喫茶店撮影ガイド by 丹子 tanco

喫茶店撮影ガイド by 丹子 tanco

こんにちは、フォトグラファーの丹子です。日常にある飾らない尊さを切り取るのが好きで、街や喫茶店をよく撮影しています。 普段はすべてのレンズにKenko ブラックミストNo.05を付けていて、そのやわらかでふんわりした描写が大のお気に入りです! アクセントとしてスノークロスフィルターとクローズアップレンズも使い分けながら撮影しています。

喫茶店の魅力

喫茶店には、ゆったりと時間が「すーっ」と流れ、人の暮らしの気配が静かに漂っています。
アンティークの椅子が「きしり」と音を立て、レトロな照明が「ぽっと」灯り、カップから「ふわり」と湯気がのぼる。 窓辺の光はやわらかく差し込み、どれもが写真に収めたくなる瞬間です。
年月を重ねた雑貨に触れると、過去の日々が「そっと」よみがえってくるようで、愛おしさが募ります。
私にとって喫茶店は、ただ飲み物を味わう場所ではなく、静かに物語が芽生えていく場所。
その空気をカメラで写す時間は、心をやさしく満たしてくれる大切なひとときです。

喫茶店はモーニングタイムから営業しているところも多いです。
比較的空いていて、柔らかな光が差し込む朝の時間帯が好き。
写真家として撮影に来ている場合は、基本的に被写体になることはほぼありませんが、この日は弟と来ていたので撮ってもらいました!

今回は、私の地元・岡山の岡山駅近くにある喫茶店さまにご協力いただき、撮影をさせていただきました。いつも私が夢中になって撮影しているのを、和やかに見守ってくれます。今回も記事を書く旨も快く承諾いただきました。本当にありがとうございます。

落ち着いた赤色のソファやぬくもりを感じるテーブル、窓から差し込む自然光がとても素敵で、個人的にもよく訪れるお気に入りの喫茶店です。

岡山に帰省した際は、都合がつく限り必ず訪れています。 店主さんのご要望で、静かな店内維持のため、ここでの店名の記載はお控えさせていただきます。 気になる方は私の過去のInstagramの投稿を見てください!

撮影時のマナーについて

喫茶店は「撮影スポット」ではなく、誰かにとっての大切な"くつろぎの場所"。
だからこそ、シャッターを切るときは周囲のお客さんやお店の空気をそっと大切にしたいなと思います。
また、中には撮影NGのお店もあるので、事前に確認して安心して撮らせてもらえると、お互いに心地よく過ごせます。

【お店に行く前の確認方法】

  • マップのクチコミで確認(あればお店のサイトやInstagramで確認しますが、レトロな喫茶店はない事が多いです)
  • お店に電話して確認する

【お店での確認方法】ふらっと立ち寄った場合など

  • お店の入り口やメニュー表に記載がないか確認
  • 店員さんにお伺いする

使用機材と設定

今回は3種類のカメラを使用しました。

  • ミラーレス一眼 (レンズは35mmの単焦点レンズが使いやすくて好きです。)
  • スマートフォン
  • トイカメラ (Kenko PIENIFLEX M)

撮影設定は、柔らかなボケ感を活かすため絞りは開放〜F2.8、喫茶店の室内は暗い場合があるため基本的に開放で撮ることが多いです。
露出補正はややプラス寄り(+0.3〜+1.0)に。
テーブルに日が差し込んだ席の場合は、明るいため露出補正は0にします。
光は横から差す自然光を中心に使い、ホワイトバランスは基本オートで大丈夫ですが、喫茶店の間接照明によってその場の雰囲気に合わせて微調整しましょう。

