#08 明るいレンズだからできること「ナイトスナップ」

さぁ、今回の旅もいよいよ最終日。締めくくりに街並みを撮りに夜の街へ繰り出しましょう。opera50mmは、開放がF1.4と、とても明るいレンズです。ここまで明るくなくても夜の街並みを撮影することは出来ます。しかし、ここまで明るくないと出来ないことがあります。それは夜の街を行き来する人をキチンと止めて撮影することです。

僕にとって、ストリートスナップ撮影で重要な要素は「街を行き来する人々」です。

長秒露光で歩く人々を消してしまい、無人の街を撮影することも面白いのですが、僕は街にいる人々が見せてくれる印象的なワンシーンが好きです。歩いている人を撮影するには最低限1/60秒、できればそれ以上早いシャッタースピードが必要になります。明るいレンズであればある程、必要とするシャッタースピードを確保できます。

また、明るいレンズであればISOを必要以上に上げることなく撮影出来たり、逆にこんな暗くても撮影できるかな・・・?と思うような暗さでも感度を上げることによって撮影出来たりもします。レンズが明るいということは、ナイトスナップに於いて撮影の自由度が格段に増すことになります。

街を行き交う人をしっかりと止め、きらびやかな街を明るく撮影する。こうしたことができるのはF値が明るいからこそできることの一つになります。

ストリートスナップの撮影にはディストーションの少なさも重要な要素です。opera50mmはディストーションが少ないので構図を決めるのが本当に楽です。例えば、この画を見ていただければ分かるのですが、背景の建物の木組みが真っすぐになっています。真中の電柱も真っすぐ、右端のポールも真っすぐです。人はこうした建物の真っすぐの線を確認することで、奥行きを認識します。いつかデジタル技術が進歩し3D写真が出てくるかもしれませんが現在は2Dで見せていかなければなりません。そうした場合のテクニックとして「建物で線を引く」というテクニックを使い奥行き感を出していきます。その時、ディストーションの少ないレンズは構図を決めるのも楽にできますし、奥行き感を演出していくことも楽にできます。

そんな話をしていたら、結構雨がひどくなってきました。

opera50mmは、雨に濡れても平気な顔して動いていましたが、へそ曲げられても困りますので、今日はここらで宿に戻り荷物をまとめましょう。さぁ、明日はアウトバーンを使い大移動して日本へ帰国です。

さて、トキナーレンズで撮影旅行記はいかがでしたでしょうか?

撮影裏話や我々プロフォトグラファーが実際の現場でどのように撮影を行っているかを撮影旅行記という形でお伝えいたしました。少し難しい内容もあったかもしれません、特に#04の「良い瞬間を見出す眼」については、テクニックの話ではなくメンタルの話になっており、さっぱり参考にならないと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、腕が上達していくとメンタルの事は避けて通れなくなります。いつか迷った時、もう一度読んでいただければと思います。また、#05のレタッチのお話も同様で少し専門的なお話しでしたが、撮影前にフィニッシュのイメージを浮かべ、それを「自分の画」として撮影に当たっていただきたく、思いを綴ることにいたしました。今回の「トキナーレンズで撮影旅行記」を読んでくださった方、皆様の今後の撮影活動に少しでもお役に立つ内容であれば幸いです。最後までお読みいただきましてありがとうございました。