夏のおすすめフィルター NDフィルター ~スローシャッターで幻想的な写真に!~
スローシャッターで幻想的な写真に

国際フィルターフォトコンテスト2011-2012佳作作品 「白糸の滝」中根英治様(日本) NDフィルター使用

近年、スローシャッター効果を活かした写真の人気が高まっています。
スローシャッターで写した写真は、人間の眼では見ることのできない幻想的な情景を表現できます。
上の作品のように、水流をスローシャッターで表現する撮影にはNDフィルターが欠かせません。
NDフィルターはグレーのフィルターで、レンズに入る光の量を減らすことができます。NDとは、Neutral Density(ニュートラル・デンシティー)の略で、直訳すると「中立な濃度」という意味です。発色に影響を与えることなく、光量を減らすのがNDフィルターです。
NDフィルターを使うと、写真はどう変わるの?
普通に撮った写真とNDフィルターを使用した写真をくらべてみましょう。
NDフィルターをレンズに付けると暗くなるため、スローシャッターになり、水の流れが滑らかに写ります。
NDフィルター無しで、スローシャッターにすると?

もしも明るい場所でNDフィルターを使わずに無理にシャッター速度を遅くすると、露出オーバーで写真は白く飛んでしまいます。光を弱めるNDフィルターを使用することで、シャッター速度を遅くしても露出オーバーで写真が白くなるのを防ぐことができます。
NDフィルター無しで、絞りを絞り込むと?
フィルターが無くても、絞り値を大きくすることで、シャッター速度をある程度遅くすることは可能です。
しかし絞り値を大きくして絞り込むと画質が低下してしまいます。
絞り値をF8とF22で撮影した場合を比べてみてください。
赤枠部分を拡大
NDフィルターが必須!!
写真の一部を拡大して見てみると、F22はF8に比べて画質が低下してモヤっとしているのがわかります。これにより高画質を保つには、絞りを絞り込み過ぎないことが望ましいということがわかります。絞りを必要以上に絞り込まずにスローシャッターにするにはNDフィルターが必須です。
NDフィルターの選び方
NDフィルターにはたくさんの種類があります。ND4、ND8などの数字は、光量を何分の1に減らすかを表しています。
ND4=光量を1/4に
ND8=光量を1/8に
フィルターの数字が大きい方が、光量を大きく減らし、よりスローシャッターにすることができます。
NDフィルターをつけた場合、シャッター速度がどのくらい遅くなるかは、右のシャッタースピード早見表をご覧ください。たとえば、フィルターなしで1/60秒なら、ND16を付けると1/4秒になります。(絞り4段分の減光効果)
滝を絹糸のように写すならND16がオススメ!!
ND16は十分な減光効果を得ることができ、さらにファインダーで構図確認ができます。
※海の僅かな波面を消して滑らかに写したい時は、数秒~30秒以上のスローシャッターにできるND500やND1000がおすすめです。
NDフィルターを2枚重ねるとどうなる?

自分に合ったNDシリーズはどれ?
■最高のNDフィルターが欲しい
→究極の解像力と忠実な色再現のZX[ゼクロス]シリーズ ZX ND8、ZX ND16
■滝や海など水辺で撮りたい
→ 水や汚れを強力に弾く
ZX[ゼクロス]シリーズ ZX ND8、ZX ND16
PRO1D Lotusシリーズ PRO1D Lotus ND16、PRO1D Lotus ND8、PRO1D Lotus ND4
■日中に数十秒の長時間露光をしたい
→ 高濃度NDフィルター PRO ND1000、PRO ND500
■手ごろな価格で試したい
→ PRO NDシリーズ PRO ND8、PRO ND4、PRO ND2 ※広角レンズには、薄枠タイプのPRO1Dシリーズをおすすめします。
■濃度を変えられるNDフィルターが欲しい
→ バリアブルNDX
NDフィルターの活用シーン
滝を絹糸のように、渓流を雲海のように

IFPC2014佳作 「大自然」藤崎めぐみ様(日本)
おすすめND ND16・ND32・ND64
NDを使用する代表的なシーンに、滝や渓流があります。フィルターを使用せずに露出をカメラまかせにすると、水の流れが中途半端な感じに写りがちです。NDを使用してスローシャッターにすることで、滝を絹糸のように、渓流を雲海のように滑らかに表現することが可能です。
水面の僅かな波紋を無くし滑らかに

