花火のキレイな撮り方「打ち上げ花火を撮る」
夏の風物詩といえは、打ち上げ花火ですよね!全国各地で開催される花火大会ですが、季節が限られているうえに一瞬で消えてしまいます。記憶に残すだけでなく写真でキレイに残せれば、いつでも楽しむことができます。「打ち上げ花火を撮る」を参考に、今年の夏はぜひ花火撮影にチャレンジしてみてください。
花火撮影に必要な機材
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カメラ
ミラーレスカメラ、または一眼レフカメラをおすすめします。バルブ設定ができ、マニュアルフォーカスで正確なピント合わせが可能なカメラを選んでください。ミラーレスカメラは三脚等の機材がコンパクト化でき、人出が多い花火大会等では行動しやすいということもあります。 -
三脚
打ち上げ花火をきれいに撮影するためにバルブ撮影が必須なので、カメラをしっかりと固定することが必要です。バルブ撮影では長時間シャッターを開けておくため、手持ち撮影ではカメラがブレてキレイに撮影することができません。三脚はパイプが太く安定したものがおすすめで、使用するカメラやレンズによって選んでください。 ※花火大会の会場によっては三脚の使用そのものが禁止されている場合もあるので、事前にしっかりと確認しましょう。 -
リモートコード
バルブ撮影とはシャッターボタンを押すと「シャッターが開き(露光が始まり)」、シャッターボタンから指を離すと「シャッターが閉じる(露光が終わる)」ものです。リモートコードを使用すれば直接カメラに触れることなくシャッター操作ができるので、シャッターを押す際の振動を軽減し、長時間露光を可能にします。また、カメラを見ずにシャッター操作ができるため、打ち上げ花火を鑑賞しながら片手でシャッター操作ができるのも魅力です。 リモートコードは夜景や星空などの撮影にも使用されています。 -
NDフィルター
花火を撮影する時の基本的な設定は下記の通りです。 ・感度の設定:ISO100(固定)
・露出の設定:バルブ
・絞り:F11〜16(明るさによって調整) 花火の種類や距離などの条件によって明るさが変わってきますが、花火の明るさは絞りで調整します。F16でも明るすぎる場合がありますので、あらかじめNDフィルター(ND4またはND8)を装着しておくことをおすすめします。ND4フィルターは光量を「1/4」にするフィルターです。絞り段数2段分「絞りを開ける」ことができますのでF16で撮影してもF32と同じ明るさとなります。絞りで明るさを調整する花火の撮影では、NDフィルターを使うことで調整可能な幅が広がります。
- あると便利なアクセサリー
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レンズアングルアダプター ATOLL(アトール)
一瞬でアングルの切り替えができるレンズアングルアダプター。アトールをカメラに取り付けておけば、瞬時にたて位置よこ位置の切り替えができます。しかもレンズの中心をズラさずにアングルの切り替えができるので、タイミングが重要な花火撮影にぴったりなアクセサリーです。
花火の撮り方
- カメラのセッティング
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- カメラをISO100、バルブ、ホワイトバランスは「晴天」または「電球」に設定します。
注)ISOオートは必ずオフにしてください。(カメラによって設定の仕方が違いますので、取説等でご確認ください) - カメラを三脚にセットし、リモートコードを装着します。
- カメラをISO100、バルブ、ホワイトバランスは「晴天」または「電球」に設定します。
- ピントの設定
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- ピント合わせは「マニュアル」が基本です。オートフォーカスでは、ピントが合わないとシャッターが切れないため、ピント合わせに時間が掛かりシャッターチャンスを逃してしまいます。
- オートで合わせる場合は、一度ピントが合ったらすぐに「マニュアルフォーカスに切り替えて」そのままの状態で撮影を続けます。
- シャッター操作
- バルブで花火を撮るには、
- 花火の上がる時の音「ヒュー」でリモートコードのシャッターボタンを押します。そのまま離さずに押したまま保持します。
- 花火を目で確認しながら、花火が開いて拡がる「パン」といった音でしばらく待ち、リモートコードのシャッターボタンから指を離します。
- 明るさの調整
- ND4フィルターを装着した場合は絞り11で撮影してみます。撮影した画像を見て明るいか暗いかを判断してください。
