広角レンズ実践攻略法!入門編 広角レンズって面白い!

広角レンズ実践攻略法!入門編 広角レンズって面白い!

皆さん、こんにちは!フォトグラファーの小河俊哉です。今日は、広角レンズ徹底攻略!ということで、プロカメラマンの視点から見た広角レンズのことをたっぷりとお話させていただきます。初めて広角レンズを手にする方はもちろん、構図構成に悩む方、レンズの味わいを求める方々まで、皆さんが「なるほど!」と思っていただける記事にしたいと思っています。そして、広角レンズにご興味のない方も、この記事をお読みいただければ、広角レンズが欲しくなってしまうかもしれません。

この記事では、特に広角レンズを初めて使う方や広角レンズってどんなレンズ?という方に向けてお話をさせていただきたいと思います。広角レンズを普段から使用している方もこの入門編を読んでいただくと「そうだったのか!」という事が書かれております。ぜひ、最後までお読みいただければと思います。

さあ!さっそく「広角レンズだからこそできる」楽しい撮影の世界へ旅立ちましょう!

広角レンズが必要になるとき

「広角レンズが欲しいなぁ...」と、思う時ってどんな時でしょう?
旅先でみた広い空の風景や大きな建物の外観や内観、これ以上、後ろへ下がることができない状況であっても、たくさんのものをフレームに入れたい!そんなとき「広角レンズが欲しいなぁ...」と、思われるのではないでしょうか?

今をさかのぼること二十年前のこと、プロフォトグラファーになる前の若かった僕も、旅先で見たうわぁ!と思う素敵な「広い空と広い大地」を目の当たりにし、それを撮影したい!と思ったのですが、当時持っていたレンズは、Wズームキットレンズのみ。広角端は18㎜(35㎜換算27㎜相当)でしたので、仕方なく撮りたい画をあきらめたことがありました。

今でこそ、ロケで様々な場所へ行くことができるのですが、若かりし頃の僕にとっては2度と訪れることができない場所と思っていましたから、その時は本当に残念な気持ちになりました。そんな経験があるので、僕は旅のお供に広角レンズをお勧めします。

広角レンズは「広くも撮れる」レンズ

さて、広角レンズの使い方の一つとして「広く撮ることもできる」という事があります。なぜ「も」なのか?

はい!広角レンズは広く撮るだけではなく「広角レンズの効果」を使って撮影する使い方もあるんです。では、「広角レンズの効果」って何でしょうか?

広角レンズには「パースペクティブ」という効果があります。この効果が分かりやすいように、ちょっと極端な撮り方をしてみましょう。

ご覧の通り、撮影に使ったレンズの最短撮影距離付近で「ググっ!」と寄って撮影すると・・・

「近くの物が大きく」見えて、「遠くのものが小さく」見えます。これをパースペクティブといいこれが広角レンズ特有の効果です。広角レンズは、この効果を上手に使い撮影していくことも広角レンズを楽しむ方法の一つです。

入門の皆様には、広角レンズは、「広くも撮れて、近寄ってパースペクティブを効かせた写真も撮れる」レンズだという事を覚えておいていただきたいなと思います。

広角って何ミリから?

さて、先ほど当時の僕はWズームキットレンズしか持ち合わせていなかったと言いました。当時のWズームキットレンズの広角端は18㎜(35㎜換算27㎜相当)と、広角と言われる焦点域の入り口付近まではカバーしていました。諸説あるのですが、広角と言われる焦点距離は35㎜換算で35㎜~20㎜前後までと言われています。え?とお思いの方いらっしゃいますよね。そうなんです、20㎜前後、それ以上の焦点距離は「超広角」といいます。

さて、そのパースペクティブ効果も超広角領域の方がより色濃く効果が出ます。

例えば、超広角領域でこんな画を撮影すると、パースペクティブ効果でクルマの正面がこのように膨らんで見えます。実際は、こんなには丸くはなくシュッとしたイケメンの車なのですがパースペクティブ効果を使って撮影するとこんな感じでデフォルメされます。こうした画作りは超広角領域ならではの楽しみ方の一つです。

