2023年の天文情報

2023年の天文情報

今年は、初夏にかけて夕方の西の空に惑星が集まりにぎやかになります。6月にはプレセペ星団の中を火星と金星が続けて通過していきます。8月に土星、11月に木星と天王星が衝の位置にきて見やすくなります。
流星群は夏以降に出現数の多い群が月あかりの影響を受けず好条件で観測することができます。4月のこと座流星群、8月のペルセウス座流星群、10月のオリオン座流星群、11月のしし座流星群、12月のふたご座流星群は条件が最良です。
今年も双眼鏡や天体望遠鏡で天体観測を楽しみましょう!!

2023年1月の主な天文現象

  • 1月1日夕方の空に全惑星と月が並ぶ

    夕方の空で西から水星(1.4等)、金星(-3.9等)、土星(0.8等)、海王星(7.9等)、木星(-2.2等)、月(月齢9、-12.2等)、天王星(5.6等)、火星(-1.2等)と一直線に並びます。

  • 1月4日しぶんぎ座流星群極大

    今年の極大は4日12時頃と予想されます。3大流星群の一つで出現数は期待できるのですが、極大が昼間であるということと、月齢11.8の月が夜空を明るくしているため今年は出現の期待が持てません。

  • 1月23日金星と土星が大接近 月も接近

    22日~23日日没後の西の低空で、金星と土星が接近します。最接近は23日07時12分頃で約0.4°と月の直径くらい接近しますが、この時間は日本からは観測できません。日本では夕方の空に約0.6°くらいまで接近している様子が観測できるでしょう。双眼鏡や天体望遠鏡で観測してみましょう。

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2023年2月の主な天文現象

  • 2月2日C/2022 E3 ZTF彗星が地球に接近

    ZTF彗星は、2022年3月に発見された彗星で、2023年1月13日にもっとも太陽に近づきます。明るさは、約5等と予想されています。2月2日には地球に近づきますが、その頃は上弦を過ぎた月があるので肉眼で見るのは厳しいかもしれません。北極星の近くを通過するため一晩中沈みません。

  • 2月6日ミニマムーン

    2月6日の満月は視直径29.4′(距離40.583万㎞)で、2023年で最も小さな満月となります。対照的に8月31日の満月は視直径33.4′(距離35.734万㎞)で、2023年で最も大きく見える満月となります。
    ミニマムーンとは天文用語ではなく占星術等で、その年の最も小さな満月を指すようです。

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2023年3月の主な天文現象

  • 3月2日金星と木星が大接近

    日没後の西の低空で、金星と木星が接近します。最接近は2日14時06分で0.5°と月の直径程度まで接近します。金星も木星も明るいのですぐに見つけることができるでしょう。天体望遠鏡でその接近している姿を見ることができます。

  • 3月24日月と金星が大接近 九州南部~南西諸島では金星食

    月齢2.8の細い月と金星が日没後の西の低空で接近します。九州南部から南西諸島では月の暗縁から金星の潜入が見られる金星食となります。

  • 3月10日~30日頃このころ夕方の西空は賑やか

    夕方の西の空に木星、金星、天王星、火星と4つの惑星とアルデバラン、カペラ、ベテルギウス、リゲルなど冬の1等星が揃い夕方の西の空を賑やかに演出するでしょう。25日頃からはそこに月も加わり、さらに賑やかになります。

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2023年4月の主な天文現象

  • 4月12日水星が東方最大離角

    水星が太陽の東側へ19°29′離れて東方最大離角となります。夕方、西の低空ですが2023年では最も高度(日没時の高度が約20°)があり見つけやすいでしょう。双眼鏡や望遠鏡を使って見ると、欠けた姿も見られるでしょう。

  • 4月20日部分日食 (本州南岸、沖縄、小笠原のみ)

    14時30分頃を中心に、熊本-千葉を結ぶ線以南で部分日食が見られます。日本付近は部分日食の北限界線付近にあたるため、部分日食が見られる地域でもわずかに欠ける程度です。
    次に日本で日食が見られるのは2030年6月1日となります。その時は北海道には金環日食帯が通ります。

  • 4月23日4月こと座流星群が極大

    23日7時頃 こと座の一等星ベガの近くに放射点のある『4月こと座流星群』が極大となります。月も早い時間に沈んでしまうので、一晩中暗夜で観測ができます。暗い場所だと1時間に10個程度見られることもあります。

