#04 世界遺産の街クヴェトリンブルグのマルクト広場で夕景を撮影する

世界遺産の街クヴェトリンブルグ、その街の中にマルクト広場という場所がある。広々とした広場では、観光客や地元の人々が思い思いの時間を過ごす。行き交う人・・・ざわめき・・・フト太陽の動いている方向を見れば、良い光線が広場に差し込んでくる沈み方になっている。良いショットが撮れそうな予感がする・・・。

以前、アシスタントを務めてくれていた一人からこんな事を聞かれたことがある。「良い瞬間を見つけるためにはどうしたらいいですか?」と。プロフォトグラファーとしての資質の一つをズバリと聞いてきたのだが・・・これがまた返答するに難しいことであり一言では言えないことだった。

長広舌で講釈をたれることもできたのだが、アシスタントくん自身の成長を促すため、また「自分で考える」ということが大切だと思ったため、僕は「そういう自分(見出す眼を持つ自分)になるしかないんだよ」と一言だけ伝えた。

じゃあ・・・そういう自分を作るためにはどうすればいいのか?

僕なりの考えはこうだ。(当時アシスタントを務めていてくれた○○くん読んでくれているかな?)

感動屋であること、凄いな・・・美しいな・・・そう思うポイントがより多い人であること。そして、撮影時最上級の感動屋メンタルの状態になれること。そうすれば「あ!いい!」と思うことが自然と眼についてくる。悪いところを探すより、良いところを見出す眼を持つことも併せて必要な要素になるだろう。

凄いな・・・美しいな・・・そう感じるポイントは人それぞれ、その人の人生観や考え方によって変わってくる。それが個別性につながり昇華させることによって作品の芯となっていく。そして、そう感じる心根こそが全ての原点となる。それを一言でいえば「そういう自分になるしかない」になるのだ。いいな・・・と思う瞬間、それは今までとは違った見方が出来るようになれば、よりたくさん発見できるようになる。いまは独り立ちして頑張っているであろう元アシスタントの○○くん、見いだせる眼は育っているかい?

さぁ、そんなことを考えていると良い光線が広場に入ってきました。

逆光線のシルエットとオレンジの光線が劇的シーンを見せてくれる面白い時間がやってきます。この感じだと・・・太陽が建物に隠れてしまうのでオレンジの時間は数分というところでしょうか。テンションを高くしていざ戦闘モードに入っていきます。

影が長くなり、いよいよ良い時間になってきました。
たたずむ犬と長い影が印象的です。

そして僕はこの日、手ごたえのある一枚を撮影しました。

逆光線のシルエット、オレンジの光線、甘える犬の右足が意思を伝えている一枚。opera50mmならこのシーンはf2がいい。f4では背景が残りすぎる、犬のリードや髪のラインライトを際立たせるためには出来るだけ絞りは開けた方がいいが、僕の感覚では一段絞ったf2くらいの背景の残りが良い。撮る前から浮かんできたイメージに合わせセッティングを決めシャッターを切る。うん・・・opera50mmは本当に計算しやすいレンズだ。

予感的中、良いショットが撮れました。

次回は、トキナーレンズで撮影旅行記 #05レタッチを前提にした撮影をお送りします。