彗星観測のポイントとおすすめアイテム

彗星とは

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彗星とは、夜空に長い尾を引いて現れる天体です。日本ではその姿がほうきに似ていることから「ほうき星」とも言われています。彗星は、太陽の周りをまわる太陽系の天体の仲間ですが、惑星のように円に近い軌道を回っているわけではありません。太陽のはるか遠くから太陽系の内部に近づき、太陽をかすめてまた遠ざかっていきます。彗星には、何度も太陽への接近を繰り返す「周期彗星」、一度だけ太陽に近づいてそのまま太陽系のかなたに消えていく「非周期彗星」があります。また「周期彗星」のうち太陽に近づく周期が200年以内のものを「短周期彗星」と呼び、200年以上のものを「長周期彗星」と呼んでいます。

彗星のしくみ

彗星本体は直径約1~10km位の氷とチリのかたまりの核と呼ばれているものと、核の周りを覆うコマと呼ばれる部分、そしてそこから伸びる尾で構成されています。尾は一般に太陽と反対方向へまっすぐのびる青いガス(プラズマ、イオン)の尾と、太陽と反対方向から軌道方向へ広がった黄色い塵(ダスト)の尾があります。

アイソン彗星 (C/ 2012 S1) とは

アイソン彗星(C/2012 S1)は、ロシアを中心とした世界各国で構成されている国際科学光学ネットワークに所属するベラルーシのヴィタリー・ネフスキー氏と、ロシアのアルチョム・ノヴィチョノク氏により、2012年9月21 日(世界時)に 19 等の明るさで発見されました。発見時、この天体にはわずかに拡散したコマが認められましたが、その後の複数の確認観測により彗星と確定され、「アイソン彗星(C/2012 S1(ISON))」と命名されました。アイソン(ISON)は、発見者が所属する国際科学光学ネットワーク(International Scientific Optical Network)の略称です。

アイソン彗星は、一度だけ太陽に近づいてそのまま太陽系のかなたへ消えていく「非周期彗星」で、近日点通過時(太陽に最接近するとき)、太陽の中心からの距離(日点距離)が0.01247天文単位(約190万キロメートル)で太陽をかすめていくと予想されています。これほどまでに太陽に大接近すると消滅してしまう可能性もありますが、太陽に近づけば近づくほど、太陽の熱で彗星本体からガスや塵が吹き出し大きく見えますので無事戻ってきたときには、大彗星となると期待されています。

いつ頃、どの空に、何を使えば見える?アイソン彗星を観測しよう!

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アイソン彗星は11月18日現在、おとめ座のスピカのそばにあり、太陽に近づき明るさを増しながら、てんびん座へと進んでいきます。

11月23日には水星とならんで、11月24日には土星とならんで見えますので、探しやすいでしょう。

 

最接近する11月29日前後にはマイナス等級まで明るくなると予想されています。ただし、11月29日と前後数日間は、見かけの位置も太陽に近く地上からの観察は難しくなります。無理に観測しようとすると太陽を見てしまうことになり、目を傷める恐れがありますので、観測は行わないようにしてください。

 

近日点通過後、アイソン彗星は崩壊…
【2013年12月3日追記】
アイソン彗星は11月29日、太陽の熱に耐えられず、その姿を保つことができなくなりました。12月の観測はほぼ不可能となってしまいました…。

 

彗星が蒸発してしまわなければ、12月に入ると再び明け方の東の空に姿をあらわし、へびつかい座、ヘルクレス座へと北上していき、12月中旬には夕方の空でも観測できるようになる予定でした。また12月下旬には周極星となり一晩中観測することができるようになるとも。

左の図は、彗星が生き残った場合の、アイソン彗星の動きです。

 

 

日付 観測ポイント
9月~10月 天体望遠鏡でないと観測は難しい。未明から夜明けまでの東の空、火星の近くを探そう。
11月上旬~25日頃 太陽に近づくにつれ、その尾を明るく長くするアイソン彗星。この頃には双眼鏡での観測が可能に。下旬には肉眼でも見えるかも!?夜明け前の東の空、おとめ座の右側に注目!
11月29日 (近日点通過) 太陽に最接近する11月29日の前後2~3日は、彗星が見え始める時間と日の出が重なるので観測は難しい。無理に観測しようとすると太陽を見てしまうことになり、目を傷める恐れがあるので観測は行わないこと。再び姿を現すのを待とう。
【2013年12月3日追記】 以下は、彗星が無事に近日点を通過していればきっと役立ったであろう観測のポイントです。残念ながら12月以降の観測はできなくなりました…。
12月上旬~中旬 彗星が蒸発してしまわなければ、まさに観測のピーク!!肉眼でもバッチリ見える!かも。夜明け前の東の空に再び姿を現す大彗星を楽しもう。
12月21日頃~ このころになると明るさはピークを過ぎているが、夜明け前の東の空だけでなく、日没直後の北西の空でも観測することができる。双眼鏡を用意しよう。
12月29日頃~ 彗星が地平線下に沈まなくなるので、一晩中彗星観測が楽しめる。彗星は一晩かけて北西~北~北東へと移動する。双眼鏡または望遠鏡が必要。
1月 かなり暗くなってくるが、天体望遠鏡があれば北の空で一晩中観測できる。去りゆくアイソン彗星を見送ろう。

このページで使用している画像は、すべて説明のためのイメージ図です。

~彗星観測に双眼鏡のススメ~ ポイントは「明るい双眼鏡」

アイソン彗星は肉眼でも見えるようになると期待されていますが、双眼鏡を使えば彗星の核や尾などもより良く見えますし、肉眼では見えにくい明るさの時期(11月上旬~中旬、12月中旬~下旬)も、彗星観測が楽しめます。ぜひこの機会に、双眼鏡を手に入れましょう。

