私がクロスフィルターを使う理由 by Kenta Nakazato

初めまして。中里と申します。美しいと思う瞬間を日々映像や写真に残してSNSに投稿しています。
何気ない風景の中にある小さな光のきらめきを引き立ててくれるクロスフィルターが大好きで、気が付けばいつもレンズにつけたまま。
今回は、そんな私の撮影には欠かせない存在であるクロスフィルターについて、たっぷりと魅力をご紹介します!
クロスフィルターとの出会い
クロスフィルターと初めて出会ったのは、写真を始めて間もない頃のこと。夜景がキラキラと輝く写真を見て、「こんなふうに撮ってみたいな」と憧れてすぐにフィルターを購入しました。
でも、実際に夜の街を撮りに出かけてみても、思ったような写真にはならず......。うまく使いこなせないまま、いつしか出番がなくなっていきました。
そこから数年が経って存在すら忘れかけていた頃、SNSで目にとまったのがフォトグラファーyui.(@y__r__kp)さんの写真でした。シャボン玉やガラスの反射など、日常のワンシーンでキラリと光る輝きに「クロスフィルターって、夜景じゃなくても使えるのか!」と心をつかまれました。
見よう見まねで、朝の光の中でクロスフィルターを試してみたとき、ファインダー越しに映った景色が輝いて幻想的に見えました。
「クロスフィルターって、こんなに楽しいものだったんだ」と、そのとき初めて実感したんです。
それ以来、気がつけばすっかりその魅力に夢中になりました。

クロスフィルターを買ったばかりのときに撮った写真です。
夜景のように発光する被写体ではなく、太陽の光を反射する被写体を撮る楽しさを覚えた一枚です。
一瞬のきらめきを写す
ここからは作例をお見せしながら、どんな場面でどのように撮っているかをお話ししていきます。

この写真では、指輪の一点だけがキラリと光る瞬間を捉えました。
クロスフィルターは、光の入り方によって効果の出方が大きく変わります。角度がほんの少し違うだけで、クロスが出たり出なかったり。
この撮影では、モデルさんの手の角度によってはネイルの部分にも光が入り、そちらまでクロスしてしまうため、手の位置を少しずつ動かしてもらいながら、ひたすら高速連写。その中から、指輪だけが美しく光る一枚を選びました。
クロスフィルターは、偶然との出会いも楽しみのひとつ。被写体に動いてもらったり、自分が動いたりしつつ、連写で奇跡の一枚を狙ってみるのもおすすめです。

シャボン玉とクロスフィルターの相性は抜群です。もともと光を反射してキラキラしているシャボン玉ですが、クロスフィルターを通すことで、その輝きがさらに際立つんです。
こちらの写真は、子どもがシャボン玉で遊んでいる瞬間を撮影したもの。差し込む夕日の光とシャボン玉の動きが相まって、どこか非現実的で、幻想的な雰囲気になりました。

シャボン玉は風やタイミングによって動きが変わり、クロスの出方も一瞬一瞬で違ってきます。なので、こういったシーンではやっぱり連写が効果的。偶然のきらめきの中から、良い一枚が見つかるはずです。
なお、この写真はムーミンバレーパーク(埼玉県飯能市)で撮影しました。ムーミンバレーパークは毎年アンブレラのイベントを行なっていて、クロスフィルターを持って撮影に行くにはおすすめの場所。
2025年はムーミン80周年を祝う特別な「ムーミン谷とアンブレラ」を開催しています。約1,000本、全長200mの傘が織りなすアンブレラ回廊は、色彩豊かでとってもフォトジェニックなんです。



草花を撮るときにも、クロスフィルターは意外とよく合います。特に雨上がりや、霜がおりた朝などは、雫が太陽の光を受けて輝くのでおすすめのシーンです。

この写真は、水面に浮かんだ花びらと光の反射が重なって、ささやかなドラマを感じさせてくれました。
ただ、写真を見ていただくとわかるように、クロスフィルターを使うと玉ボケの中に線状の模様が入ります。これはアクセントとして面白いのですが、玉ボケが多くなると少し騒がしく感じられることも。
そんなときは、立ち位置や構える角度を変えて、クロスの入り方や背景のバランスを調整してみると良いと思います。
クロスフィルターは、動画で使っても楽しいです。この作品では、すべてのカットにクロスフィルターをつけたまま撮影しています。
ほんの少しカメラを振ったり被写体が動いたりするだけで、クロスが出たり消えたりするので、思いがけない瞬間に光がキラッと輝くのが面白いところ。
そんな偶然のきらめきが、映像の中でちょっとしたアクセントになってくれます。
使う時に心がけていること
クロスフィルターは様々な場面で使うことができて、自分が予想していなかった光のきらめきを捉えてくれることもあるので、どこに行く時も必ず持って行くようにしています。



意図的に使うことももちろんありますが、あえて付けっぱなしにして散歩してみて、偶然性を楽しむのも楽しいんです。
また、個人的にはクロスフィルターはオールドレンズと相性が良いと思っています。オールドレンズの曖昧な描写と組み合わせることでより非現実感のある、夢の中にいるような雰囲気に仕上がるからです。
1番のお気に入りのフィルター
私のお気に入りは、6本線が特徴的な「スノークロス」です。その名の通り雪の結晶のような形が好きで、クロスの長さや強さもちょうど良く、どんなシーンでも使いやすいので重宝しています。
クロスフィルターといっても様々な種類があるので最初に何を買えば良いか迷ってしまう方もいるかもしれません。そんなときは、まずは「スノークロス」を使ってみることをオススメします。



写真の楽しさを一つ増やしてくれた存在
これまでクロスフィルターの魅力についてお話してきましたが、いかがだったでしょうか。
私にとってクロスフィルターは、写真の楽しさをひとつ増やしてくれた存在。自分の気付かなかった小さな輝きを見つけた時や、狙ったところに光が重なった時のワクワク感・高揚感がたまらなくて、何度でも味わいたくなります。
この記事や写真を通して、少しでも使ってみたいと思って頂けたなら幸いです。