ここで少しレンズの「収差」を勉強してみましょう。
レンズには色々な「収差」があり、その一つに「歪曲収差(ディストーション)」という収差があります。この「歪曲収差」は、パースペクティブ効果とよく間違われるレンズの収差で、この「歪曲収差」がある場合は両サイドに配置したバルコニーや柱も車と一緒に歪曲されてしまい、クルマと同じように「たる型」になってしまったり、真ん中がすぼんで見えてしまう「糸巻型」の歪み方になってしまったりします。

この写真では、パースペクティブ効果でクルマがデフォルメされつつもバルコニーも柱も真っすぐに見えるので「歪曲収差」は非常に少ないことが分かります。旅先などでせっかく撮影した建物の写真が大きく歪んでしまうと、少し残念な気持ちになります。ですので、僕は広角レンズを選ぶときになるべくディストーションが少ないレンズを選ぶことにしています。

実践、広角レンズ入門編!

キットズームレンズと比べてみよう

では、実際広角レンズを使って写真を撮っていきましょう!

初めてカメラに広角レンズを装着すると「広いなぁ~」と思われるのではないでしょうか?僕自身も初めて広角レンズをカメラに装着しファインダーを覗いた時、その広さに驚きました。

先ほどもお話したように広角レンズはとても広く撮ることができます。

ズームキットレンズの18㎜と超広角とされる11㎜で比較してみましょう!
誤解してほしくないので先にキットレンズの良いところを説明させてください。キットレンズにはキットレンズの良さがあります。入門用の機材として、必要にして十分な焦点距離をカバーし、且つ軽量、コンパクト、光学的な絶対性能は専用設計されたレンズには敵わないものの、その分求めやすい価格に設定で手にすることができる。いわばキットレンズは、「写真を撮る楽しみの第一歩を教えてくれるレンズ」です。

それを踏まえた上で比べてみましょう、超広角領域のズームレンズと代表的なキットレンズの最も広角焦点距離ではどのくらいの違いがあるでしょうか?

実際に撮影してみました。

一枚目は、代表的なキットレンズの最も広角な焦点距離18㎜(35㎜換算27㎜)です。二枚目は、超広角ズームレンズの11㎜(35㎜換算16.5㎜)で撮影したものです。ホワイトバランス(オート)、ピクチャーコントロール(スタンダード)、撮影場所日時は同一、比較方法は同じ位置から撮影しレンズを交換するという方法で比較してみました。レンズを付け替えただけなので当然カメラの設定も同一です。

こちらがWズームキットレンズの18㎜です。
では、次に超広角レンズ11㎜で撮影した写真です。

はい!これだけ違ってきます。

比べてみると、これだけ広さに違いが出てきます。もちろんキットズームレンズでも下がって撮影すれば同じ画角で撮影することができますが、同じ画角で撮影するならずいぶん後ろに下がらなければなりません。撮影している場所に十分下がるだけスペースがあればよいのですが、そうでない場合は画角が制限されてしまいます。18㎜では、スカッと晴れたすがすがしい空をたくさん入れ込むことができませんでしたが、11㎜であれば余裕で入ってしまいます。こんなすがすがしい空を見たら、うんと空を入れて撮影したくなります。こうして空を大きく入れて撮影したい時などは、やはり広角レンズが必要になってしまいます。

今度は、キットズームレンズ18㎜で撮影した灯台の大きさと同じ大きさになるよう超広角レンズの11㎜で撮影してみました。

キットレンズ18㎜で撮影
超広角レンズ11㎜で撮影

先ほどとは違い、18㎜で撮影した灯台と11㎜で撮影した灯台が同じ大きさになるよう、超広角11㎜で撮影した写真は灯台に近づいて撮影しています。では、どのくらい近づいているかと言いますと・・・「こんなに近寄るのか?」と思うほどかなり近寄って撮影しています。

