流星群の撮り方・観測方法

夜空を眺めていると、時折すうっと天空に糸を引いたように流れ星が流れるのを見たことがある方は多いと思います。目で見て感動を与えてくれるのですから、写真に撮って残しておきたいと思っている方も多いのではないでしょうか?

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ところが、ほとんどの流れ星は一瞬で消えてしまうため、なかなか写ってはくれません。また流れ星はいつどこに出現するのかわからないので、流れ星の撮影は運に頼るしかありません。
どんな高価で性能の良いカメラで撮ろうと安価なカメラで撮ろうと、そこに流れ星が出現してくれなければ写すことはできません。

新聞やニュースで取り上げられる明るい火球の映像は、性能の良いカメラではなく、どれも価格的にはコンパクトデジカメなどの比較的安価なドライブレコーダーなどで撮られたものが多いです。

簡単に言うと流れ星の撮影にチャレンジするには、条件を満たしてさえいれば、スマートフォンやコンパクトデジタルカメラでも可能なのです。フィルムの時代と比べて、デジタルになってからは星の写り方が非常に良くなったため、多くの方が写真撮影での成果を上げています。

今の機材でちょっと買い足しするくらいでも撮影は可能です。一度チャレンジしてみてください。

流れ星とは

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流れ星とは、夜空を見ているときに時折すうっと天空に糸を引いたように流れて、一瞬で消えていくもので、その正体は宇宙空間を漂う塵や氷のかけらが地球の大気との摩擦によって輝いて見えるものです。

その塵や氷のかけらの殆どは彗星のまき散らしたダストで、流れ星とは元々は彗星の一部だったと考えられています。

彗星は、太陽から約2光年離れたオールトの雲と呼ばれる場所から、太陽や惑星の引力に引かれ、太陽の方向に向かってきたと考えられています。

太陽の引力に捕らえられ、太陽のまわりを回るようになったものが「周期彗星」と呼ばれ、ほぼ一定の期間に太陽のまわりを一周します。また、周期彗星にならなかったものは、太陽の近くで太陽の引力の影響を受けて軌道を変えられ、太陽系のはるかかなたまで行ってしまいます。

彗星の構造

彗星は、太陽の近くに来ると太陽の熱で表面が蒸発を始め『コマ』が形成されます。
更に近づくと太陽風の影響が大きくなり『尾』が出てきます。彗星自体は汚れた雪だるまみたいなものですから、『尾』の中には氷や塵がたくさん含まれています。その氷や塵が彗星の軌道上にばらまかれ、その軌道に地球がさしかかったときにその氷や塵が地球の引力に引かれて、ものすごいスピードで地球の大気に突入し大気との摩擦によって光って見えるのです。

特に明るいものは(金星の明るさ以上)「火球」と呼ばれていますが、その元の大きさは角砂糖くらいしかありません。
更に明るいものを『大火球』と呼んでいるのですが、その多くは宇宙空間に漂っている岩石や小惑星のかけらとかが地球の引力に引かれて大気圏で激しく明るくなるものです。(一部デブリと呼ばれる人工的なものもあります)
稀に岩石や小惑星のかけらが地球の表面まで到達するものがあるのですが、それらは「隕石」と呼ばれています。なので『隕石や大火球』と呼ばれるものと『流れ星』と呼ばれるものはだいたい別物なのです。

流れ星はいつ多く出現する?

流れ星の撮影は偶然性を狙ってはいますが、やはり多く出現するときが、写る確率が上がります。
流れ星は「〇〇座流星群」と言われる流星群が活動しているときに多く出現します。特に極大と言われている時間帯に多く流れ星が出現しますので、その時が一番の狙い目です。
その中でも3大流星群と呼ばれる流星群、しぶんぎ座流星群(極大1月3日~4日頃)、ペルセウス座流星群(極大8月12~13日頃)、ふたご座流星群(極大12月12日~13日頃)は極大時の出現数も多いので一番の狙い時かと思います。