レンズフィルター活用術

ここからは、レンズフィルターを使うとどんな風に写真が変わるかご紹介します。

フィルターなし

【フィルターなし】

差し込む光と影がくっきりと描写され、トーストの焼き目やグラスの輪郭までシャープ。クリアでパキッとした印象で、リアルな質感が強調されます。

ブラックミストNo.05

【ブラックミストNo.05】

やわらかく空気感を出したい時に最適。店内の光や湯気をふんわりと描写します。 まるで記憶の中の一コマのような、柔らかくノスタルジックな雰囲気をまといました。 ハイライトとシャドウの境目の滲み感が好きです。光と影のアンダーな写真が好きな私にとってとても好みの雰囲気に仕上がるなと感じています。

スノークロス

【スノークロス】

光源のある場面で、幻想的な6本線の光条を演出。夜の喫茶店やランプ撮影にぴったり。
グラスの氷やレモンに反射する光が、クロス状にきらめき、まるで星屑を散りばめたような表現になります!

スノークロスの楽しいところは、光源の数や角度によって輝きの表情が変わること。

  • 光が一方向から差し込むと、シャープに伸びるひとつの輝きに
  • グラスの中で反射が重なれば、複数の星のようなきらめきに
  • 撮影位置を少し動かすだけで、まったく違った雰囲気を楽しめる

実際に撮影していると「次はどんな輝きが出るんだろう?」とわくわくしながらシャッターを切ってしまいます。

 

クローズアップレンズ

カップやスイーツ、手元の小物を寄って撮る時に便利。
喫茶店で冷たい飲み物を頼んで時間が経過した時のつぶつぶ「結露」を撮りました!レンズによって、どこまで被写体に近寄って撮れるか(最短焦点距離)が異なります。クローズアップレンズを使えば、お手軽にマクロ撮影ができちゃうんです!

装着したレンズは、ソニーEマウント用の NOKTON classic 35mm F1.4 です。
通常、このレンズでは被写体にそこまで寄ることはできません。最短焦点距離は30cm。
例えば、喫茶店で頼んだグラスを撮るときも、引きの構図が中心になりがちです。

▼通常撮影

通常撮影

ですが、クローズアップレンズを装着すると...
ぐっと寄って、氷の気泡やレモンの質感まで描写できました。

▼クローズアップレンズ使用

クローズアップレンズ使用

肉眼では見過ごしてしまいそうなディテールを、写真の中でしっかり表現できるのが魅力です。

クローズアップレンズの魅力

  • 手持ちのレンズで気軽にマクロ的表現ができる
  • 持ち運びが軽快で、カフェや旅行先でも活躍
  • 被写体に寄れることで、背景のボケ感もいっそう強調される

今回はグラスを例にしましたが、花や雑貨、料理写真でも相性抜群。
「もっと寄って撮りたい」と思ったときに、ひとつ持っておくと表現の幅が広がります。

機材別作例

ミラーレス一眼

メイン機として使用しています。いつもの風景を、確かな描写力で残してくれる、大切な作品撮りから、日常の一枚までどんな場面でも安心して任せられる、心強い相棒です。基本的にレンズにはブラックミストNo.05をつけて作品を撮っています。

ここの喫茶店は朝の時間帯に光が差し込みます。
窓の光から室内のシャドウに向かって光が滲んでいくのが好きで、ブラックミストをつける理由!
レトロを感じる小物も魅力的!積極的に写真に残したいと思っています。
ここの喫茶店は、運が良ければ看板猫さんに会えることがあります!
もし会えたらラッキー!夢中でシャッターを切ります!

スマートフォン

ポケットから取り出してすぐに撮れるお手軽カメラ!スマートフォン向けのクリップタイプのブラックミストNo.05をつけて撮影しています。

スマートフォンは広角に撮影できるので、空間を丸ごと写し止めることができます。

ミラーレスカメラだとレンズ交換の手間や、交換用のレンズを持ち歩く必要がありますが、スマートフォンで手軽に撮れちゃうのが便利です!

スマートフォンでの撮影は、きっちりかっちり固い写真になりがちです。スマートフォンの写真もミラーレスカメラで撮った雰囲気のままで撮りたい!私はそう思っているので、スマートフォンに付けられるクリップタイプのブラックミストを使用して雰囲気や質感を調整しています。
こちらもスマートフォンで撮影しました!スノークロスを当てて撮影しレタッチしています。
いい意味でスマホ写真に見えないコツは、ブラックミストやクロスフィルターを使うことだと思っています!

