桜の撮影にオススメのフィルター
春の訪れを知らせる美しい桜。その繊細な美しさを思った通りに写すのはなかなか難しいものです。そこで桜の撮影に役立つ様々なレンズフィルターをご紹介いたします。レンズフィルターを使いこなすことで、より表現豊かに、自分好みの桜表現を追求しましょう。
桜と青空の美しい色彩コントラストをPLフィルター
青空をより鮮やかに
PLフィルターには主に「反射をコントロールする効果」と「青 空をより鮮やかにする効果」があります。桜の淡いピンク色は青空を背景に撮るととてもきれいに映えます。PLフィルターを使用すれば、青空をより鮮やかにして、桜の淡いピン ク色をいっそう引き立てることができます。PLフィルターは回転式のフィルターで、前枠を回すことで効果の効かせ具合を調整します。
下の写真は中心の白いラインを左右に移動させることで、フィルター使用前と使用後でどのように写り方が変わるかを確認 することができます。
ZX[ ゼクロス ] C-PL 使用
PLフィルターを使うことで青空が濃くなり、主役の桜の美しさが際立つことが分かります。きれいな青空に写すには、太陽の位置や撮影位置が重要です。太陽を背にして撮影者との位置を結んだ直角方向、及びその左右の方向の青空に最も効果があります。ポイントは逆光ではなく、太陽に背を向ける方向で使うということです。
また超広角レンズにPLフィルターをつけて空を撮ると、「空が青くなる場所」と「青くならない場所」が画面に入り、空がムラになったように写ることがあります。このムラが気になる場合は撮影位置やアングルを変えたり、PLフィルターの効かせ具合を控えめにしましょう。
PLフィルターは桜に限らず、風景撮影では一度使ったら手放せないほど欠かせないフィルターです。
風景を撮るのが好きな方にぜひ使っていただきたい1枚です。
おすすめPLフィルター
ふんわりと柔らかい描写にプロソフトン
桜をふんわりと表現
桜の花をふんわりと描写したい時におすすめなのがソフトフィルターです。「プロソフトン」は光のにじみが美しいソフト描写が得られる定番ソフトフィルターです。
「プロソフトン」を使用することで、ふんわりとしたイメージに仕上げることができます。ソフト効果の出方はレンズの焦点距離により異なり、焦点距離が長いほどソフト効果は強く出ます。またプロソフトンは光源をきれいににじませるので、逆光での撮影やライトアップした夜桜の撮影で幻想的な雰囲気を創り出すこともできます。
「一本桜と蠍の共演」番場 雅典様 プロソフトン(A) 使用
プロソフトンを使用して満天の星空の中で桜を写せば、星座を際立たせる効果も得られます。
プロソフトンの星座を際立たせる効果についてはこちらをご覧ください
プロソフトン
水面を漂う花びらの流れを印象的にNDフィルター
「桜覚醒」松田 慎司様 ND 1000+ C-PL 使用
スローシャッターで花びらの流れを写す
NDフィルターは光量を抑えるフィルターで、意図的にスローシャッターにしたい時に使います。滝や渓流の流れを滑らかに表現する目的でよく使われます。桜の撮影では川や池の水面を流れる花びらをスローシャッターでとらえることで動きを印象的に表現できます。
また風がある時はあえて桜の枝のブレを活かした写し方もできます。NDフィルターを使用してシャッタースピードを意図的に選択することで表現の幅が大きく広がります。
NDフィルターにはND2からND10万まで様々な濃度があり、数値が大きいほど濃度が濃くなり、シャッタースピードを遅くできます。 一般的に使われるのはND8やND16ですが、ゆっくり流れる花びらを写すにはND64 〜 ND1000位の高濃度のNDフィルターがおすすめです。試し撮りをして何秒でどの位流れるかを確認し、ちょうどよいシャッタースピードに設定します。このようなスローシャッターで撮る時は三脚が必要です。
おすすめNDフィルター
もう一歩寄って撮りたい時にクローズアップレンズ
手軽に接写できる
「クローズアップレンズ」は、お手持ちのレンズの前に取り付けるだけで手軽にマクロ撮影を楽しむことができるアイテムです。
ピントが合うギリギリまで近づいて撮っても花が小さく写ってしまう時、クローズアップレンズを付ければもう一歩近づいてアップで撮ることができます。
背景をぼかせるメリットも
クローズアップレンズを取り付けると、ピントが合う範囲がせまくなり背景が大きくボケるため、主役の花を際立たせる効果もあります。
※ピントが合う範囲がせますぎる場合は絞り値を大きくして調整します。
クローズアップレンズの選び方
クローズアップレンズにはNo.1~10まで種類があり、数値が大きいほど被写体に近づいて大きく写すことができます。まずは、自分のレンズの「最短撮影距離」を確認しましょう。下の表を参考にして、レンズの最短撮影距離よりも、近づいて撮れるクローズアップレンズを選びましょう。
最短撮影距離が約1m位の望遠ズームレンズには、No.1~3、最短撮影距離が30cm以下の標準ズームレンズには、No.3~No.5がおすすめです。さらに大きく撮るには、No.10もあります。またクローズアップレンズは重ねづけが可能で、No.2とNo.3を重ねづけするとNo.5相当になります。
※重ね付けすると、画質が低下する場合があります
おすすめクローズアップレンズ
お求めやすい価格のベーシックなクローズアップレンズ
夕暮れ時の桜をピンク色に染めるMC トワイライトレッド
印象的なピンク色に
MC トワイライトレッドは夕焼け・朝焼けの空のグラデーションの赤味を強調するフィルターです。夕暮れ時の桜の撮影では桜のピンク色も強調できます。
夕暮れ時に影に入ってしまう桜は色を表現しにくいため思い切った色彩強調で雰囲気を出すことができます。トワイライトフィルターはホワイトバランスの設定がAWB( オートホワイトバランス ) だと色が補正されてしまうため、太陽光(晴天)がおすすめです。桜が暗く写る時は露出補正を+側に補正します。ソフトフィルターと組み合わせて、さらに妖艶な雰囲気を出すのもおすすめです。
MC トワイライトレッド
夕焼け・朝焼けの空をより印象深い色彩にしつつ、桜のピンク色を強調します。
桜をより豊かに表現するためのレンズフィルターを 5 つご紹 介しましたが、今回ご紹介しきれなかったハーフ ND フィルターなどの角型フィルターを含め、他にもたくさんのフィルターがあります。フィルターを使いこなすことで表現の幅をさらに広げることができます。ぜひ自分好みの桜表現を追求してみてください。