★2024年の主な流星群

流星群 出現期間 極大日 条件
みずがめ座η流星群 2024.04/25~5/20 2024.05/06
5月1日 5月2日 5月3日 5月4日 5月5日 5月6日 5月7日 5月8日
22.7(月齢) 23.7 24.7 25.7 26.7 27.7 28.7 0.4
0:38 1:18 1:52 2:22 2:51 3:19 3:49 4:22
10:26 11:38 12:49 14:00 15:11 16:23 17:36 18:51
流星群 出現期間 極大日 条件
ペルセウス座流星群 2024.7/17~8/24 2024.08/12~08/13
8月9日 8月10日 8月11日 8月12日 8月13日 8月14日 8月15日 8月16日
5(月齢) 6 7 8 9 10 11 12
09:05 10:01 10:59 11:59 13:01 14:05 15:08 16:08
20:57 21:19 21:44 22:13 22:48 23:30 - 0:23
流星群 出現期間 極大日 条件
おうし座南流星群 2024.10/2~11/7 2024.11/06
11月1日 11月2日 11月3日 11月4日 11月5日 11月6日 11月7日 11月8日
29.7(月齢) 1 2 3 4 5 6 7
5:35 6:34 7:36 8:37 9:38 10:34 11:25 12:08
16:21 16:50 17:24 18:05 18:53 19:50 20:54 22:01

東京を基準に月の出る時間と入り時間を計算しています。
出入りに関しまして、月出が観測に関係ない場合、月が出てそのまま月没しない場合には「 --/-- --:-- 」になっています。

流星群はどの方向に多く出現する?

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「○○座流星群」とは言え、〇〇座に流れ星が多く出現するわけではありません。流れ星は夜空の1点から放射状に出現するように見えるため、その放射点付近の星座名をとって「〇〇座流星群」と呼んでいます。

流れ星が流れた後、逆方向にたどっていくとだいたいその星座(放射点)にたどり着くといった具合です。

放射点近くではどちらかといえば経路が短く、放射点より離れるほど経路が長いものが見られる傾向にあります。
流れ星は全天どこを見ていても見ることができますので夜空全体を見渡せる場所を選ぶと良いでしょう。
撮影の合間に観測する場合は、広範囲な空が見えるため地面に寝転んでみるのが一番のお勧めです。

どういった場所で撮影するといいの?

星を写すのですから、空の暗い所、なるべく町明かり(光害)の少ない郊外で人に迷惑を掛けないところを探しましょう。空が明るいと、暗い星は見えなくなります。流れ星も同じように見えなくなってしまうからです。
また、露出をするときにカブリと言って空が白っぽく写って暗い星が消えてしまいます。

空の暗い所では周りに注意して(穴やくぼ地)、野生動物(キツネ、タヌキ、鹿、イタチ、熊、へび)などにも注意しましょう。
また、なるべく平らで水平と思われるところに三脚を設定します。ガタガタしたり三脚が沈みこんだりしないように注意します。

撮影してみよう!【初級編】

流れ星の写真撮影について難しいと思われる方が多いと思いますが、流れ星をとらえることが難しいのであって撮影方法はいたってシンプルなものから始められます。
機材は、レンズのついたカメラと三脚、レリーズなどがあれば始めることができます。
ここでいうカメラとは一眼レフとは限らず、条件さえ合えばスマートフォンやコンパクトデジタルカメラでも撮影は可能です。お持ちのアイテムを使って撮影してみましょう!

必要なもの(機材)

デジタルカメラ

スマートフォン
もしくはデジタルカメラ

ピント合わせがマニュアル設定でき、露出もマニュアル設定できるもの。

三脚

三脚

スマートフォンやカメラがしっかりと固定できる三脚。

レリーズ

レリーズ

コンパクトデジカメであれば、シャッターを切るためについているリモコンが有効です。スマートフォンの場合、BluetoothやWiFI機能でシャッターを切ることのできるものもあります。

