小河俊哉 - トキナーレンズの高画質をより引き出すレタッチ技術

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AT-X 165 PRO DX

AT-X 165 PRO DX TOKINA AT-X165 PRO DXは、APS-Cフォーマットに対応した16mm~50mm(35mm換算 24mm~75mmに相当)の焦点距離を持つ標準ズームレンズである。
所謂、F2.8通しの標準ズームレンズであるが、この焦点域のレンズは各社力を入れてくるだけに、トキナーも複合非球面レンズを1枚、ガラスモールド非球面レンズ2枚を使い配置に工夫をしながらレンズの明るさを確保し、さらに高価なSDガラスを2枚も使い色収差の除去とキレのある描写に拘りを見せている。
こうした高級機は手に触れる部分の「操作感」も非常に重要な要素だ。

AT-X165 PRO DXのズームリングのトルク感は手になじむトルク感であり、またピントリングも指先の微妙な動きに反応してくれるスムーズな動きが感じられる。
もちろん一連のAT-X PROシリーズに採用されているワンタッチフォーカスクラッチ機構を装備しているためAFからMFへの変更もスムーズだ。
16mm~50mmという焦点距離をもつズームレンズは、「日ごろ良く使うレンズ」になることが多いだけにこうした手触りの部分はフォトグラファーにとって重要な要素なのだ。
AT-X165 PRO DXの作りは、トキナーらしい堅実かつ真面目な作りであり、レンズ職人が作るいぶし銀の一本という印象だ。

以下、作例をご覧頂ながら解説をしてゆきたいのであるが、僕の撮影方法は「頭に浮かんだイメージを再現する」撮り方を行っているため、作例には自分のイメージ通りに再現するための撮影、現像、レタッチを行った作例であることを先におことわりしておきたい。
また、作例解説には、そのTOKINA AT-X165 PRO DX(以下AT-X165とする)の特徴を生かした撮影方法と、レタッチの方法も合わせて解説してゆきたい。


 

Index

 

作例01網走の流氷と朝陽を撮る

焦点領域34mm(35mm判換算41mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/250秒、絞りF9、ISO200、WBオート、カメラD300


About

寒さ厳しい網走の早朝に撮影した一枚である。
水平線の向こうにうっすらと見える山並み、奥の海から岸壁に至る流氷、手前の林列車などがキチンと解像され一枚の写真となっている。
また、雲間からこぼれる朝陽の光、画面中央から画面下部の林までの淡いブルーのグラデーションも見事に再現されておりキンと冷えた冷気感も伝わってくる。
冬のふわりとした雲、相対して海から沿岸、手前林までのシャッキリとした画、AT-X 165 PRO DXの解像度の高さと高コントラストを証明していることがわかる一枚だ。

Retouch

この一枚のレタッチであるが、空の部分がしろ飛びし過ぎてしまうのを嫌い撮影時アンダー目に撮影し、現像時トーンカーブで空の部分に当たるハイライト部分を中心に全体の明るさを整え完成とした。

 

作例02雪の丘と満月を撮る

焦点領域28mm(35mm判換算42mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード25秒、絞りF8、ISO320、WBオート、カメラD300


About

満月の光は思いのほか強いのだが、月光の当たらない部分は往々にして暗く黒つぶれしてしまう。
こういったとき、レンズの持つ底力がものをいう。
開放F2.8の明るさを持つAT-X 165 PRO DXは、画面下部分の林を黒つぶれすることなく撮像素子にデータを送ってくれておりキチンと樹の枝を再現している。
また、満月の光を反射して色づくうす雲の僅かなグラデーションも忠実に再現してくれておりふんわりとした空気感さえも感じ取れる一枚になっている。

Retouch

この一枚のレタッチであるが、街明かりが反射し全体に色かぶりを起こしていたためカラーバランスを見た目近くに戻し完成とした。

 

作例03香港の街をスナップする

焦点領域16mm(35mm判換算24mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/250、絞りF5.6、ISO250、WBオート、カメラD300


About

AT-X 165 PRO DXの持つ焦点距離16mmから50mmは街歩きのスナップにも最適な焦点距離だ。 特に広角端16mmは、新旧入り乱れる今の中国を象徴するような香港の街を、広く余すことなく写しこむことが出来16mmスタートのありがたさを実感する。

 

焦点領域38mm(35mm判換算57mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/100、絞りF5.6、ISO250、WBオート、カメラD300