NDフィルターなしの場合は絞り16で撮影してみてください。▼設定ミスで明るすぎる写真になってしまった例
F2 1/2秒(バルブ) ISO100 50mmF2
撮影の失敗例と対策
- 露出オーバー
- 連続して花火が上がる「スターマイン」等でそれまでと同じ設定で撮るとこうなります。
F8 1.5秒(バルブ)ISO100
露出オーバーの対策
- プログラムできちんと「花火の種類」を把握する。
- NDフィルターを使う。
- 露光時間を短めに切り上げる。
- 撮れないものとして見送る。
NDフィルター - ケムリ
- 花火がケムリに包まれてクリアに映らない、霞がかかったように見える
F8 3.2秒(バルブ)ISO100
ケムリの対策
- 風向きを把握して、風上に撮影場所をキープする。
- 早い時間は空が明るく、ケムリが目立ちやすい。
- 後半の空が暗くなってからに賭ける。
- ブレ
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ブレで光が波打つ、花火のカタチがキレイに出ない。 F8 5秒(バルブ)ISO100地上の建物がブレてしまう。 F8 5秒(バルブ)ISO100
ブレの対策
- 三脚はしっかりしたものを使う。
- カメラ、三脚のセッティング時にロック部分をちゃんと締めているか確認。
- リモートコードを使う。
リモートコード - 花火の迫力不足
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花火に迫力がなく小ぶりに見える花火の光の筋が切れたように見える花火の光の筋が切れたように見える
迫力不足の対策
- 花火の上がるタイミングをしっかり確認する。
- ドーン音でシャッターを押す。
- 花火がしっかり開いてからシャッターを離す。
- 長いシャッタースピードにする。(リモートコードを使う)
- 絞りをちゃんと合わせる。
- NDフィルターを使う。
NDフィルター
リモートコード
撮影前の準備
花火大会の会場へは早めに行きましょう
大きな花火大会の場合、2時間近く前から会場入りするといいでしょう。撮影ポイントの下見をして電線や建物など写り込みの確認と、明るいうちに機材をセッティングしておきましょう。 河原などでの撮影となるため、ビニールシートを持って行くと便利です。
スタートを知らせる花火が上がりました。 でも本番はもっと高く上がります。
花火の前に木がかぶさってしまいます。場所取りの失敗です。この場合は望遠レンズしか使えません。
三脚を使う
どんな三脚を選べばいいの?
- 河川敷などの花火大会では、座った高さに伸ばせればよく、高さは必要ではありません。
- 雲台には「3ウェイ雲台」と「自由雲台」があります。使いやすい方を選びましょう。
- 三脚は重さではなく、パイプの太さで選びましょう。
- パイプ径:23.4mm...軽量ミラーレス向き
- パイプ径:28mm...フルサイズミラーレス、一眼レフ、300mm クラスレンズ使用向き
- パイプ径:36mm...フルサイズミラーレス、ハイエンド一眼レフ、中判カメラ、超望遠レンズ使用向き
- 材質の違い
- カーボン...値段は高めだが、軽くて振動吸収性がいい
- アルミ・マグネシウム・チタン合金...アルミより軽く、カーボンより安価
- アルミ...比較的値段が安いが重量がある
- 段数の違い
- 3段...セッティングが早い
- 4段...コンパクトになって持ち運びに便利
リモートコードを使う
バルブ撮影には必需品
- シャッターボタンに触れることでブレる、という問題を解消します。
- カメラそのものに触れずにシャッターを切ることができます。
- カメラを見ずにシャッター操作ができます。
- 暗い場所での撮影時、シャッターボタンの位置を探す必要がありません。
リモートコード
フィルターを使う
NDフィルター
- 一般的な花火撮影は、露光時間では無く絞り値で露出を決めるため、明るい花火の撮影には露出を2 段減光してくれるND4 の使用は必要不可欠になります。
- 花火大会での最後を飾る明るい花火の連発や近年の明るい花火、また最小絞りF16 までのレンズ使用時には減光3 段分のND8 が必要になります。
- 最新の花火では明度の異なる花火が増えてきています。通常の撮影では表現出来なかった明度のコントラストはプロソフトン(A)を使用すれば表現出来るようになります。
フィルター使用例
※画像クリックで拡大します。レンズを選ぶ
広角レンズで夜空に広がる花火と夜景をひとつの画面に収めたり、望遠レンズで花火だけのアップを撮ったり、レンズの焦点距離によってさまざまな表情を撮ることができます。