撮影方法

  1. スマートフォン若しくはデジタルカメラのピントや露出をマニュアルに切り替えます。

    ISO感度は16003200に設定、シャッタースピードはとりあえず15~30秒露出で設定します。
    スマートフォンはシャッタースピードの設定のできるアプリもありますので探してみると良いでしょう。
    これだけあれば最低限撮影はできます。
    絞りのあるデジタルカメラの場合は、絞りは開放にします。

  2. ピントは∞(無限遠)に合わせておきます。

    ピントがわかりづらいようであれば明るい星や遠くの街灯(1㎞以上離れている)で、ピント合わせをしても大丈夫です。

  3. スマートフォンやカメラを三脚に載せてしっかりと固定します。

  4. とりあえず一度撮影してみましょう。

    この時、空が明るすぎて写るようであればシャッタースピードを短くしたり、ISO感度を下げたりします。

  5. もう一度撮影してみましょう。

    星がきれいに撮れているようでしたら、撮影を開始します。

  6. 撮影が終わるごとに次のシャッターを切り、この動作を繰り返します。

    シャッターを切る際は、シャッターを指で押してしまうと手ブレが生じてしまうため、セルフタイマーで撮影するか、レリーズを使用して撮影をするとよいでしょう。

撮影してみよう!【中級編~上級編】

必要なもの(機材)

カメラ

カメラ

デジタルカメラで、液晶でピント合わせがしやすいライブビューのついたものが良いでしょう。ピントは無限遠ではありますが、きちんとピントを合わせておくためです。
ISO感度は1600~3200程度あればよいかと思います。
感度を上げすぎるとノイズが多くなったり画質が悪くなったりします。

レンズ

レンズ

レンズは広角でF値の明るいものが良いでしょう。
焦点距離が35㎜換算で15㎜~35㎜程度のものが使いやすいと思います。
近年ではF2.8通しの広角ズームレンズもありますので、それらも良いでしょう。
焦点距離が長いレンズで撮影すると流れ星の写る範囲が狭くなりなかなか写らなかったり、途中で流れ星が切れてしまいます。
明るさとしては、開放F値がF2.8くらい欲しいところです。

三脚

三脚

三脚は露出時間が数十秒〜数分となるため、なるべくがっちりしたものが良いでしょう。
カーボンなどの軽めの三脚の場合は、ストーンバッグなどで調整してあげるとよいでしょう。

レリーズ

レリーズ

直接カメラのシャッターを触ることによってブレが生じますので必ずレリーズを使用しましょう。インターバル撮影ができるカメラであれば、複数回の撮影が一度の操作でできますので便利です。

あったら便利なもの

赤道儀

コンパクト赤道儀ポータブル赤道儀

コンパクト赤道儀やポータブル赤道儀は、地球の動きに合わせて星を追尾してくれる機械です。設定が必要にはなりますが、星が点に写りますので撮影後合成して1枚の写真にたくさんの流れ星を映し出すこともできますし、流れ星がどこを流れたのかがわかります。

予備バッテリー

予備バッテリーは、長時間の撮影でバッテリーの消耗が昼間の通常の撮影に比べて著しく激しくなります。
バッテリーの消耗により撮影が続けられなくなることもありますので、是非用意しておきたいものです。
バッテリーは予備も含めて撮影前にフルに充電しておくことをおすすめします。

レンズヒーター

レンズヒーターは、夜間冷えてきたときにレンズの前面が結露するのを防ぎます。
結露が始まると写りが極端に悪くなり一度結露するとそれを拭き取ってもすぐにまた結露しやすくなります。
暗い所では、結露を拭き取るためにレンズを傷つけたりする可能性がありますので、是非用意しておきたいものです。

赤いセロハンで覆った懐中電灯

暗い所で何かを探したり、カメラの設定を確認するときに使います。
赤い光は人間の目に光が入ったときに瞳孔が小さくなるのを防ぐ役割があります。
普通の光だと瞳孔が小さくなってしまい、懐中電灯を消したときに夜空に目が慣れるまでに時間がかかってしまうからです。
赤い光は目に刺激があるためなるべく短い時間で使用しましょう。また、目には直接光が入らないようにしましょう。