About

そして、16mmから50mmはスナップの醍醐味でもある「あ!」と思う瞬間にシャッターを切るといった、スナップの楽しさを損なうことなく撮影を楽しむことが出来る焦点距離でもある。 実際、筆者は撮影期間中このAT-X 165 PRO DXを積極的に使うことが多かった。

 

焦点領域36mm(35mm判換算54mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/500、絞りF8、ISO200、WBオート、カメラD300


About

ビクトリアピークで夕陽に照らされる恋人たちを撮影したのだが、こうした美しい瞬間もAT-X 165 PRO DXは高解像力を持って期待に応えてくれる。
画面中ほどと、下部ギリギリに配置した手すりの再現や夕陽の上にある雲の浅いグラデーションの再現はことのほか難しい。
しかし、AT-X 165 PRO DXはこうした再現の難しいものであっても情報をキチンと撮像素子に送り込んでくれている。
AT-X 165 PRO DXの実力の高さを如何なく発揮していることがわかる一枚だ。

Retouch

上から2枚のレタッチであるが、特に補正する部分は見当たらなかったため、そのままで完成とした。
最後の一枚であるが、撮ったときのイメージを大切にし、現像時ホワイトバランスを晴天日陰へ変更、その後トーンカーブでアンダー部分を下げ、ハイライト部を若干持ち上げ完成とした。

 

作例04ニュージーランド・ファカパパビレッジを撮る

原寸実写画像

焦点領域42mm(35mm判換算63mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/500、絞りF11、ISO200、WBオート、カメラD300


About

ニュージーランド北島、トンガリロ国立公園にあるワカパパビレッジからの眺めである。
AT-X 165 PRO DXはF11も絞り込めば確りとエッジが立ってくるレンズである。
画面下部の芝生からススキホテル山の岩肌、青空、雲と、ひとつひとつのファクターを確りと解像し積み重ねそれを全体としてみた結果、非常に奥行き間を感じる一枚になっている。 こうした真正面で受ける構図は、ともすれば平面的になってしまいがちだが、AT-X 165 PRO DXの持つ解像度とコントラストの高さで一味違った立体的な画に仕上がってくれている。

Retouch

この一枚のレタッチであるが、特に補正する部分は見当たらなかったのだが、隠し味程度コントラストを上げて完成とした。

 

作例05色抜けの良さ

焦点領域16mm(35mm判換算24mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/500、絞りF11、ISO200、WBオート、カメラD300


About

トキナーレンズ全般に言えることなのだが、トキナーレンズは青系の抜けの良さに定評がある。
AT-X 165 PRO DXもこの伝統を確りと受け継いでおり、晴れ渡った青空を写したときなど特にそれを実感する。
ニュージーランド北島にあるトンガリロ国立公園近くで撮影した青空であるが、画面右上部の深い青空から画面下部の明るめの青空の色再現は秀逸で、実に抜けの良い立体的な青空を再現してくれる。

 

焦点領域38mm(35mm判換算57mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/60、絞りF6.3、ISO400、WB曇天、カメラD300


About

逆に、赤系のグラデーション再現も見ておきたい。
ニュージーランドノースアイランド付近の砂浜で撮影した夕暮れ空である。
撮影期間中のニュージーランドでは、幾度も劇的な赤い夕暮れを見せてくれた。
AT-X 165 PRO DXは、赤系の色再現も素晴らしく、実に重厚で立体的な空を再現してくれた。
画面右上部から、画面左隅に向けての赤からオレンジへの変化、また赤く焼けてゆく空の姿を見事に再現している。
また、スケール感を出すために画面左下に配置した釣り人も、レンズの端ギリギリにもかかわらず確りと解像してくれている。
青系、赤系、双方の色再現に優れているということは、AT-X 165 PRO DXに設定されたカラーポイントがニュートラルに忠実であると言え、それが青系、赤系双方の色再現の優秀さにつながっていると言えるのである。

Retouch

この2枚のレタッチであるが、特に補正する部分は見当たらなかったためそのままで完成とした。

 

作例06荒野で通り雨を撮る

焦点領域42mm(35mm判換算24mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/400、絞りF8、ISO200WBオート、カメラD300


