撮影許可をいただき地面に寝そべるようにじりじりとほふく前進しながら相当ちかくまで寄ってシャッターを切った。
広角レンズの基本、被写体を大きく手前に入れ遠近感を強調し奥をドン!と入れる。
こうした画作りは広角レンズならではのもので、標準ズームや高倍率ズームでは出来ない画だ。

 

スナップレンズとしての性能 04

焦点距離:28mm 、F5.6 、1/10秒、ISO1250


About

この日、撮影を終えて地下鉄の駅に向かう途中、欧州らしい街の色合いに写欲がわきシャッターを切った。
強い点光源を画面左隅ギリギリに置くという底意地の悪いことをしてみたが、目立つゴーストも現れていない。また他の点光源も非球面レンズとコーティングのおかげで上手に処理がなされていた。
この作例は、スナップの延長戦で撮影したため3脚を使用していない。
即ち手持ちでの撮影だ。
しかし、1/10秒のスローシャッターにも関わらず、画に大きな手ぶれは感じない。手ぶれに強い広角レンズで、夜の街を撮影するメリットを改めて感じた1枚であった。

 

スナップレンズとしての性能 05

焦点距離:28mm 、F4 、1/15秒、ISO400


About

AT-X 124から引き継いだ接近戦の強さは更なる進化を遂げている。望遠端を4mm伸ばし、最短撮影距離も30cmから25cmに短くなったことにより、APS-Cの画角で標準域までカバーする焦点域はテーブルフォトも得意項目の一つとなり、標準ズームでは撮ることのできない思い切った画づくりを可能とした。また、ボケ味も美しく○ボケも綺麗に出る、描写も美しく単焦点レンズに迫る描写である。

 

スナップレンズとしての性能 06

焦点距離:28mm 、F4 、1/320秒、ISO200


About

広角レンズの1mmは広角側で大きな違いを見せるが、望遠側の4mmもかなり大きな違いをみせる。 前モデルAT-X 124も最短撮影距離は短かったが、24mmまでの焦点距離であったため、テーブルフォトではここまで大きく寄ることができなかった。しかしAT-X 12-28は、望遠端を4mm伸ばし標準域28mmまで焦点距離を入れてきたため作例のように広角レンズで撮影したとは思えない思い切ったテーブルフォトの撮影が可能となった。

 
まとめ
AT-X12-28は前モデルAT-X124の良さ、高解像、高コントラストは今まで通り踏襲し多画素化に合わせ様々な点を大きく改良してきた一本だ。また、焦点距離を標準域までカバーしたことにより、広角スナップという新しいジャンルの先駆けとなるレンズでもある。
広角側では、しっかりと広角レンズらしいの味わいを出しながらも、望遠端では単焦点レンズに迫る描写を見せる、昨今のトキナーレンズの特徴でもある「一本で2度おいしい」お得感のある広角レンズだ。
 
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