広角レンズ実践攻略法!街並み撮影のコツ
広角レンズを使った街並み撮影のコツ!建物で線を引く!
旅先の街並みを撮ることってありますよね。そんな時チョットしたことに気を付けて撮るといつもの写真とは違ってきます。こうした街の写真を広角レンズで撮る場合、どこかに必ず「真っすぐになる線」を引きます。分かりやすいように赤い線を引いてみました。
この写真では中央部付近にちょうどよいまっすぐの道がありましたので、この道を縦の線として使いました。次に建物の屋根で横の線を引いて画全体に安定感を出して撮影しています。撮影するときに道路や屋根など「そこにあるもの」で意図的に線をつなげていくと、広い街並みの写真も安定感のある構図で撮影することができます。そしてこの「安定感」を与えていくことが広い画を撮るときのコツだったりします。しかし、広角レンズを使って撮影する場合もう一つ気を付けておくことがあります。
この写真のように広角レンズを使って撮ると「パース」が付きます。手前の屋根の大きさと奥の屋根の大きさは「パース」が付いているため大きさが変わります。手前は大きく奥は小さくなるパースの効果を上手に使うとより街を大きく見せることができます。ですので、この写真は少し「逆あおり(たたく)構図」にして撮影しています。
さらになぜ焦点距離が18㎜なのか?というところも着目するところです。広く撮れるのであれば12㎜で良いのでは?と、お考えになるかもしれませんが広角端12㎜で撮影した場合パースが付きすぎてしまい画面上部の最端部分が引っ張られてしまいます。しかし、18㎜程度までズームしてあげれば、ご覧の通りパースが付きすぎることなく収まりの良い画として撮影することができます。
応用編としてもう一枚写真を見てみましょう。ウィーンで、オペラ座のある街並みを撮影しました。
まず、街灯の横にある赤い線を見てください。
街中にあるもので縦横の線を描くと言いました。ここでは、街頭で縦の線を描いています。しかも一本は敢えて真ん中付近に配置して安定感を強調して撮影しています。
次にオペラ座で横の線を引いてあります。オペラ座の真ん中付近はほぼ真っすぐな線になるようにしつつも、20㎜特有の適度なパース量を活かすため右端ギリギリにならないようにオペラ座を配置してあります。
もう一つ配置にはコツがあります。「黄金比」というのをご存知でしょうか?
写真の中に引いてある白い線の比率を見てください。黄金比には西洋黄金比1:1.6と東洋黄金比1:1.4があると言われています。西洋の建物を撮る場合1:1.6の比率で配置すると納まりがよいようで、この写真も1:1.6で左右を分割しています。
東洋黄金比ですが、日本の古い街並みなどを撮影するときに使われると収まりが良いようですが、使い方はそれだけではありません。建物の比率だけではなく、テーブルフォトでも風景写真でも応用が利く比率で、名画「見返り美人」の人物の比率が1:1.4になっていたり、1:1.6の比率は巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチが好んで使った比率ですのであらゆる配置に応用して使ってみてください。
ですが、この写真に関しては配置的に東洋黄金比の1:1.4の方が納まりが良いので東洋黄金比に近くなるよう配置してあります。撮影時きっかり1:1.4を測ったわけではありませんので少々比率がおかしい場合もありますが、その辺りはきっかり測るよりも「自分の心地よい比率」を体に覚えこませて撮影すると徐々に自分のスタイルが確立されてくると思います。こうした旅行先の街並みを撮影していくとき、黄金比を頭に入れ、街中にあるもので線を引く、また、最近では鑑賞環境も変わり16:9のモニターで写真を見ることも増えてきましたので撮影比率やプリントを前提に比率を考え配置や構図構成を考える。
また、上級者の方は「撮影した写真がどの程度の大きさで使われるのか(もしくはプリントされるのか)?」を考え、そのサイズに合わせて写るものの大きさ、いわゆる「サイズ感」も考えながら撮影するとよいでしょう。
オススメの広角レンズ
この記事の作者
小河 俊哉(おがわ としや)
東京都出身。
自動車整備士、カースタントマンなどを経てフリーフォトグラファーとなる。
自然、風景、クルマ写真などを専門とし雑誌、クラッシックカーイベントなどで活躍。 現在、作品集作成のため精力的に国内外で撮影中。
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