撮影方法

  1. カメラの設定を行い、設置します。

    カメラの感度設定や露出設定、ピントがマニュアルになっているかを確認して、レンズ、レリーズを取り付け、三脚に取り付けします。ホワイトバランスは、「オート」ではなく「昼色蛍光灯」の設定にすると夜空の色が締まって見えるのでおすすめです。
    ピントがオートフォーカスになっていると、無限遠のピントがなかなか合わずレンズが焦点を合わせようとしてうごく場合があり、バッテリーの消耗も早くなりますので必ずマニュアルに設定してください。

  2. 構図を決める

    流星群の流れ星は、放射点を中心に放射状に出現するように見えますが、放射点を中心に撮影すると写ったとしても短いものばかりになりがちです。
    放射点からちょっと離れた場所や、放射点を隅のどこかに入れるといった構図が良いでしょう。
    例えば、ペルセウス座流星群では夏の天の川とかペガスス座を中心とした秋の星座などを入れても良いでしょう。
    ふたご座流星群では、冬の大三角とか星の配置にもこだわりたいものです。
    その際にも放射点の方向を意識しましょう。

  3. ピントを合わせる

    構図が決まりましたら、カメラの後ろ側の液晶モニターでピントを合わせます。
    モニターの中の比較的明るい星で、拡大して見るとピントが合わせやすいと思います。
    星が一番小さくなったところが合焦の位置です。

  4. 露出の設定、調整を行います。

    絞りは軽く絞ったほうが周辺の画質が良くなるので、半絞りくらい絞るか、開放にします。
    例えば、ISO3200で30秒露出した場合、画面上でのカブリが少なければ、その露出で撮影してみてください。
    カブリが大きいときは、露出を15秒にするとかISOを1600に変更してみてください。
    まずは、ISO3200、露出を30秒にして撮影してみて、適正露出を探してください。

  5. 設定が決まりましたら繰り返し撮影します。

    赤道儀を使用しないで撮影する場合は、露出時間が長くなると星が線状(実際には弧を描きます)に動いて写ります。
    レンズの焦点距離によって、星が点にうつってくれる露出時間は変わってきます。
    焦点距離が短くなればなるほど点に写ってくれる時間が長くなります。
    インターバル撮影ができるカメラであれば、カメラの設定画面から撮影回数を入力すると、設定された露出で設定された回数の撮影を自動的に行ってくれますので、大変便利です。
    インターバルタイマーの設定については、カメラの機種によって異なりますのでカメラの説明書をよく読んだうえで設定してください。

赤道儀を使った撮影方法

赤道儀は、星の日周運動に合わせて回転しますので、星を点に写すことができます。また、画像処理や合成をするときにも大変便利です。

  1. まずは赤道儀の極軸を地球の極軸に合わせます。

    がっちりした三脚にコンパクト赤道儀又はポータブル赤道儀を取り付けます。(専用の三脚ががっちりしていてお勧めです。)
    赤道儀の極軸を北に向けて、極軸望遠鏡に北極星を入れてセッティングします。北半球の場合、極軸の延長線近くに北極星がありますので、比較的簡単に合わせることができます。

  2. カメラは赤道儀が動かないように写したい方向に向けてセットします。

  3. 撮影を開始します。

    カメラの構図が写したい方向に向いているか確認し、撮影を開始します。カメラの設定等は、前に述べた「撮影方法」を参照してください。

コンポジットについて

コンポジットとは、重ねるとか合成するとかいう意味で、簡単に言いますと同一写野で撮られた画像を重ねていきます。流れ星が3コマに1個ずつ写っていたら1コマに3個写っているようにするための処理です。そのためには、コンポジットをするためのソフトが必要となります。画像はRAWでもJPEG使用できます。
ただし、赤道儀に載せたカメラで撮影した写真でなければなりません。

固定撮影の場合は(この場合はコンポジットではなく比較明合成という処理になります)星が日周運動で弧を描いているように写ります。
同じ流星群の流れ星でも一点の放射点から出ているようには写りません。(放射点も日周運動をしているためです)