恒星は点状の明るさですが、彗星は拡散しているので、もし同じ明るさだとしたら彗星のほうが暗めに見えます。したがって、集光力の大きい、より明るい双眼鏡が彗星観測に適しています。

推奨双眼鏡ラインナップ   低倍率で、口径の大きい、集光力高めモデルのうちの一部をご紹介

入門用のお求めやすいモデル

New Mirage 7×50 明るさ:50.4

入門機としてお薦め。トラディショナル・デザインの7倍双眼鏡。
希望小売価格:オープン

New Mirage 7×50

倍率:7倍 対物レンズ有効径:50mm
実視界:6.8° アイレリーフ:17.8mm
1000m先の視野:118.8m
ひとみ径:7.1mm 明るさ:50.4
サイズ:H167×D65×W198mm
重量:790g

New Mirage 8×42 明るさ:27.6

スタンダードタイプながら、軽量ボディが魅力の8倍双眼鏡。
希望小売価格:オープン

New Mirage 8×42

倍率:8倍 対物レンズ有効径:42mm
実視界:6.4° アイレリーフ:15.2mm
1000m先の視野:112m
ひとみ径:5.25mm 明るさ:27.6
サイズ:H140×D57×W190mm
重量:650g

ミラージュ 7×50 LTD 明るさ:50.4
観測セット

長時間の観測には三脚が便利。スマホ用撮影ホルダーも付属。 オープン価格

ミラージュ 7×50 LTD

倍率:7倍 対物レンズ有効径:50mm
実視界:6.8° アイレリーフ:17.8mm
1000m先の視野:118.8m
ひとみ径:7.1mm 明るさ:50.4
サイズ:H167×D65×W198mm
重量:790mm (双眼鏡のみの仕様)

 

こだわりの高級モデル

Artos 7×50 明るさ:50.4

明るい双眼鏡は天体観測に最適。高い防水性で朝露の発生にも安心。倍率7倍。
希望小売価格:¥18,500(税別)

アートス7×50

倍率:7倍 対物レンズ有効径:50mm
実視界: 6.5° アイレリーフ:18.1mm
1000m先の視野:113.6m
ひとみ径:7.1mm 明るさ50.4
サイズ:H165×D77×W185mm
重量:880g

Artos 8×42W 明るさ:27.6

宇宙に広がる星雲や星団を眺めるのに最適な広視野設計の8倍双眼鏡。防水設計。
希望小売価格:¥17,000(税別)

Artos8×42W

倍率:8倍 対物レンズ:42mm
実視界:8.2°(wide) アイレリーフ:17mm
1000m先の視野:143.4m
ひとみ径:5.3mm 明るさ27.6
サイズ:H138.5×D73×W176mm
重量:770g

ultra VIEW EX 8×42 DH 明るさ:27.6

優れた光学性能で明るくクリアな視界が楽しめる高級モデル。倍率8倍。防水設計。
希望小売価格:¥25,500(税別)

ultra VIEW EX 8×42 DH

倍率:8倍 対物レンズ有効径:42mm
実視界:7.5° アイレリーフ:19mm
1000m先の視野:131m
ひとみ径:5.25m 明るさ:27.6
サイズ:H131×D51×W148mm
重量:660g

 

思い切って「天体望遠鏡」はいかが?

天体望遠鏡というと組み立てや設定が難しいというイメージがあるかと思いますが、今年発売の天体望遠鏡「スカイエクスプローラーシリーズ」は、組み立て、設定が簡単で、初心者でも扱いやすいシリーズです。天体望遠鏡も双眼鏡と同じく明るさがポイント。口径が大きくて集光力が高く、低倍率のモデルが、星を探しやすいのでオススメです。

観測の前には、ファインダー調整(日中に行います)をしっかりと行い、彗星の現れる方角を頭に入れておきましょう。また、観測の際はいきなり高倍率のアイピース(接眼レンズ)は使用せず、低倍率のものを使用して彗星を探すようにしましょう。

推奨天体望遠鏡ラインナップ   口径の大きい、集光力高めモデルのうちの一部をご紹介

スカイエクスプローラー
SE-AT100N
 集光力:204.08倍

軽量・コンパクトで手軽に観測できるニュートン反射式望遠鏡。
希望小売価格:¥50,000(税別)

SE-AT100N

天体望遠鏡の種類:ニュートン反射式
主鏡有効径:100mm 焦点距離:450mm
極限等級:11.8等星
鏡筒サイズ:φ140×長さ420mm
鏡筒重量:1.6kg
架台サイズ:H365×D300×W285mm
架台重量:4.0kg

スカイエクスプローラー
SE-GT100N
 集光力:204.08倍

主鏡100mmのニュートン反射式望遠鏡。星雲や星団の観測に最適。
希望小売価格:¥84,000(税別)

SE-GT100N

天体望遠鏡の種類:ニュートン反射式
主鏡有効径:100mm 焦点距離:450mm
極限等級:11.8等級
鏡筒サイズ:φ140×長さ420mm
鏡筒重量:1.6kg
三脚+架台高さ:840~1375mm
三脚+架台重さ:3.4kg

スカイエクスプローラー
SE-GT102M
 集光力:212.33倍

主鏡102mmのマクストフカセグレン式望遠鏡。惑星の観測に最適。
希望小売価格:¥115,000(税別)

SE-GT102M

天体望遠鏡の種類:マクストフカセグレン式
対物レンズ有効径:102mm
焦点距離:1300mm 極限等級:11.8等星
鏡筒サイズ:φ115×長さ310mm
鏡筒重量:1.9kg
三脚+架台高さ:873~1333mm
三脚+架台重さ:4.2kg