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2023年6月の主な天文現象

  • 6月2日~3日火星(1.6等)がプレセペ星団を通過

    2日~3日にかけて、日没の西の空で火星がプレセペ星団の中を通過します。地平線からの高度はさほど高くなりませんが。7倍50ミリクラスの双眼鏡で容易に観測できます。天体望遠鏡でも低倍率から楽しむことができます。珍しい現象ですので、是非ご覧ください。

  • 6月4日金星が東方最大離角

    夕方の一番星として輝いている金星がかに座で太陽から最も東に離れ(約45°)東方最大離角となります。このころの金星は天体望遠鏡で見ると半月状になっているのがわかります。7月7日の最大光度に向けてどんどん大きく細くなっていく様子が天体望遠鏡で楽しむことができます。

  • 6月12日~15日金星(-4.5等)がプレセペ星団を通過

    6月2日~3日にかけて火星がプレセペ星団の中を通過しましたが、今度は金星がプレセペ星団の中を通過していきます。金星は明るいので簡単に探すことができます。7倍50ミリクラスの双眼鏡で容易に観測できます。天体望遠鏡でも低倍率から楽しむことができます。

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2023年8月の主な天文現象

  • 8月1日~7日スターウイーク

    毎年8月1日~7日は、星空に親しむ週間として「スターウイーク」と呼ばれています。8月の最初の一週間は梅雨もすっかり明けて晴れることが期待できます。この期間に星空を楽しんでは如何でしょうか。

  • 8月12日~14日ペルセウス座流星群極大 暗夜のため条件最良

    13日17時頃ペルセウス座流星群が極大になると予想されています。月が夜明けごろまで出てきませんので、明け方まで暗夜の好条件で観測ができるでしょう。13日未明 極大前と13日の薄明終了後~14日の未明にかけて極大後の出現、どちらもが期待できます。 ペルセウス座流星群には、明るく痕を残す流星が多く、特に夜半過ぎに出現数が多くなる傾向があります。

  • 8月22日伝統的七夕

    明治6年に暦が変わり現在の『太陽暦』となりましたが、それまでは『太陰太陽暦』が使われていました。伝統的七夕とはそれまで行われていた日の七夕を指す日で『太陰太陽暦の7月7日に相当する日』となります。この日は月齢6の月があり、この月が天の川の渡し船に見立てられていました。7月7日であればほとんどの地方は梅雨の真っ最中ですからこちらの方が七夕にはふさわしいかもしれませんね。(太陽太陰暦で二十四節季の処暑の直前の新月を七月一日と定めています。七夕はそこから六日後の七月七日となります。)

  • 8月27日土星が衝

    土星がみずがめ座で、「衝」となります。「衝」とは外惑星が最も地球に近づき、明るくなる(光度0.3等)時期です。土星の環はそろそろ閉じてきていますので、小口径の望遠鏡では環がかなり薄く見えるでしょう。この時期は絶好の観望好期となりますので、シーイングの良い日を選んで観察してみてください。

  • 8月31日スーパームーン

    8月31日の満月は視直径33.4′(距離35.734万㎞)で、2023年で最も大きく見える満月となります。スーパームーンとは天文用語ではなく占星術等で、その年最も大きく見える満月を指すようです。

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2023年9月の主な天文現象

  • 9月9日~10日ペルセウス座ε流星群極大

    8月のペルセウス座流星群とは別の流星群ですが、2008年と2013年に突発的に出現を見せた流星群です。今年も突発出現する可能性があり、月明かりもないので注目してみたい流星群です。10日の朝に極大があるため9日の深夜から10日の未明にかけての出現に期待しましょう。

  • 9月19日金星が最大光度

    明け方の東の空で金星が最大光度(-4.8等)で輝きます。

  • 9月21日アンタレスの食

    アンタレスの食とは、月がアンタレスを隠す現象です。今回のアンタレスの食は夕方の早い時間帯に起こります。東京の場合、潜入は17時26分頃ですが、日の入りが17時40分ですので天体望遠鏡を使わないと観測は難しいです。出現するのは、東京では18時51分ごろで空もだいぶ暗くなっていますので、出現時のほうが見やすいでしょう。