  1. 画像を重ねてコンポジットする。

    ノイズが減って写真がきれいになり、画質が滑らかになります。

  2. 流れ星が多く流れたように写る。

    流れ星が写っているコマを重ねて行くと一コマに多数の流れ星が写っているような画像が出来上がります。
    同一流星群の場合、放射点の方向がわかりやすくなります。

  3. 専用の画像処理ソフトが必要となります。

    フォトショップやステライメージといった一般的に手に入りやすいものがお勧めです。

3大流星群について

流星群の中でも出現数の多い3つの流星群3大流星群と呼んでいます。
1月の「しぶんぎ座流星群」、8月の「ペルセウス座流星群」、12月の「ふたご座流星群」です。どの群も毎年コンスタントに出現してくれる流星群です。

しぶんぎ座流星群

しぶんぎ座流星群」は毎年出現数がさほど変わりません。
しかしながら極大時間が短く、短時間に集中して出現します。
夜半から夜明けにかけての極大であれはたくさんの流れ星を見ることができます。

ペルセウス座流星群

ペルセウス座流星群」は、有名度ではナンバーワンで、暖かな夏休みの最中に極大となります。
極端な大出現はしませんが、火球も出て夏の夜空を華やかにしてくれます。

ふたご座流星群

ふたご座流星群」は出現数ではナンバーワンです。
毎年コンスタントな出現を見せてくれますし、数が多いだけではなく極大時間も長時間続きますのでたくさんの流れ星を楽しむことができます。

これら3つの流星群が3大流星群と呼ばれています。

日本で見ることのできる主な流星群

流星群は、現在国際天文連合(IAU)で確定されているものは95あります。
日本で観測できてある程度の出現が見込める流星群を表にしました。出現期間、極大日、出現数についてはその年によって変わります。

流星群 出現期間 極大日 出現数 極大時の太陽黄経(°) 流星の形状 母天体
しぶんぎ座流星群 1/1~1/7 1/3~1/4 30~100 283.15 経路が長い マックホルツ―第一彗星?
4月こと座流星群 4/16~4/25 4/21~4/22 10 32.32 サッチャー彗星
みずがめ座η流星群 4/25~5/20 5/5~5/6 10~20 45.5 早い、痕を残す ハレー彗星
みずがめ座δ流星群 7/15~8/20 7/29~7/30 10 127 マックホルツ第一彗星?
やぎ座α流星群 7/10~8/25 7/29~7/30 3~5 127 遅い
ペルセウス座流星群 7/20~8/20 8/12~8/13 30~100 140 早い、痕を残す スイフト・タットル彗星
はくちょう座κ流星群 8/8~8/25 8/17~8/18 5 145 遅い 不明
りゅう座流星群 10/5~10/13 10/8~10/9 不明 195.4 ジャコビニ・ヂンナー彗星
オリオン座流星群 10/10~11/5 10/20~10/21 10~30 208 早い、痕を残す ハレー彗星
おうし座南流星群 10/15~11/30 11/3~11/5 5 223 遅い エンケ彗星
おうし座北流星群 10/15~11/30 11/11~11/13 3 230 遅い エンケ彗星
しし座流星群 11/5~11/25 11/12~11/13 10~? 235.27 早い、痕を残す テンペル・タットル彗星
ふたご座流星群 12/5~12/20 12/12~12/14 70~150 262.2 小惑星ファエトン
こぐま座流星群 12/18~12/24 12/22~12/23 3~5 270.7 遅い タットル彗星

※極大時の太陽黄経とは、極大時に地球から見た太陽の位置を表しています。逆を言えば太陽から見て地球の位置がこの位置に来た時に流星物質の一番濃い部分を通過しますよということです。
※母彗星(母天体)が若ければその周りに流れ星の基となる物質が集中して、そうでなければその軌道上に拡散されているため、毎年の出現数には変化があります。

