【実写レビュー】見たままをそのまま切り取っていくSAMYANG AF 45mm F1.8 FE

萩原 和幸

萩原 和幸 (はぎわらかずゆき)

1969年静岡生まれ。
静岡大学人文学部法学科及び東京工芸大学写真技術科卒業。 写真家・故今井友一氏に師事。主に広告を中心にファッション撮影を学ぶ。独立後は広告・雑誌にて人物撮影で活動。カメラ専門誌にも寄稿多数。近著に写真集『記憶(モデル:藤江れいな)』(玄光社)、『プロが撮影で疎かにしない・ポートレート撮影の三原則』(秀和システム)、『ポートレート撮影レフ板ライティング完全マスター』(玄光社)など。(公社)日本写真家協会会員、静岡デザイン専門学校講師。

高コストパフォーマンスレンズを多くラインナップするサムヤン。私が実際に毎月1本ずつ撮影に持ち出し、萩原独自の評価と作例をお伝えしようというもの。

第2弾は、『AF45mmF1.8 FE』

AF45mmF1.8 FEは、Eマウント/フルサイズフォーマット対応の標準レンズだ。準広角となる35mmよりも歪みが少なく、50mmの画角よりもゆとりを持って被写体に向き合える画角が、この45mmになる。

本レンズの焦点距離である45mmは、サムヤンが提示する「最適な標準画角」が関係している。作品となる被写体全体を十分な視野に入れて観賞するための理想的な距離は、「作品フレームの対角線の長さ」程度の距離だそうだ。あまり近い距離で作品を鑑賞すると、人間の目が集中して被写体を認識できる視野角の50度よりも広くなり、作品を鑑賞するには適さない。

フルフレームセンサーの大きさは36×24mmで、その対角線の長さは約43.26mmであるため、焦点距離45mmが導き出されたそうだ。最適な視野角で鑑賞するために必要とされる理想的な距離が応用され、さらにはフランジバックの短いミラーレスカメラの特性に適した最新の光学設計から生まれた、新たな標準レンズと言えるだろう。

レンズ構成は6群7枚、ASPレンズとEDレンズを採用し、高い解像力と優れた光学性能を両立、ミラーレスに最適化した高性能設計が為されている。絞り羽根は9枚の円形絞り。

スタイリッシュな朱のラインが映える。重量はわずか162g

同梱のフードを装着した様子。小型を邪魔しないサイズで良い。

同梱のケースがピスタチオ型で可愛らしく、使いやすい。

今回はEマウントということで、ソニーα7RⅢで撮影を行った。 カメラにマッチし、とてもバランスは良く、非常に持ち出しやすい。

フードをつけても小型であることは全く変わらず。

では早速撮影に出掛ける。
今回はスナップ撮影。軽快に出かけるにはうってつけ。小さく軽いのでα7RⅢとのマッッチングはとても良く、撮影は快適だ。

SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f2.8 1/8000秒)+1.0補正 ISO160 WB:オート

ちょっと目にしたことを、そのまま誇張なく切り取るのに45mmは最適。


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f5.6 1/125秒)-2.3補正 ISO250 WB:オート


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f5.0 1/125秒)-0.3補正 ISO320 WB:オート


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.8 1/500秒)-0.3補正 ISO160 WB:オート

まだわずかに残る夏の日差しの眩しさを、足元から。


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.8 1/6400秒)-3.0補正 ISO160 WB:オート

まろやかなボケがどことなく物語感を醸し出すよう。F1.8のボケは、そんな新鮮さをあたえてくれる。


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f3.2 1/125秒)-2.0補正 ISO100 WB:オート

最短撮影距離で撮影。最短撮影距離は0.45m。程よい制限がかかり、被写体に対して客観視する間を上手に与えてくれる。


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f11 1/125秒)-2.7補正 ISO200 WB:オート


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f8 1/400秒)-3.0補正 ISO160 WB:オート


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f2.8 1/1600秒)-1.3補正 ISO160 WB:オート

AFは快適で静かだ。目に飛び込むシーンをストレートに捉えることができる。


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.8 1/500秒)-1.3補正 ISO160 WB:マニュアル

周辺光量落ちはやや多めだが、そのおかげでドラマチックさが演出されていい感じだ。


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f7.1 1/125秒)-1.3補正 ISO500 WB:オート

立体感溢れる描写が好印象。苔の一つ一つが写し出されている。


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.8 1/1250秒) ISO160 WB:マニュアル

とても柔らかな描写で、雰囲気を掻き立てる。


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f14 1/125秒)-2.0補正 ISO1250 WB:オート

パンフォーカスを狙い、門の奥までピントを合わせて迫力を出してみる。


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.8 1/8000秒)-2.7補正 ISO160 WB:オート

周辺光量落ちの、なんとも趣のある仕上がりに嬉しくなる。


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.8 1/6400秒)-0.3補正 ISO160 WB:オート

ふと空を見上げると雲が迫ってきていたので、シャッターを切ってみた。


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f4.0 1/60秒)-1.0補正 ISO200 WB:オート

柔らかい描写なので、このように古さを感じる風景では、どことなく温かみを感じさせてくれていい。


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.8 1/250秒)-2.0補正 ISO160 WB:オート


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f2.0 1/100秒)-1.7補正 ISO160 WB:オート


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f2.8 1/60秒)-1.0補正 ISO400 WB:オート

暗くなり始めてもF1.8の持つアドバンテージは撮影意欲を更に掻き立てていく。 わずかな光を求めてレンズを向けたくなる。


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.8 1/60秒)-1.0補正 ISO400 WB:オート 


SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.8 1/60秒)-1.0補正 ISO1000 WB:オート

9枚の円形絞りを採用しているので、点光源の丸ボケは綺麗だ。


SONY α7RⅢ f1.8 1/60秒 ISO3200 WB:オート

優しい描写ながらもシャープさはあるのがわかる。ボケは柔らかく、ピント面をまろやかに浮かび上がらせてくれる。


総評

撮影そのものは本当に快適だった。見たままをそのまま切り取っていくという表現がぴったりで、まさに自分がたどった足跡を、F1.8の大きなボケから、そのボケ感をコントロールしつつ"記憶"として記録していく...といった感じだ。

見たままで捉えるということは本当にストレスを感じない。広角にせよ望遠にせよ誇張があるだけに、それをどう活かしながら目の前の被写体を捉えるかが一つのプレッシャーとなるのだが、45mmという画角は、自分の"写真的視線"に対して素直でいられる画角だと思う。そういう意味では、「この旅はこのレンズ一本で」、という割り切りを大いに勧められる。

携帯性も抜群でコストパフォーマンスも良い。「標準系1本を」と考えた時に、35mmでは歪むし、50mmではやや窮屈だと思った時には、真っ先に候補にして良い1本だ。

 

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