IFPC2014佳作「議事堂の佇まい」田中匠様(チェコ)
おすすめND ND1000・ND500NDで減光してスローシャッターにすることで、波の動きをぶらし、波面を無くして滑らかに写すことができます。ND1000やND500等の高濃度NDを使用して、数秒~30秒以上のスローシャッターにすることで幻想的な世界を表現できます。
雲の動きをダイナミックに

IFPC2011-2012佳作 「風のセレナーデ」倉岡銀四郎様(日本)
おすすめND ND1000・ND100000
風に吹かれて刻々と変化する雲の動きを、NDでスローシャッターにすることで、ダイナミックな雲の動きを表現できます。
街中の人物をぶらす

IFPC2008-2009入選 「老街大喜时」顾益民様(中国)
おすすめND ND1000・ND500
絶え間なく人々が行き交う街中も、スローシャッター撮影が活きるシーンの1つです。NDで数十秒の長時間露光をすることで、動いている人物をぶらし、群衆の活気を表現したり、日中の繁華街なのに無人という非現実的な情景を写しだすこともできます。
夜景の光跡を写す

IFPC2015佳作 「Rush Hour」Naf Selmani様(イギリス)
おすすめND ND4・ND8
夜景写真は基本スローシャッターです。シャッターを開けている間に動いた車や船、飛行機などのライトは光跡になります。フィルターなしでもスローシャッターになりますが、NDで光量を落とすことで、光跡をより長く印象的にすることができます。
花火の白飛びを抑える

IFPC2015入選 「夢幻世界」蛭田眞志様(日本)
おすすめND カメラのベース感度がISO100ならND4・ISO200ならND8
フィルター無しで花火を撮った場合、露出オーバーになり、花火の色が抜けてしまいます。絞りを絞り込めば露出オーバーを防げますが、絞り込みすぎると回折現象により画質が低下してしまいます。
流し撮りに

IFPC2014入選 「森林の風」たるみかずお様(日本)
NDを付けて意図的にスローシャッターで流し撮りをすることで、動感を強調した表現をすることができます。
動画撮影で背景をぼかしたい時

動画撮影の場合は30fpsや60fpsといったコマ速に固定されるため、晴天時に絞りを開けると大きく白飛びしてしまいます。屋外の明るい場所で背景をぼかしたい時には、露出オーバーを防ぐためにNDが欠かせません。
NDフィルターの使い方(スローシャッター撮影をする場合)※下記は撮影方法の一例です。
1. カメラを三脚に固定

NDでスローシャッター撮影をする場合は、必ず三脚に固定しましょう。手持ちでは手ブレしてしまいます。
2. カメラの設定

ISO感度 :ISO100、ISO200など一番低いベース感度に設定。
ホワイトバランス :「オート」よりも、「晴天」など撮影状況に合わせて固定した方がニュートラルな色味になります。
露出モード :「絞り優先オート」、 「マニュアル露出」のいずれかに設定。
3. 構図・ピントを決める

暗い場所や高濃度のNDでは、フィルターをつけたままピント合わせができません。その場合、フィルターを装着する前に構図・ピント合わせをします。
オートフォーカスでピントを合わせた後、フォーカスはマニュアルに切り替えてピント位置が変わらないようにします。
※明るい場所やND16位までの濃度の場合、NDをつけたままオートフォーカスで撮影できます。
4. NDフィルターをつけて撮影

NDフィルターをレンズに取り付け、シャッターを切ります。(手ブレ防止のため、レリーズの使用を推奨します。)
5. 必要に応じて露出を変えて撮影

撮影画像を見て、自分の思った通りの動感表現になるまで、シャッター速度や絞りを変更して撮ります。必要に応じて、露出補正で明るくしたり、暗くしたり調整してください。
【注意】ファインダーからの逆入光
一眼レフカメラの場合、ファインダーからの逆入光で露出の誤差が生じたり、光が写り込んでしまうため、アイピースシャッターを閉じるか、アイピースキャップ(アイピースカバー)を取り付けてください。それらがない場合には、ファインダーにハンカチをかけるなどして入光を防いでください

このページ内容の元となったリーフレット(A4・4ページ)です。ぜひプリントアウトしてご活用ください。
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