  • 極大日:1/3~1/4しぶんぎ座流星群

    しぶんぎ座流星群

    年の初めに安定した出現を見せてくれる群です。
    母彗星が特定されていませんが、「マックホルツ第一彗星」という見方が強いようです。
    極大のピークが著しく、極大前後の2時間程度に集中して出現します。多い年には極大時に100個/時程度出現を見せてくれる年もありますが、ほぼ毎年30個/時以上の出現があるようです。
    どちらかというと経路が長いものが多く、写真にも写りやすいと思います。
    「しぶんぎ座」とは昔あった星座で現在は存在しません。
    放射点は「りゅう座ι星」の近くになります。

  • 極大日:4/21~4/224月こと座流星群

    4月こと座流星群

    この流星群は出現数も極大時で10個/時程度と多くなく、期待したほどの出現数はありませんが、時として火球を出現させるため、目が離せません。
    母彗星は「サッチャー彗星」です。

  • 極大日:5/5~5/6みずがめ座η流星群

    みずがめ座η流星群

    5月上旬のゴールデンウイーク頃に極大を迎えます。
    放射点が明け方近くに東の空から昇ってきますので日の出前の薄明が始まる前までの短時間が観測好期となります。例えば、東京だと放射点が地平線上に昇って来るのが午前1時頃で薄明(夜明け)が始まるのが午前3時頃です。そのため長経路の流れ星が多くなります。
    母彗星は「ハレー彗星」で対地速度が速く痕を残すものが多いです。
    北半球では夜の時間が短いのですが、南半球では夜が長くかなり活発な出現を見せます。

  • 極大日:7/29~7/30みずがめ座δ流星群

    みずがめ座δ流星群

    「黄道群」と言われ、黄道を挟んでたくさんの放射点を持っています。
    活動期間が長く極大もはっきりとしたものがありません。
    たくさんの放射点がこのあたりに点在していますので、それらの出現を併せて楽しめる群です。活動期間が重なる群が多数ありますので、それらの群と重複して観測できます。
    母彗星は「しぶんぎ座流星群」同様に「マックホルツ第一彗星」ではないかと言われていますが、まだ確定はしていません。

  • 極大日:7/29~7/30やぎ座α流星群

    やぎ座α流星群

    出現数こそ目を見張るものはありませんが、この群は時折大火球を見せてくれます。
    対地速度が遅いため活動期間が重なる他の群と比べて、はるかにゆっくりとした流れ星が特徴です。
    出現数が少ない割には写真には写りやすい群と言えます。
    母彗星は、「本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星」とも、「デニング・藤川彗星」ともいわれています。
    「みずがめ座δ流星群」や「ペルセウス座流星群」の観測(撮影)中によく観測(撮影)されている流星群です。

  • 極大日:8/12~8/13ペルセウス座流星群

    ペルセウス座流星群

    お盆休み頃に極大を迎えることから、キャンプ等で家族連れで観測される人気ナンバーワンの流星群です。
    母彗星は「スイフト・タットル彗星」で周期は133年と言われています。流星物質は母彗星の近くに多く、現在「スイフト・タットル彗星」は太陽から遠ざかっていますので、著しく多い出現は望めませんが、それでも毎年コンスタントな出現を見せてくれます
    極大まではだらだらと出現数が増え始め、極大後は急激に少なくなります。
    対地速度が速いため、明るい火球上の物も多く痕を残すものも多くなります。
    極大の3日くらい前からが出現数も上がってきて見える数も増えます。極大の翌日くらいまでは出現が多いようですが、その後は急速に出現数が減ります。
    暖かくて観測しやすいので、夏休みの定番流星群です。

  • 極大日:8/17~8/18はくちょう座κ流星群

    「ペルセウス座流星群」が極大を迎えるころから本格的に出現してきます。しかしながら出現数は多くなく、特に目立った特徴のある流星群ではありません。「ペルセウス座流星群」の活動期間と重なるので、一緒に観測できる流星群です。「ペルセウス座流星群」は対地速度が速いのですが、こちらは対照的にゆっくりと流れます

