第1回 星景写真を撮影するうえで必要な機材編

第1回 星景写真を撮影するうえで必要な機材編
北山輝泰

北山輝泰

皆様、初めまして。この度、星景写真についての記事を執筆させていただくことになりました、写真家の北山輝泰( きたやまてるやす )と申します。
専門は星空の写真です。星景写真や星座写真を中心に、国内はもちろん、年に数回、海外に行って撮影もしています。写真を撮ることも好きですが、星空の神話や星の名前の由来などを調べたり、プラネタリウムや科学館を巡るのも好きです。
また、NIGHT PHOTO TOURSという団体を立ち上げ、夜をテーマにしたワークショップを企画し、運営しております。ご興味がございましたらぜひお問い合わせいただければと思います。

はじめに

星景( せいけい )写真は、「 星空 」と「 風景 」が同じ画角の中に写っている写真のことを言います。フィルムカメラ全盛期の時から、天体写真愛好家の中で広く撮影されていたものですが、近年、デジタルカメラの性能、中でもISO 感度を高くした「 高感度撮影 」に特化したカメラが出てきたことで、風景写真を撮影するような感覚で気軽に撮影ができる被写体となりました。ですが、撮影はマニュアルモードで行わなければならないこと、さらに暗所でのピント合わせ、構図合わせなど、デジタルカメラを始めたばかりのカメラマンにとってはまだまだ難しい被写体であると言えます。
この特集記事は、これから星景写真を始めようと思っている方が、星景写真の世界の魅力を知り、基本的な撮影方法を覚え、さらにステップアップしていけるような内容になっております。全4回のうち、今回は第1回目ということで、星景写真を撮影する上で必要な機材についてご紹介したいと思います。

星景写真とは、星空と地上風景が同一の画角内に収まった写真のことを言います。

星景写真撮影に必要な機材

星景写真撮影では、基本的にどのメーカーのデジタルカメラでも撮影を行うことができます。私の推奨する、星景写真向きカメラ・機材は、

1 カメラ

  • バリアングル液晶
  • 防塵・防滴
  • 撮影可能枚数が多いもの
  • 常用感度が高いもの

といった機種を選ぶのがオススメです。

2 レンズ

星景写真撮影では、広角レンズでの撮影が星空と地上風景を広く切り取れるため、有利です。最低でも24mm 以下の焦点距離のレンズを一本用意しましょう。

広角になればなるほど、夏の天の川と地上風景は写しやすくなります。

AT-X 17-35 F4 PRO FXを使用して撮影

AT-X 17-35 F4 PRO FXを使用して撮影

FiRIN 20mm F2 FE MFを使用して撮影

FiRIN 20mm F2 FE MFを使用して撮影

3 三脚

三脚は、風や振動の影響を受けにくい、なるべく重量があるしっかりしているものを選ぶようにしましょう。自由雲台方式か3WAY方式かは、自分の使いやすいお好みでも問題ありませんが、赤道儀を使った撮影までを考えている場合は、北極星を導入しやすい自由雲台方式をお勧めします。

4 レリーズ

リモートコード「 リモート90L 」シリーズ

リモートコード「 リモート90L 」シリーズ

レリーズはメーカーによって端子が大きく異なるため、自分の使用するカメラに適合したものを選んでください。基本的な星景写真の撮影だけなら、タイマー式レリーズでなくても問題ありません。 カメラ内で設定できるシャッタースピードは、メーカーによって異なりますが、おおよそ30 秒〜60 秒までです。一枚撮るだけでしたら、セルフタイマー機能などを利用して撮影することもできますが、B( バルブ )モードでより長い時間シャッターを開けておく場合などには、やはりレリーズは必須となります。

コードが垂れていると風などが吹いた際に三脚にぶつかってしまいブレの原因となってしまうこともあるため、束ねて三脚に止めておくようにしましょう。

5 メモリーカード

メモリーカード

メモリーカード

星景写真は再撮が気軽にできないことが多いため、データの保存には特に気を使う必要があります。なるべく信頼できるメーカーのメモリーカードを選ぶようにしましょう。また流星群の撮影などでは一晩で200 枚を超えるような撮影を行うこともあるため、16 GB 〜 32 GB程度の容量のもの購入しておくと安心です。

6 予備バッテリー

予備バッテリー

予備バッテリー

星景写真撮影では、ライブビューを使ったピント合わせや構図合わせをする頻度が多いため、電池の消耗も日中より多くなります。予備のバッテリーは最低でも1個~2個持っているようにしましょう。

7 ヘッドライト

ヘッドライト

登山系のライトは特に明るいので、必ず減光させて使用するようにしましょう。赤セロファンはどこの百円ショップでも気軽に入手できるので、いくつか購入しておくと安心です。

ヘッドライトはなるべく赤色系、暖色系のLEDライトを採用しているものを選ぶようにしましょう。もし白色のLEDライトしかない場合は、赤セロファンを巻いて、減光して使うようにすれば、自分の目にも周囲で撮影している人に対しても影響を減らすことができます。

8 ソフトフィルター

星景写真の撮影では、星空を滲ませて撮ることができるソフトフィルターが非常に有効的です。滲ませることで明るい星と暗い星の強弱がはっきりするため、星座をより強調させた写真を撮ることができます。プロソフトンでは画面全体が滲むため、地上風景を滲ませたくない場合は、半分だけソフト効果のあるハーフソフトンフィルターを使用するようにしましょう。

ハーフプロソフトン(A)を使用して撮影

フィルター使用無し

MC PROソフトン(B)を使用して撮影

9 赤道儀

星の動きを追いかけながら撮影することができる機材で赤道儀というものがあります。星景写真撮影では必ず使用する機材ではありませんが、手元にあれば作例の幅をグッと広げることができます。詳しくは第3回の記事にてご紹介をさせていただきます。

星景写真の撮影!でもちょっと待って!

撮影に必要な道具を用意したらいよいよ撮影に出かけることになります。ですが、いきなり山奥に行くのではなく、まずは自写真宅の周りで、なるべく街灯が少ないような公園などで撮影しましょう。天の川や満天の星空を撮影したいという気持ちはグッと堪え、まずは暗い場所でのカメラや三脚の操作に慣れることが大事です。

筆者のホームグラウンドは九十九里浜。360度空が開けているので、年間を通して様々な星の撮影を行うことができます。

まとめ

第1回目の今回は、星景写真を撮影する上でまず必要になる機材についてご紹介しました。次回は、いよいよ撮影編ということで、撮影の手順や基本設定についてご紹介します。お楽しみに!

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