トキナーレンズで撮影旅行 ドイツ編
小河俊哉

小河俊哉(おがわとしや)

1969年生まれ。東京都出身。
自動車整備士、カースタントマンなどを経てフリーフォトグラファーとなる。自然、風景、クルマ写真などを専門とし雑誌、クラッシックカーイベントなどで活躍。 現在、作品集作成のため精力的に国内外で撮影中。

#01 さぁ!ドイツロケの始まりだ!

僕は、毎年というわけではないのですが、仕事も一段落した年末の時期に、海外で撮影を行うことがあります。今回もタイミング良くスケジュールが空くこととなり、どこに行こうかと悩んでいたところ、ふと、以前から気になっていた北ドイツにある世界遺産の街、ヴェルニゲローデを走る蒸気機関車と、周辺に連なる古い街並みを撮影したくなりドイツに行くことにしました。 

海外での撮影ともなれば、やはり色々なレンズは持っていくのですが、今回はメインの相棒として、新たに手にしたTokinaのopera50mmf1.4を選ぶことに。ちなみに。50mmのレンズというと「ポートレートレンズ」という印象を持つ人が多いかもしれないのですが、僕にとっての50mmのレンズの印象は、ずばり「オールラウンダーレンズ」。風景、街角のスナップ、それにもちろん、旅先で出会った人々を撮影する1本として幅広く活躍してくれます。今回のopera50mmf1.4はどんな味わいを見せてくれるのか、とても楽しみです。

時は12月末。クリスマスも終わり、新年まで一段落した感のある東京を出発。途中、数時間のトランジットを経て、フランクフルト国際空港へ無事到着。

空港でレンタカーを借りて、一路フランクフルトの街へ!

 

フランクフルトの駅舎でスナップ

空港からフランクフルト市内の中心部まで移動し、駅舎の横のパーキングに車を止めて駅前広場へ出ると、時刻は既に夜の九時半を回っていました。駅前広場の向こうには、ヨーロッパらしい独特の黄色い街灯の光に包まれた素敵な街並が待っています。

僕は、ヨーロッパの街並が好きです。建造から数百年を経た歴史ある建物の間を、「日常」がごく当たり前に過ぎていく。日本では、京都がそれに近い感じだろうか・・・ヨーロッパでは行く先々の町で、日常と非日常が同居しているような不思議な感覚にとらわれる。スナップ撮影で僕が大切にしている「日常の中の非日常の発見」が、そこかしこにあるのだ。

 

ロケの心得「なるべく早く初めのシャッターを切る」

僕には、ロケに出るたびに心がけていることがあります。それは、「なるべく早く初めのシャッターを切る」ということなんです。 海外ロケの場合、長時間の移動、出入国、レンタカーの受け渡し、慣れない海外での運転、時差含みのスケジュール、天候の心配などなど、撮影以外で煩わされることが多く、メンタル的に落ち着かない気分が続きます。そして、そういう間はなかなか戦闘モ-ドに入れず、「あ!いい!」という瞬間を見逃してしまっていることも・・・。

それを打破するためには僕の場合、とにかく「撮り始めてしまうこと」で、一旦すべてを撮影に集中させる。せっかくの海外ロケ、そうしょっちゅう行けるわけでもない。ならば、一枚でも多く自分の写真を撮影したい。ですので色々やらなければならないことはあるけれど、それはさて置き「初めのシャッターを切って」とにかく撮影をスタートさせてしまうのです。

そんな思いもありつつ今回は、フランクフルト中央駅の駅舎でスナップ開始と相成った。

さぁ!ドイツロケの始まりだ!

 

ある程度肩慣らしも進んだところで、こんな素敵なシーンに出会いました。

ICE、日本でいえば新幹線のような長距離列車のホームで、再会を喜ぶ二人。どの国で出会っても、「ふたり・・・」のシーンには唯一無二のドラマがある。

・・・というのは、勝手な想像。実はこの一枚、僕がICEを撮影していたところへ、二人が進んで画角に入りディレクションしてくれた一枚なんです。

ちなみに、撮影し始めてすぐに気が付いたことなのですが、opera50mmはシャープネスが高く、絞りの反応も良いため、スナップの画作りがしやすいな・・・と思いました。この画は、発表を前提にしていたため、プライバシーを考慮してピントを列車ICEに置き、テーマを「ICEが運ぶ二人の想い」とした。また、抱き合う「ふたり・・・」は、ボケ過ぎないように絞りF4である程度の形を残し、ICEが二人を見守るようなシーンにしました。

絞りのレスポンスが良いと、こういった意図を画に反映させることも楽にできます。

ロケの醍醐味の一つ「出会い」がそこにありました。ドイツ語の出来ない僕は、片言の英語で二人にお礼を伝えると、はじける様な笑顔で応えてくれた。

今回のロケ、素敵な写真がたくさん撮れそうな気がする。さぁ!明日も頑張ろう!

次回は、「トキナーレンズで撮影旅行 ドイツ編 #02世界遺産の街ゴスラーで撮影」です。