  • 極大日:10/8~10/9りゅう座流星群

    りゅう座流星群

    別名「ジャコビニ流星群」とも呼ばれています。
    母彗星は周期6.5年の「ジャコビニチンナー彗星」で、若くて軌道上にばらまかれている流星物質も母彗星のまわりに著しく集中しています。そのため、母彗星が回帰してその前後に地球がその軌道を横切ったときには大出現の可能性もあります。過去に何回も大出現かと騒がれたことがあります。
    極大時の出現時間も短時間に集中します。

  • 極大日:10/20~10/21オリオン座流星群

    オリオン座流星群

    母彗星が「ハレー彗星」で、5月の「みずがめ座η流星群」と兄弟流星群です。
    特徴は対地速度が速く、痕を残すものが多いです。
    出現数はその年により変わりますが、極大時で10個/時30個/時位です。
    秋の夜長にじっくりと腰を据えて観測できる流星群で、三大流星群の次に出現が期待できる流星群です。

  • 極大日:11/3~11/5おうし座南流星群

    極大日:11/11~11/13おうし座北流星群

    おうし座流星群

    みずがめ座δ流星群」と同様に、黄道を挟んで複数の放射点を持つ流星群です。南群の方が極大が早く、北群のほうが少し遅れて極大となります。
    母彗星は周期3.3年の「エンケ彗星」です。
    対地速度が遅く、ゆっくりと流れるのが特徴ですが、それゆえ時として特異な流れ星を見せてくれることがあります。遅いので、空気の層で角度が変わったりふたつに分裂したりと、時として面白い流れ星を見せてくれることがあります。
    また、時折大火球を見せてくれることもあります。

  • 極大日:11/12~11/13しし座流星群

    しし座流星群

    過去に何回も大出現を見せて何かと話題の多い流星群です。
    母彗星は「テンペル・タットル彗星」で、約33年で太陽のまわりを回っています。彗星としては若く、そのため本体から放出された流星物質は母彗星のまわりには濃く、離れていくにしたがって薄くなっています。彗星が回帰する前後には大出現を見せてくれています。
    近年では、1833年に北アメリカで1時間に5万個、1866年にヨーロッパで1時間に6000個、1966年にアメリカのアリゾナでは1秒間に40個(1時間に換算すると15万個)という大流星雨、大流星嵐となっています。そして、2001年には日本を含む東アジアで1時間に6000個もの大流星雨の出現が見られました。この、「テンペル・タットル彗星」は地球と交わる軌道傾斜角が大きいため、地球と正面衝突する形で対地速度は流星群中最速で、そのため火球や痕を残すものが多くなっています。
    近年は彗星が遠ざかっていますので、出現数も目を見張って多くなるようなことはありません。

  • 極大日:12/12~12/14ふたご座流星群

    ふたご座流星群

    母天体が唯一彗星ではなく、小惑星と認定されている流星群です。3大流星群の一つで出現数はダントツで一番です。
    母天体の「小惑星ファエトン」はその昔は彗星として太陽のまわりを回っていたのではないかと推測されています。彗星としてかなりの長い期間太陽のまわりを回り続けていたため、太陽の近くに来てもすでに蒸発して放出するようなものが無くなって彗星が小惑星化したのではと思われています。そのため、流れ星の基となる塵や氷の塊などはその軌道上にほぼ均一にばらまかれているのではないかと思われます。「ふたご座流星群」は毎年コンスタントに同じような出現を見せてくれていると思います。
    極大の2日くらい前から極大まではかなりの流れ星が出現し、極大後は急速に減少します。空の条件の良いところでは、1時間に100個以上の流れ星が見られることもあります。

  • 極大日:12/22~12/23こぐま座流星群

    こぐま座流星群

    年の締めくくりとして活動している流星群です。
    出現数は多くはありませんが、放射点が割と北極星の近くにあり一晩中沈まないため、いつでも観測できます。
    母彗星は「タットル彗星」でゆっくりと流れるのが特徴です。