フィルムシミュレーションを駆使したTokina 23mm 33mmの使い方
FUJIFILM独自のフィルムシミュレーションを使い独特な撮り味を楽しむ
FUJIFILMユーザーの方はご存じだと思いますが、FUJIFILMにはフィルムの発色をもとに構成されている独自のカラーモードスタイルの「フィルムシミュレーション」というものがあります。僕も、このフィルムシミュレーションをあれこれ変えて撮ることが好きで、atx-m 23mm F1.4 Xとatx-m 33mm F1.4 Xのレビュー作例を撮影していく中で様々なフィルムシミュレーションとの組み合わせを楽しみました。
特にフィルムシミュレーションクラシックネガやクラシッククロームとの組み合わせは、このレンズ独特の撮り味になるためスナップ撮影では好んでこの組み合わせで撮影をしました。
さっそく見ていきましょう。
この写真は両方ともに標準然とした撮り方で撮影しましたが、23㎜はチラリと垣間見える広角の顔を活かし「路地の伸び」を、33㎜は人の視覚に近いため見たままの「急な坂道」を感じるような画にしました。またatx-m 23mm F1.4 Xとatx-m 33mm F1.4 X+クラシックネガで撮影するとこのレンズならではの何とも言えない「情緒」を出してくれます。
23㎜は広角らしくヌケを感じる画、33㎜はボケ味を楽しみながらの画作り。
この画は、AF-Cのテストを行っているときに撮影しました。空の青のグラデーション、飛行機会社のコーポレートカラーの青、遠い空の明るい青と白い雲など濁りの無い色合いで再現されています。スタンダードでの発色も良いようです。
彩度を押さえたカラーモードのアスティアでネコちゃんを撮影しました。やわらかい撮り味のatx-m 23mm F1.4 Xとatx-m 33mm F1.4 Xはアスティア(ソフト)をよりやわらかい描写にしてくれるようです。
撮影協力 猫カフェ 日なたの窓
言わずと知れた風景写真好き御用達のフイルムVelvia(ベルビア)をもとに構成されたカラーモードです。先ほどのさらりとした色乗りとは対極のこってりとした色乗りのベルビアモードでもきちんと色が乗ってきます。
23㎜の画角であればこうした雲海が広がる風景写真を色鮮やかに撮影できますし、33㎜もまた朝の逆光のワンシーンを色鮮やかに再現できます。ボケ味のキレイな単焦点レンズですが、広い画を撮影する際は被写界深度を深くするためしっかり絞って撮影したいところです。
僕は、夕日が沈み夜になるまでのほんの短い時間にある「ブルータイム」に撮影することが好きで狙ってこの時間に撮影します。ブルータイムでの撮影する時、僕は好んでベルビアモードで撮影します。理由は単純で「宵の青」が色濃く反映されるからです。撮影時のセッティングですが、フィルムシミュレーション「ベルビア」→ホワイトバランスは雨でも曇りでも晴れていても「晴天」へ変更します。さて、ここからが小河流のポイントで撮影時露出を-0.3もしくは-0.7にします。そうすると空の青がより色濃くなっていきます。最初にお話した通りatx-m 23mm F1.4 Xとatx-m 33mm F1.4 Xはシャドー部の再現が良いため作例のような画でも日本家屋のシャドー部は黒つぶれせずちゃんと再現されています。
33㎜はテーブルフォトにも使われるレンズです。焼いたサンマとご飯のふわっとした湯気が食欲をそそります。Atx-m33mmF1.4はこうした画も得意のようです。
33㎜のレンズを使い、撮影する被写体までの距離や角度によって変わる「ボケ」を見てましょう。
33㎜(35㎜フルサイズ換算50㎜)はトレーニングレンズの側面があります。
作例は双方とも解放F1.4で撮影しています。左の一枚は、撮影時すすきのフワリとした質感を出しつつも後ろの酒樽のはあまりぼかさず残しておきたいと考えました。フワリとした質感はF1.4で出すとして後ろの酒樽は文字が分かるくらい残しておきたいので、この場合最もボケ量が多くなる最短撮影距離から少し引いて構図構成し撮影します。逆に、右の一枚のようによりボケの量を必要とする場合は、最もボケの量が多くなる最短撮影距離付近絞りは解放F1.4で被写体に対し少し斜めに撮影します。こうしたボケの使い方のトレーニングを行う際、人の視覚に近い標準と言われる33㎜(35㎜フルサイズ換算50㎜)は最適なレンズで、atx-m 33m F1.4 Xもトレーニングレンズとして使いやすいレンズでした。
最後はモノクロームのアクロスモードです。FUJIFILMには2つのモノクロームモードがあります。1つはプロビアをもとにしたモノクロームモード、もう1つはフィルムのアクロスをもとにした、粒子感を感じるモノクロームモードです。僕はアクロスが好みでモノクロームで撮影をする際こちらを使います。造形と明暗で作っていく画の面白さも33㎜(35㎜フルサイズ換算50㎜)でトレーニングしていくと各焦点距離の違いが分かり、他のレンズとの使い分けがしっかり分かってってきます。
その他の機能も確認してみましょう
テストカメラとして使ったX-T4はボディ内手ブレ補正機能が搭載されています。ボディとの通信ができているためatx-m 23mm F1.4 X、atx-m 33mm F1.4 X双方このボディ内手ブレ補正の恩恵にあずかることが出来るのですが、いったいどのくらいまでいけるのでしょうか?試してみました。手ブレ補正が必要となるシャッタースピードは各レンズによって変わります。その基準と言われているシャッタースピードは「1/焦点距離」とされています。作例に使った23㎜ですと1/23・・・ではなく、先ほどお話した1/焦点距離とは35㎜換算での話になりますので、23㎜の場合35㎜フルサイズ換算「35㎜」ですので、手ブレ補正が必要となるシャッタースピードは1/35秒となります。1段補正で(1/17秒なのですが便宜上) 1/16秒、2段補正で 1/8秒、3段補正で 1/4秒、4段補正で 1/2秒、5段補正で 1秒、6段補正で 2秒という事になります。作例は2.5秒でブレがありませんのでこの時点で6段以上の補正が受けられているということにます。正直驚きました。しかし、僕個人としては撮影時じっと動かず息を止め、撮影の自由が奪われてしまうよりも、確実にかつ構図も自由に撮影できる三脚の使用をお勧めしたいと思います。
その他の機能を使って撮影してみよう
その他では、X-T4はパノラマ撮影ができますので、33㎜(35㎜フルサイズ換算50㎜)を使って撮影すれば、広角で撮影するのとは違った人の視覚に近い自然な見え方で広い風景が撮影できます。旅先などでぜひ試してみてください。
この記事の作者
小河 俊哉(おがわ としや)
東京都出身。
自動車整備士、カースタントマンなどを経てフリーフォトグラファーとなる。
自然、風景、クルマ写真などを専門とし雑誌、クラッシックカーイベントなどで活躍。 現在、作品集作成のため精力的に国内外で撮影中。