About

広い広いトンガリロ国立公園、荒野の向こうに雨のカーテンがかかっていた。
通り雨を降らす雨雲の向こうから太陽の強烈な日差しが突き抜け真横に光芒となって現れている。
こうしたシーンは、レンズの持つ解像力とコントラストが試されるシーンの1つでもある。
画面左上部の光の当たらない雲の再現、その下辺りの光芒部分明度の高いところから低いところまでキチンと解像しており、雲の形を残し、光芒の光の強弱も綺麗に再現されている。
また、雨のカーテン部分もザラザラした感じを受ない。
これは、雨粒が一粒一粒が解像されているがゆえに一皮向けたふんわりとした雨のカーテンを再現してくれている。
雪丘の満月の作例でも述べているのだが、この「ふんわり」とした感じを再現することはことのほか難しいのであるがAT-X 165 PRO DXは見事に再現してくれている。

Retouch

この一枚のレタッチであるが、特に補正する部分は見当たらなかったが隠し味程度は以来と部分を下げ完成とした。

 

作例07テーブルフォトを撮る

焦点領域50mm(35mm判換算75mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/40、絞りF5、ISO200に対し一段減感、WBオート、カメラD300


 

焦点領域50mm(35mm判換算75mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/60、絞りF5、ISO200に対し一段減感、WBオート、カメラD300
※注)ISOを200からさらに減感し撮影しているが、これはテーブルフォト撮影前、トキナー社製の別のレンズで滝の撮影をしていたのだがISOの設定を戻さずに撮影したあわて者の筆者によるミスであり読者にお詫びし特に目的があって減感しているわけではないことをお知らせいたします。


About

最小撮影距離が0.3mのAT-X 165 PRO DXはテーブルフォト撮影でも活躍してくれる。
旅先や休日のお出かけ先で食べた料理などを撮影される方も多いのではないかと思う。
グルメ撮影にもAT-X 165 PRO DXは期待を裏切らない活躍をしてくれる。
グルメ写真は寄りぎみで撮る事が好きな筆者は、AT-X 165 PRO DXの綺麗なボケを使い、前ボケで手前にアクセントをつけたり、後ろをぼかすことでプレート(お皿)の大きさを演出し撮影を行った。
また、AT-X 165 PRO DXの持つ解像力はシュリンプのプリプリした感触、揚げ物のカリッとした歯ざわり、そういった感触的なものまで再現できており、グルメ写真も後で見返したときに、「あの料理美味しかったよね」と感触を思い出すことができる一枚を撮る事ができるのである。

Retouch

この2枚のレタッチであるが、特に補正する部分は見当たらなかったのだが隠し味程度トーンカーブでハイライト部分を若干持ち上げ完成とした。

 

作例08夕暮れの砂浜を撮る

焦点領域16mm(35mm判換算24mm相当)で使用、撮影モードマニュアル、シャッタースピード1/1000秒、絞りF8、ISO200、WBオート、カメラD300


About

ニュージーランド北島にある、小さな砂浜で美しい夕暮れを撮影した。
砂浜を走る車に驚き飛び立つ鳥、まるで映画の1シーンのような光景であった。
広角端16mmで撮影することを選び、若干アオリめの構図でダイナミックな空を大きく入れ込みシャッターを切った。
広角端ということもあるが、AT-X 165 PRO DXはF8も絞れば全体にシャッキリとくる。
また空も画面中央部から画面上部に向け空がダイナミックな広がりを見せとても立体的な印象を受ける。
こうした広くダイナミックな風景を撮影するに当たってAT-X 165 PRO DXが持つ焦点距離、16mmスタートの恩恵は大きいと感じる瞬間であった。

Retouch

この一枚のレタッチであるが、撮ったときのイメージを再現するためWBをオートから曇天へ変更、その後トーンカーブでアンダー部分を岩のディテールが残るくらいまで下げた。
さらに、新規ステップでもう一度トーンカーブを選択し下がりすぎた中間調の明るさをもどすと同時にハイライト部分を左に切り詰めた。
アンダー部分の調整と中間調、ハイライト部分の調整を別に行うことには理由がある。
その理由は、今回の作例のように、夕陽、または朝陽などのシーンを撮った明度差のあるデータの補正、調整を行う場合、アンダー部分とハイライト部分の補正、調整を一緒に行ってしまうと、あちらを立てればこちらが立たずといった感じで、調整したことにより、白飛びを起こしてしまったり、逆に黒つぶれをおこしてしまったりとデータの破綻が起こりやすくなってしまうのである。
今回は、補正、調整によるデータの破綻を起こさないために、アンダー部分の補正、ハイライト部分の補正を別々に行うこととした。
また筆者は、必要があれば全体のトーンを整えるために、もう一度トーンカーブで調整することもある。
こうした調整はなるべく細かく分けて行うことをおすすめしたい。
最後に、カラーバランスでイメージ通りの色合いにし完成とした。

 

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