広角レンズ実践攻略法!広角レンズで撮影する際に気をつけたい空について

広角レンズ実践攻略法!広角レンズで撮影する際に気をつけたい空について

空を主役に

入門編の方でお話しましたが、広角レンズならではの使い方として「広く"も"撮れる」とお話しました。この「広く"も"撮れる」というところをもう少し掘り下げてお話したいと思います。

広く撮りたいものと言えば、旅先の街並みや集合写真、そして広い空もあります。
このコラムでは空にポイント絞ってお話したいと思います。時には空を主役に、青空、夜空、曇り空!

青空

旅先で見た空が「うわぁ!」と思う空だった・・・その空を広く撮りたい!僕自身もそんな思いを抱くことがたくさんあります。

作例画像1
作例画像1解説

この写真は、スペインのアンダル地方をレンタカーで移動しているときに見かけた風景でした。

黄色の菜の花、この地方らしい赤みを帯びた土、小高い丘に建つ農作業小屋、そして大きな空にゆっくり流れていく雲。この空を主役にした写真を撮影したくなり、いてもたってもいられなくなったので移動の最中に車を止めて撮影した一枚でした。

すがすがしい空を主役にして広角レンズで撮影する場合、僕は広さを強調するため広角レンズらしくパースを効かせた構図で撮影します。この場合は空を大きく入れての撮影になりますので、アオリ構図にして「広さ」を強調しています。そして、手前に「より強調するもの」がある場合はそれも入れて撮影します。この写真の場合は手前に菜の花を入れました。

理由は、菜の花の黄色は空(青)の反対色で色でもメリハリが出せるという事で菜の花が並ぶ場所で撮影しました。もちろん大地も入れておきたいところですが菜の花で丘の稜線が隠れないよう少し高い位置から撮影しています。空と大地両方を入れて広がりを感じるように撮ることができる、広角レンズならではの撮り方です。

夜空

夜空は主役級の被写体がたくさん存在しています。
例えばこの写真のような月もたくさんの方がテーマに選ぶ被写体です。

作例画像3
作例画像4解説

この写真はニュージーランドで撮影した夜空の写真です。薄曇りの夜は、月の光でリングが出来上がるムーンリングが現れるときがあります。ムーンリングだけを撮影するのであれば超広角域の焦点距離は必要ないかもしれませんが、ムーンリングと大地両方を入れて撮影しようとするとどうしても超広角領域でなければ撮影することができません。

また、ムーンリングと「何か」を絡めて撮ろうとする場合も同じです。この写真の場合、ムーンリングが大地である山の稜線の上に現れていることが大事と考えました。「安定」した地面を入れ込み、夜空に「浮かぶ」ムーンリング、「静と動」の両方入れ込むことができるのは、やはり超広角領域ならではとなります。

また、動きをより出すためにシャッタースピードを遅くし雲に動きを出しています。さらに、その雲も広角レンズの特徴であるパースを効かせ、手前から奥に斜めの線を描くように構図構成してあります。夜空に登場する主役を際立たせることができるのは広さに余裕があればこそ!ですね。

最後は曇り空です。

曇り空

曇ってしまった空・・・せっかく撮影に出かけたのに画にならない、長く写真を撮っていればそんな時もあります。しかし、その雲を主役にしてしまえばいつもとは違った一枚を撮ることもできます。

作例画像5

この写真は、ローカル線の列車を撮りに行ったのですがあまりにも月の光に照らされた雲の広がりが素敵で主役とわき役を入れ替えて撮影した一枚です。月明かりに照らされた雲の起伏や怪しい夜の空気感を強調するために、アオリ構図でパースを効かせ、思い切って大きく空を入れて撮影しました。「いいな・・・」と思う空、それを活かす「何か」、その組み合わせを見つけて広角レンズらしい撮り方をすれば曇り空だって十分に主役になってくれます。

曇り空 上級者番外編

ちょっと変化球なのですが、夕暮れの撮影をしているときに、面白い雲を見たので「空だけ」を撮影しました。

作例画像6

ずいぶん上空から撮影したような・・・なんか不思議な画です。どうやって撮ったの?とよく聞かれる一枚なのですが、特別にネタバラシしてしまいます。

実はこれ上下を反対にしています。初めに上下反対にしたらどうなるのかを頭の中でイメージし、それに合わせ超広角領域でうんとパースを効かせつつ若干アンダー気味で撮影し、実際に上下を反対にするとこんな風になります。これも広角レンズを使った「曇り空」を主役にした撮影方法です。

味付けが濃い口にも薄口にもできる広角レンズは、アイディア次第で色々なものが撮れます。

この記事の作者

小河 俊哉

小河 俊哉(おがわ としや)

東京都出身。
自動車整備士、カースタントマンなどを経てフリーフォトグラファーとなる。
自然、風景、クルマ写真などを専門とし雑誌、クラッシックカーイベントなどで活躍。 現在、作品集作成のため精力的に国内外で撮影中。