  • 9月29日中秋の名月

    旧暦の8月15日の月を「中秋の名月」と呼んでいますが、今年の中秋の名月は9月29日です。中秋の名月は必ずしも満月とは限りませんが、今年は去年に続き満月となりますので、まんまるのお月様でお月見ができます。

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2023年10月の主な天文現象

  • 10月8日~9日10月りゅう座流星群極大

    9日午前3時頃に極大を迎えると予想されます。月は夜半を過ぎて午前1時頃に昇ってきます。出現数は空の暗いところでも数個程度と予想されますが、この群の特徴は突発的に出現することがあるため目が離せません。月が昇ってくるまでが観測の好機となります。

  • 10月14日南北アメリカ大陸で金環日食

    日本では見られない

  • 10月22日オリオン座流星群極大

    22日9時頃オリオン座流星群が極大になると予想されます。オリオン座は10月下旬ともなると夜更けに空高く上るので観測しやすいでしょう。21日の夜22時頃に月が沈み、その後オリオン座が東の地平線から昇ってきます。月が沈んでから明け方までが観測のチャンスです。空の暗いところへ行くと、1時間に20個程度見ることができるでしょう。母彗星はハレー彗星です。

  • 10月24日金星が西方最大離角

    明けの明星として輝いている金星がしし座で、太陽から最も西に離れ(約46°)西方最大離角となります。この頃の金星は天体望遠鏡で見ると半月状になっているのがわかります。

  • 10月29日部分月食

    未明から明け方にかけて全国で月がわずかに欠ける部分月食が見られます。今回の月食は月が本影の北側をわずかに入り込むのみで、食分は最大時でも0.12と軽微です。

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2023年11月の主な天文現象

  • 11月上旬おうし座流星群極大

    おうし座南流星群が2日、おうし座北流星群が12日頃極大になると予想されます。 2日は満月過ぎの大きな月がありますが、12日は新月に近いため月明かりもなく観測することができます。時として大火球が出ることもありますので観測してみてください。

  • 11月3日木星が衝

    木星がおひつじ座で「衝」となります。「衝」とは外惑星がもっとも地球に近づき、明るくなる時期です(光度-2.8等)。南中高度が年ごとに高くなっておりシーイングの影響も少ないので、口径の小さな望遠鏡でも表面の縞模様が見やすくなってきています。 木星は約10時間で自転しているので、時間をおいて見ると模様の変化がわかるでしょう。また木星には4つの大きな衛星(月)があり、毎日位置が変化しますのでその様子を観測するのも面白いでしょう。 絶好の観望好期となりますので、シーイングの良い日を選んで双眼鏡や望遠鏡を使って観察してみてください。

  • 11月14日天王星が衝

    天王星がおひつじ座で「衝」となります。5.6等の明るさがあり視直径は3.7″となります。天王星は太陽からかなり離れた場所にあるため、その位置は毎年大きな動きはありません。町明かりのない暗い場所で、肉眼で探してみてください。天体望遠鏡で見ると他の星とは違い青緑色に見えます。

  • 11月18日しし座流星群極大

    18日14時頃、しし座流星群が極大になると予想されます。極大が著しく短く、短時間に多くの出現をする流星群です。夕方のうちに月が沈みますので、月明かりのない好条件で一晩中観測できるでしょう。母彗星は55P/テンベル・タットル彗星です。

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2023年12月の主な天文現象

  • 12月9日ハレー彗星が遠日点を通過

    ハレー彗星が太陽から一番離れた地点(35.143465天文単位)を通過。2061年の回帰に向けて太陽に近づいてきます。

  • 12月14日~15日ふたご座流星群極大

    極大予報時に放射点が天頂付近に来るため絶好の観測条件

    15日2時頃ふたご座流星群が極大を迎えると予想されています。月齢が2のため夕方には月が沈んでしまいますので、ほぼ一晩中月明かりの影響がなく観測できます。放射点高度も夜更けにはほぼ頭上に達しますので、1時間当たり100個近い流星を観測することも可能かもしれません。また火球めいた明るい流星も観測することができるかもしれません。極大前後の夜にもある程度の出現が期待できますので13日の夜から16日の明け方まで好条件で観測できます。

  • 12月23日こぐま座流星群極大

    23日13時頃極大を迎えると予想されています。この日は上限過ぎの明るい月があるため条件はよくありません。

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