比べてみると、11㎜で撮影した写真は、広角レンズらしいパースが効いていて広がりを感じる写真になっています。また、撮影に使用したレンズは専用設計されているレンズですので、光学性能が高く撮り味もキットズームレンズとは違った撮り味になっています。キットズームレンズでも十分撮影を楽しむことはできますが、専用設計されたレンズで撮影すると、より臨場感あふれる写真を撮ることができます。

これ以上後ろに下がれない!

次はこんな状況の時です

素敵な街並みをゆっくりゆっくり進んでいくクラシカルな路面電車。僕はこのクラシカルな路面電車が撮影したくなり、ポルトガルはリスボンへ行きました。リスボンの旧市街を走る路面電車は、驚くほど「狭い道」を走っていきます。「狭い道」ということは・・・そうです、撮影スペースも狭いという事です。そういった、「これ以上後ろには下がれない」という時でも、画角が広い広角レンズなら路面電車も街並みも両方を入れて撮影ができます。この時もすぐ背後にガードレールがあり、これ以上後ろには下がれない状態でしたが電車も街並みも両方を入れた画が撮影できました。

広角レンズはテーブルフォトも得意科目!

撮影協力:La Terrazza 芦ノ湖

広角レンズはこうしたテーブルフォトも得意科目です。広角レンズは、最短撮影距離が非常に短いレンズが多いことから、のけぞって撮ることが無く、じっくり座って撮影することができます。広く撮れますので、ググっと近寄って撮影することになりますがこの写真のように食べ物もきちんと撮影できます。

僕は「汁物」いわゆるラーメンや鍋ものなどを撮影するときに広角レンズの望遠端付近を使って撮影することがあります。こうしてググっと寄って迫力のある画にしながら湯気をふわ~っと入れて画を構成したりします。

また、広角レンズは広くも撮れますので、店の雰囲気やテラス席などでは街の雰囲気も入れて撮影すると、後で見返したとき「どこで撮影したのか?」を思い出しやすいと思います。

こうしたテーブルフォトも広角レンズの得意科目です。

広角レンズで星空撮影!

広角レンズを買ったらやってみたいことの一つ、それは何といっても星空撮影です。

この写真は有名なニュージーランドの撮影スポットで撮影しました。天の川が建物に差し掛かるときを狙い撮影しましたが、これは広角レンズでしか撮れない一枚です。

次は、天の川を縦に入れた構図です。広角レンズであれば天の川が縦になって、地平線を入れた状態でしっかり撮影できます。
また、星空以外の夜空の撮影も標準レンズでは撮れない画が撮れます。

こうしたオーロラの撮影や

フィッシュアイレンズで15分露光させると、こうした星の動きが分かる写真を撮ることができます。

さて、いかがでしたでしょうか?

広角レンズを持ってさえいれば、「もっと広く撮りたかったのに・・・」という事もなくなります、そして広く撮るだけではなく、これ以上後ろに下がれない!というときにも大活躍してくれますし、広角レンズの効果、パースペクティブを活かした一味違った画も撮影できます。その他にもテーブルフォトや星空撮影でも大活躍してくれます。そして、若かりし頃の僕のように、後悔の無いよう旅のお供に広角レンズを一本持たれてはいかがでしょうか?

入門編最後は、広角レンズで撮影した街スナップをご覧いただきお開きとしたいと思います。

この記事の作者

小河 俊哉

小河 俊哉(おがわ としや)

1969年生まれ。東京都出身。
自動車整備士、カースタントマンなどを経てフリーフォトグラファーとなる。
自然、風景、クルマ写真などを専門とし雑誌、クラッシックカーイベントなどで活躍。 現在、作品集作成のため精力的に国内外で撮影中。

「カメラ用交換レンズ」のその他の記事