トイカメラ (Kenko PIENIFLEX M)

いつもの喫茶店の光景を、ちょっと特別に写してくれる、そんな相棒として、PIENIFLEX Mはとても楽しいカメラです。

トイカメラらしい味わいが魅力でピントの甘さや周辺の独特な滲み、ノスタルジックな雰囲気が好きなポイント。そして撮って出しで絵になるので編集なしでも「フィルムで撮ったような」やわらかい描写が素敵です!
スクエアで撮れるので9枚組み合わせた組み写真を作るのが私なりの好きな使い方!喫茶店の光をすくうのが楽しいです。
軽くてコンパクト!お散歩やカフェ巡りのお供にぴったりな軽さと小ささ!首から下げてサッと撮れちゃうし、小道具としても可愛いのでおすすめです!

シーン別 撮り方のヒント

晴れの日でなくても雰囲気を出す

曇りの日でしたが、窓から入るしっとり柔らかな光を活かして撮影しました。
逆光気味にして透明感のあるドリンクを透かして撮ります。
太陽の光がない時は、お水のグラスやお砂糖のステンレスカップなどの
光を反射するアイテムを背景に持っていってキラキラ玉ボケを作って撮影しました。
曇りの日は光が弱く平坦な写真になりがちですが、
窓などを背景に持ってくると、ハイライトとシャドウのメリハリがでます!

時間を写しこむ

コーヒーを注ぐ瞬間、湯気の立つカップ、シュワっと音が聞こえそうなソーダ──「動き」や「音」を想像させる瞬間を逃さないようにします。

背景に暗い部分をもってきて湯気を目立たせて撮ると、あつあつ感が伝わると思います。
この日は曇りだったので湯気の主張が優しめですが、陽が当たるとより強調させて撮ることができます。
シュワシュワ感を撮りたいので、斜め上からのアングルも撮影します!
その場合は少しF値を絞って、ドリンクの表面に広くピントを合わせるのがコツです。
食べかけのパンの歯形を撮るのも、好きです。

人の気配を入れる

友人の手元や後ろ姿を入れると、空間に温度とストーリーが生まれます。

お友達と来た際に撮影した写真。小説やドラマの1ページのような物語性が生まれます。
その時のコツは、カメラのことを忘れてもらってお喋りしてもらうと自然な様子が撮影できます。
常連さんが看板猫さんを可愛がる様子。微笑ましかったです。
こういった日常で自然に起こる尊い瞬間を切り取る事を心がけています。

おまけ!メニュー選びについて

メニュー選びは、基本的に食べたいものや飲みたいものがあれば、お目当てのものを注文します! それがない場合は写真映えの観点で選びますが、レモンスカッシュがお気に入りでよく注文します。
理由ですが、クリームソーダも可愛くて好きなのですが、時間の経過と共にアイスが溶けてドリンクが濁ってしまうので、時間に左右されたくない時は、レモンスカッシュがおすすめです。
冬はホットレモネード!レモンの薄切りがアクセントになってかわいいですし、透明感もあります!

おわりに

喫茶店は、誰かの日常の中にある特別な場所。
その空気感や時間の流れを写真に残すことで、見る人にも温かな記憶を届けられたら嬉しいです。

これからも私は、喫茶店の魅力を楽しみながらKenkoさんのフィルターと共に写真に残していきたいと思っています。
ぜひ、静かで豊かな一枚を探しに、カメラを片手に喫茶店を訪れてみてください。

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丹子

丹子 tanco

東京在住の写真家・フォトグラファー。趣味の被写体活動をきっかけにカメラに興味を持ち、2022年にカメラを購入。フォトグラファーとしてSNSを中心に活動を開始。「尊い瞬間を拾い集めて」をテーマに写真を撮ることを楽しんでいる。