NDフィルターを使った時のシャッタースピードの求め方
NDフィルターを装着すると、撮像素子に届く光の量が減少します。NDフィルターを装着しても NDフィルター未装着時と同じ露出にするためには、F値を上げるかシャッタースピードを遅くする必要があります。それでは、もしF値が変えられない場合、一体どれくらいシャッタースピードを遅くすれば良いのでしょうか。
NDフィルターを使用した際に適正露出となるシャッタースピードは、以下の式で求められます。
【NDフィルターを装着した際に適正露出となるシャッタースピード】
=【NDフィルター未装着時に適正露出となるシャッタースピード】 × 【装着するNDフィルターの番号】
例えば、NDフィルター未装着時に適正露出となるシャッタースピードが 1/1000秒 であるときに「ND8」フィルターを使用したい場合、上の式に当てはめて計算すると 1/1000 × 8 = 1/125 。つまり、シャッタースピードを1/125秒にして撮影すれば、NDフィルターをつけない状態で撮影したときと同じ露出にすることができる、ということがわかります。
計算が面倒な場合は、以下の早見表をご活用ください。NDフィルターなしで適正となるシャッタースピードと、使用するNDフィルターの交わる箇所が、NDを付けた時のシャッタースピードの目安となります。
NDフィルター使用時のシャッタースピード早見表
下の表には、NDフィルター未装着時の適正シャッタースピードに対応する、各NDフィルター装着時のシャッタースピードを記載しています。(F値は一定とします。表はあくまでも目安です。)
絞り段数⇒ | 1段 | 2段 | 3段 | 4段 | 5段 | 6段 | 6 2/3段 | 7段 | 8段 | 8 2/3段 | 16 1/2段 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
NDフィルターなし | ND2 | ND4 | ND8 | ND16 |
ND16 | ND16 + ND4 (ND64相当) | ND100 | ND16 + ND8 (ND128相当) | ND16 + ND16 (ND256相当) | ND400 | ND100000 |
1/4000 秒 | 1/2000 秒 | 1/1000 秒 | 1/500 秒 | 1/250 秒 | 1/125 秒 | 1/60 秒 | 1/40 秒 | 1/30 秒 | 1/15秒 |
1/10 秒 |
25 秒 |
1/2000 秒 | 1/1000 秒 | 1/500 秒 | 1/250 秒 | 1/125 秒 | 1/60 秒 | 1/30 秒 | 1/20 秒 | 1/15 秒 | 1/8 秒 |
1/5 秒 |
50 秒 |
1/1000 秒 | 1/500 秒 | 1/250 秒 | 1/125 秒 | 1/60 秒 | 1/30 秒 | 1/15秒 | 1/10 秒 | 1/8 秒 | 1/4 秒 | 0.4 秒 |
1 分 40 秒 |
1/500 秒 | 1/250 秒 | 1/125 秒 | 1/60 秒 | 1/30 秒 | 1/15 秒 | 1/8 秒 | 1/5 秒 | 1/4 秒 |
1/2 秒 |
0.8 秒 | 3 分 20秒 |
1/250 秒 | 1/125 秒 | 1/60 秒 | 1/30 秒 | 1/15 秒 | 1/8 秒 | 1/4 秒 | 1/2.5 秒 |
1/2 秒 |
1 秒 | 1.6 秒 | 6 分 40 秒 |
1/125 秒 | 1/60 秒 | 1/30 秒 | 1/15秒 | 1/8 秒 | 1/4 秒 |
1/2 秒 |
1/1.3 秒 | 1 秒 | 2 秒 | 3 秒 | 13 分 20秒 |
1/60 秒 | 1/30 秒 | 1/15 秒 | 1/8 秒 | 1/4 秒 |
1/2 秒 |
1 秒 | 1.6 秒 | 2 秒 | 4 秒 | 7 秒 | 27 分 45秒 |
1/30 秒 | 1/15 秒 | 1/8 秒 | 1/4 秒 |
1/2 秒 |
1 秒 | 2 秒 | 3 秒 | 4 秒 | 8 秒 | 13 秒 | 55分 30 秒 |
1/15秒 | 1/8 秒 | 1/4 秒 |
1/2 秒 |
1 秒 | 2 秒 | 4 秒 | 8 秒 | 8 秒 | 16 秒 | 27秒 | 1時間50分 |
1/8 秒 | 1/4 秒 |
1/2 秒 |
1 秒 | 2 秒 | 4 秒 | 8 秒 | 13 秒 | 16 秒 | 32 秒 |
50秒 |
3.5時間 |
※カメラ側で設定できるシャッタースピードで表記しているため、計算と異なる記載になっている場合があります。
式の意味を考えてみる
NDフィルターを装着したときのシャッタースピードを求める式はいったいどういう意味でしょうか?
考え方としては、面積の計算に似たところがあります。
イメージセンサーが受取る光量は以下の様な式で表せます。
そして、NDフィルターで【単位時間あたりの透過光量】を下げた上で、【シャッタースピード】を変化させます。【イメージセンサーが得る光量】をNDフィルターがない状態と同じ数字になるように調整するわけです。具体的な例から考えて行きましょう。
まず、適正露出の光の量を100とします。
そしてフィルターがない状態では20の光が1000分の1秒間にレンズを透過するとします。
この場合光の量を100にするためには、20を5倍、つまり1000分の1秒を5倍で、200分の1秒のシャッタースピードが必要となります。
この条件下で、ND2を使用した場合どういうことになるでしょうか?
ND2によって、レンズを透過する光は半分、1000分の1秒間で10の光が透過することになります。このため、100の光を得るためには10を10倍、100分の1秒のシャッタースピードが必要となります。フィルタ-をつけない場合のシャッタースピード200分の1秒のちょうど2倍ですね。
同じように、ND4を使用した場合、透過する光は4分の1。1000分の1秒間で5の光が透過します。すると100の光を得るには5の20倍、つまり50分の1秒のシャッタースピードが必要です。フィルタ-をつけない場合のシャッタースピード200分の1秒の4倍ですね。

KenkoのNDフィルター製品
一般NDフィルター | 高濃度NDフィルター |
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ND2~16の比較的濃度の薄いNDフィルター。
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ND32以上の高濃度NDフィルター
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